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第36話:パンケーキから現れた妖精

お待たせいたしました、第36話です!今回は美味しいパンケーキをもぐもぐする癒やし回……と思いきや、ファンタジーな新展開が始まります。料理長さんの職人魂が炸裂するメニューの構想にもご注目ください!

お腹ペコペコだった私は、料理長さん特製のふわふわパンケーキを夢中になって口に運んでいた。


ハチミツとバターがじゅわっと染み込んだ生地は、まさに至高の味わいだ。

そんな至福のもぐもぐタイムを楽しんでいた、その時だった。


目の前にそびえ立つパンケーキの山

から、突如として不思議なものが

現れた。


(……あれ? なにか出てきた……?)


それは、パンケーキの隙間からすうっと這い出てきた、ちっちゃなちっちゃな

『光の玉』だった。ただの光じゃない。その光は、パンケーキの周りをまるで楽しそうにふわふわと浮遊し始めたのだ。


「もぐもぐ……にぃたゃ! あのまあるいの何〜? すっごくキラキラしてて、可愛い服きてるよぉー」


私は口をもぐもぐと動かしながら、そのまあるい光を小さな人差し指で指さし、お兄様たちに聞いてみた。


けれど、私の言葉を聞いた二人は、不思議そうに首を傾げるばかり。


「――? 萌ちゃん、まあるい光っていうのはどれのことなんだい? 僕には何も見えないよ?」


兄のアレクにぃには、私の指の先を見つめながらパチクリと目を瞬かせた。彼の目には、ただただ美味しそうなパンケーキの山しか映っていないようだ。


弟のライダにぃにに視線を向けてみても、やっぱり同じような反応だった。


「あははっ! 萌、まだ寝ぼけてんのかー? 俺の目には、美味しそうなパンケーキしか写ってないぜー」


ライダにぃには、私がまだ眠気で幻でも見ているのだと思ったらしい。くすくすと笑いながら、私の小さな頭を大きな手でわしゃわしゃと優しく撫で回して

きた。


「ん、もう! わたち寝ぼけてないち!

はっきりまぁるい光に服を着た人がおるのぉ!」


私は子供らしくほっぺをぷくーっと膨らませて、ぷんぷん怒りながらアレクにぃにとライダにぃにに伝えようと頑張った。


(寝ぼけてなんかいないもん! 前世は

アラサーの社会人だよ!? 目の錯覚なわけないじゃない!)


その頃、そんな私たちのやり取りを、

厨房の奥からそっと見つめている人物がいた。――そう、先ほどパンケーキを運んできてくれた料理長である。


萌ちゃんに「おいちぃ!」と全力で喜んでもらえたことで、彼の職人魂には限界突破の火がついていた。


「萌お嬢様にあんなに喜んでいただけるなんて……! よし、次はもっと大きなものを作ろう!」料理長は鼻息を荒くして、それはもう大張り切りだった。次に作ろうと計画しているのは、大きくて

大きな、夢のような特製特大ケーキ!

生クリームをたっぷりとデコレーションし、熟成された甘い甘いイチゴや、季節ごとのフルーツをこれでもかともりもりに詰め込む。


そして一番上には、黄色いチョコの星を飾り、さらにキラキラと輝く演出の魔法までかける予定だ。


「ふふふ~ん、萌お嬢様、待っていてくださいねぇ!」


そんな極上のご褒美ケーキの構想に胸を膨らませながら、今、料理長はルンルン気分で調理器具を扱い、次の仕込みを始めているところだった。


一方その頃。私がぷんぷん怒ってお兄様たちと賑やかな時間を楽しんでいる、

まさにその時だった。私の指先に向かって、ふわふわと浮いていた光の玉が、

吸い寄せられるようにゆっくりと降りてきた。


そして、私の小さな人差し指の先端に、ちょこん、と可愛らしくとまったのだ。すると、私の頭の中に、鈴を転がしたような、ちっちゃくて繊細な女の子の声が直接響いてきた。


『えっと……私、はちみつの妖精なの……。とても良いはちみつの香りがしたから、思わずパンケーキと一緒に来ちゃったの……』


「――っ!」


なんと、ただの光の玉かと思っていたら、その正体は『はちみつの妖精』

だったようだ。


脳内に響く声は少しモジモジとしていて、なんだか一生懸命に人見知りをしているようだった。


お兄様たちにはまだ見えていないようだけど、私の指先で光る妖精さんは、

恥ずかしそうに羽をパタパタさせている。


(まぁ、はちみつの妖精さん!? なにそれ健気で可愛すぎる……! 挨拶してくれたんだから、私もちゃんと返さなきゃ!)


中身は大人、見た目は3歳児。社会人のマナーとして、挨拶を無視するわけにはいかない。


「わぁ! はちみつのようせいしゃん!? じこしょうかいしてくれて、ありがとう! わたち萌、さんしゃい! だよ」


私は嬉しさのあまり思わず椅子からトッと飛び降りると、小さなドレスの裾をきゅっと両手で持ち上げた。


小さな身体で、ちょっとバランスが危なっかしい『ぎこちないカーテシー』を披露しながら、とびきりの笑顔で自己紹介を返したのだ。


もちろん、何も見えていないアレクにぃにとライダにぃには、突然椅子から飛び降りて虚空に向かって綺麗にお辞儀をし始めた妹を見て、完全にフリーズしている。


「「萌、萌ちゃん……!?!?」」


何もない空間に向かって、愛らしく

「さんしゃい!」と名乗る天使な妹の姿に。お兄様たちは驚きつつも、そのあまりの可愛さに再び胸を押さえてノック

アウト寸前になっているのだった。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!お兄様たちには見えないはちみつの妖精さんに、一生懸命「さんしゃい!」と挨拶する萌ちゃん。お兄様たちがフリーズしてしまうのも無理はありませんね(笑)。そして料理長が仕込み始めた生クリームたっぷりの特大いちごケーキ、私も食べたいです……!今後も萌ちゃんの自由気ままな異世界旅を応援してくださる方は、ぜひブックマークや評価での応援をよろしくお願いいたします!

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