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第43話ドタバタのお披露目準備

いつも『社畜OLの葛木萌、猫を助けて異世界へ!』をお読みいただきありがとうございます!前回のラスト、ジント様からのまさかの「(仮)の婚約者」爆弾発言。大混乱の我が家ですが、ここからさらに怒涛のドタバタ劇が始まります!幼児化した萌ちゃんの奮闘(?)を、今話も温かい目で見守っていただけると嬉しいです。それでは、第43話どうぞ!

そして、我に返ったライダ兄様とアレク兄様は、はっとした瞬間にものすごい勢いでジント様に詰め寄った。


「ジントさん! さすがに早すぎねぇか!? まだ萌は3歳で子供なんだよ! 好きでもねぇのに付き合うとかおかしいってーー!」


ライダ兄様は声を張り上げて叫んだ。

さっきまで、はちみつ精霊さんを前にあたふたしていた大人しいライダ兄様は、一体どこへ消えたのかと思うくらいの

猛抗議だ。


「……いくらジント様でも、自分勝手すぎではないのですか? 萌の気持ちも考えてあげてください」


アレク兄様は一見、冷静を保っては

いる。だけど、おでこのところに怒りマークが2個くらい綺麗に並んで浮かび上がっているのは、きっと私の気のせいだと思いたい。


「まぁまぁ、二人とも落ち着きなよ。

これはあくまで『仮』の婚約だからね。でもね――」


ジント様はお兄様たちのすぐ近くまで歩み寄ると、二人にしか聞こえないような低い声でこう囁いた。


「僕は萌が好きだから、今すぐ本当に付き合ってもいいと思っているんだ。

でも、彼女の意思を尊重したいから

こそ、あえて『仮』にしてあげたんだよ? ……あんまり僕を怒らせないでね?」


そう言ってジント様はすっと一歩下がると、何事もなかったかのように顔をニコニコと輝かせた。極上の王子様スマイル、再臨である。


しかし、それを間近で聞いたアレク兄様とライダ兄様は、なぜか顔を真っ青にしながら、ものすごい勢いで

「コクコクコクッ!」と何度も首を縦に振って納得していた。


(……一体、何を言われたんだろうね、ジント様に。おにぃに達の目が完全に怯えてるんだけど!?)


ジント様の圧倒的な覇王のオーラ(?)に男子陣がひれ伏す中、お父様がコホンと真面目な顔で咳払いをして、私を手招きした。


「萌、おいで。これはな、萌の身を守るための大人の事情でもあるんだよ」


「み、みをまもる……?」


「そうだ。萌は幻のエルフであり、

さらにその頭の上には精霊王の『みちゃーれ』がいる。……これから先、その

強大すぎる力を利用しようと、萌を狙う悪い奴らが出てくるかもしれない。

だからこそ、この世界で最高位の強さを持つジント様に、こうして『仮の婚約者』になっていただいたんだよ」


「おちえてくれて、ありがとう、おとうとゃま。仮でも、ジントしゃまの隣で……ジントちゃまに恥をかかちぇないように頑張るじょ!」


私はぎゅっと小さな拳を握りしめて宣言した。元社畜の悲しいさがか、萌はやると決めたらとことんやるタイプなのだ。周りから見ても 立派な婚約者に見えるようにしたいのだった。


だから「ジント様を傷つけないように、隣にいてもお似合いの二人だね」

と思われたい。


だけど――。


(……でも待って。普通、仮の婚約者って言っても『好きだから付き合う』んだよね? ってことは、ジント様には他に本当に好きな別の人がいて、その人を表に出して危険に晒したくないから、

その代わりに私が選ばれたってことなのかな……?)


そこまで考えて、なんだか胸の奥が

『ズキズキ』と痛み出した。


(あれ……なんでだろう。なんでこんなに、胸が痛いんだろ……)


ジント様には、守りたい大好きな人が他にいるんだ。そう思った瞬間、どうしてか胸の痛みが止まらなくなってしまった。これが何という感情なのか、今の私にはまだ分からないけれど。


そんな私のちっちゃな心の葛藤

(と、盛大な勘違い)をよそに、

パンッ!と手を叩く高い音が食堂に響き渡った。


「では、途中で止まっていたお披露目会の準備を、急ぎで始めますわよ! 

あと2週間しかありませんから、大急ぎで進めますわ! 萌ちゃんもお着替えのお手伝い、頑張ってね!」


お母様はテンションが上がりすぎてちょっと言葉が怪しくなりながらも、

ものすごい鼻息で仁王立ちしている。

2週間であのお披露目会を!? さすが我が家のお母様、行動力がカンストしている。


「ふぇっ!? お、お着替え……?」


嫌な予感がした瞬間には、すでに遅かった。お母様の合図と共に、部屋の扉が勢いよく開け放たれ、使用人たちがこれでもかとフリフリした豪華なドレスの山を台車で運び込んできたのだ。


「さあ萌ちゃん! まずはこの

『天使の祝福ドレス』から着てみましょう!」


「ふぇぇぇ! う、うごけないじょ、お母様! おちむ(頭)が重たいじょーーー!」


妖精の羽のような装飾がついたドレスを着せられ、まるで生きたぬいぐるみのように扱われる私。しかし、その姿を見た瞬間、さっきまでジント様に怯えていたお兄様たちがガタッと立ち上がった。


「萌……!! 世界一可愛いぞ! 天使、ここに天使が降臨した!」


「ライダの言う通りだ……! おい、そこのドレスも全部包め! 萌の可愛さを引き立てる衣装なら、我が家の財力を全て注ぎ込んでも惜しくはない!」


アレク兄様とライダ兄様は、鼻血が出そうな勢いで目を輝かせて大絶賛している。さっきまでの殺伐とした空気はどこへやら、完全に親バカ(兄バカ)モード全開だ。


「うん、本当によく似合っているよ、萌。僕の『(仮)の婚約者』にしておくには、もったいないくらいの愛らしさ

だね」


ジント様までが、椅子の背にもたれかかりながら、熱い眼差しを私に向けて極上の微笑みを浮かべている。


(ジント様までそんな目で見てくるなんて……! 本当の好きな人に怒られちゃうんだからねっ!)


胸のズキズキを誤魔化すように、私はフリフリのドレスの中で、真っ赤になった顔をふいっと逸らすのだった。

第43話をお読みいただきありがとうございました!ジント様の「怒らせないでね?」の破壊力、お兄ちゃんたちを一瞬で黙らせるほど凄まじかったですね(笑)。そして、元社畜ゆえにビジネスライクに考えすぎて、盛大な勘違いをして切なくなってしまう萌ちゃん……。ジント様の本命が誰なのか、早く気づいてあげてほしいところです!次回、いよいよ2週間後のお披露目会に向けて物語が大きく動き出します。「ジント様の笑顔の圧が最高!」「萌ちゃんの勘違いがもどかしくて可愛い!」と思ってくださった方は、ぜひ下にある【☆☆☆☆☆】の評価やブックマークで応援していただけると、執筆の励みになります!次回の更新もお楽しみに!

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