第46話お披露目へ
いつも『社畜OLの葛木萌、猫を助けて異世界へ!』をお読みいただきありがとうございます!今回は、いよいよお披露目会当日の後半戦をお届けします。お母様の手を繋いで廊下をてくてくと歩く萌ちゃん。その先で待っていた男性陣の、限界突破した大爆発リアクションにぜひご注目ください!そして王都から戻ったジント様のエスコートで、いよいよ会場の扉が開きます……!それでは、第46話どうぞ!
そして、私とお母様は廊下をてくてくと歩きながら、お披露目会の会場へと向かった。私が自分の足で裾を踏んで転ばないように、お母様が丈を短めに調整してくれた特製ドレス。
それでも3歳児の短い足にとっては、
歩くだけでも一苦労だ。
「萌ちゃん、もし途中で足が痛くなったら、いつでも抱っこするから言ってね? 本当はママ、ここから会場までずっと抱っこして歩きたいくらいですわ。
でも……萌ちゃんは、自分の足で歩きたいのよね?」
お母様は私の小さな手をきゅっと優しく握り締めながら、お喋りが尽きない様子で楽しそうに語りかけてくる。寝不足のはずなのに、私を見るお母様の目はキラキラと輝いていた。
「あし、いたくないよ! だって、おかあたんが寝る間も惜しんで、私のためにこのドレスをつくってくにゃんだもん。可愛いお靴やどれちゅ、みんなにみちぇちゃいの!」
私はぎゅっとお母様の手を握り返して、満面の笑みを浮かべた。
(中身は大人だからね。3歳児の甘えん坊モードより、お母様の血と汗と愛の結晶であるこのドレスを、一歩でも多く歩いてみんなに自慢したいっていうプロ
根性が勝っちゃうのよ!)
「……っ、萌ちゃん……! なんていい子なの……!」
私の幼児噛み噛みな健気セリフを聞いた瞬間、お母様は嬉しさと感動のあまり、一気に両目に涙をためて涙目になって
いた。
危うくメイクが落ちてしまうところだ。そうして、お母様と二人で手を繋ぎながら廊下を進み、ついに会場の大きな扉の前へとたどり着く。そこには――
すでにお披露目会の準備を終えたライダ兄様、アレク兄様、お父様、そしてジント様が、全員ピシッと正装をして勢揃いで待っていた。
会場の扉の前まで来たところで、私は
まず、お兄様たちの反応を見てみることにした。
長男のアレクにぃには、いつもと違って前髪をキリッと上げており、青と黒の
グラデーションの正装に身を包んで
いる。まるでどこかの国の王子様かと錯覚してしまうほど、思わず惚れ惚れとする格好良さだが、その完璧な王子様が、私の姿を見た瞬間に崩壊した。
「ごふぅっ……!! くっ、徹夜で出席者のチェックリストを頑張った甲斐があったな……! まさか、こんな最高のご褒美(天使)がやってくるなんて……!」
アレクにぃにはあまりの私の可愛さに耐えかねたのか、思わず勢いよく鼻血を吹き出し、ハンカチで必死に鼻を抑えながらも猛烈に私を褒めちぎり始めた。
続いて次男のライダにぃに。昨日遅くまで会場の飾り付けを頑張ってくれていたせいか、近づいてみると指先が細かく震えている。
しかも、あちこちに絆創膏が貼られていて、両手はボロボロの状態だった。
そんなライダにぃには、髪を横にワイルドにかきあげ、遊び心のある動物モチーフの衣装を着ていた。
胸元には、大きなライオンの刺繍が格好良く施されている。そして手首には、
お母様の宣言通り、はちみつ精霊さんとお揃いのブレスレットがしっかりと輝いていた。
よほど飾り付けが大変だったのか、
あるいは私のドレス姿の衝撃が強すぎたのか、ライダにぃにはふらふらと私の足元までやってくると、
「……おい、俺、いま現実だよな?
夢の中にいるわけねぇよな。こんなにかわちくて尊い天使が、本当に俺の前に舞い降りたのか……?」
そう呟きながら、廊下で私のことを神様のように全力で拝み始めた。
最後にお父様。少しだけメイクをして目の下のくまを誤魔化そうとしたみたいだけど、バッチリとくまが浮き出て見えているのは、娘としての優しい秘密にしておいてあげよう。
「うぉぉぉおおおーーーっ!! 我が家の自慢の娘が、完全に大天使になってるぅぅぅ!! これはいっぱい写真を撮って、家中という家中に萌の写真を飾りまくって、毎日朝昼晩と拝み倒したいぃぃぃ!!」
お父様は本気で家中に私の写真を敷き詰める勢いで大興奮している。そんなことをしたら、屋敷のどこを歩いても私がいることになって、家族全員がさらにメロメロになって社会復帰できなくなりそうだ。
男子陣がそれぞれの形で限界を迎える中、最後に靴をカツ、カツ、と優雅に鳴らしながら、ジント様が私の方へと歩み寄ってきた。
そして、信じられないほど綺麗な動作で私の前に膝をつき、挨拶を交わす。
「僕の可愛い天使、萌。――この日を、ずっと楽しみにしておりましたよ。
あのきついマナーレッスンによく耐えてくれましたね。ありがとう」
ジント様は私の小さな手を取ると、
厳しい特訓を乗り越えたことを優しく
労ってくれた。
「今日はそのレッスンの成果を、このお披露目会でたっぷりと僕に見せてもらおうかな。……僕の大好きな、萌?」
優しい声でそう言って、不意に私の手の甲へと甘いキスを落とした。私を気遣いつつも、本番での完璧な所作を求めるという、最高位の存在らしい「課題」を
サラリと与えてくるあたり、やはりタダモノではない。
(ふぇぇ……ジント様、そんな極上スマイルで『大好き』なんてサービス満点なセリフ言っちゃって……! 王都にいる本当の本命の人に怒られちゃっても知らないんだからねっ!)
相変わらず胸の奥を少しだけズキズキとさせながらも、私は元社畜のプライドを胸に、ジント様の差し出された手をきゅっと握りしめた。
「さあ、お手をどうぞ。――みんなが君を待っているよ」
ジント様のエスコートに導かれ、私が
一歩を踏み出したその瞬間。会場の大きな扉が、ゆっくりと左右に開き始める。
次回、その扉の向こうに広がっていた光景に、私は好奇心をいっぱいに膨らませることになるのだった。
第46話をお読みいただきありがとうございました!会場の扉の前で待っていた男性陣のリアクション、最高に個性的で愛が溢れていましたね!アレクにぃにの鼻血、ライダにぃにのボロボロの手での拝みポーズ、そしてお父様の写真敷き詰め計画(笑)。みんなが萌ちゃんのために全力を尽くしてくれたのが伝わってきて胸が熱くなります。そしてジント様の華麗なる帰還と、手の甲へのキス……!甘い言葉の中にも「レッスンの成果を見せてもらう」というプロフェッショナルな課題を仕込んでくるあたり、萌ちゃんの社畜魂に火をつけるのが本当に上手いです!次回、ついに扉が開き、お披露目会の会場へ!扉の向こうで萌ちゃんを待ち受ける光景とは!?そしてあの意地悪なマナー講師との決戦の行方は……?「お兄ちゃんたちのリアクションに笑った!」「次回ついにマナー講師にざまぁ!?楽しみ!」と思ってくださった方は、ぜひ下の【☆☆☆☆☆】の評価やブックマークで応援をお願いします!次回の更新もお楽しみに!




