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第34話『お腹を空かせた萌』

いつも応援していただき、本当にありがとうございます!前回、無事に長くて冷たい夜が明けて、すっきり元気いっぱいに目覚めた萌ちゃん。今回は、目覚めたばかりでお腹ペコペコな萌ちゃんの、優しくて最高にちゃっかりした大作戦(?)が始まります!幻のエルフとしての無自覚チートっぷりと、新しく登場するお兄様たちとの可愛いやり取りにぜひご注目ください。それでは、第34話もどうぞお楽しみください!

ぐうぅぅぅ~~……。 静かなお部屋の中に、本日二度目となる、とっても元気で可愛らしい音が響き渡る。


 一晩ぐっすり眠って元気いっぱいになった萌ちゃんは、今、猛烈にお腹を激しく空かせていた。


 小さなお腹を手でさすりながら、早く美味しいご飯が食べたいな、とウキウキした気持ちになる。 


けれど、ふと目の前にいる大人たちの顔を見上げてみた時のことだった。

 萌ちゃんは首をコテンと傾げて、

みんなの顔をじーっと覗き込む。


(あれ……? みんにゃの目の下に、なにかあるでちゅ……?) お父様もお母様も、そして綺麗な髪をした男の子も、みんなの目の下に大きくて黒いクマちゃんが出ていることに気づいたのだ。


 どうしてクマちゃんがあるのかはよく分からないけれど、みんななんだかすごく眠そうだし、疲れているように

見える。


(みんにゃ、おねむなのかなぁ? よし、そうだ! 私がみんなに眠りの魔法をかければ、クマちゃんが消えてぐっすり寝ちゃうかなぁ)


 そう思いついた萌ちゃんは、すぐに

行動に移すことにした。 お母様が優しく私の着替えを手伝ってくれている

最中、萌はそっと、大人たちに聞こえない程度の小さな小さな声で魔法を

唱え始めた。


「みんにゃクマちゃんがとれるくらい、ぐっすりねりゅ――」 萌がそう呟いた瞬間、大人たちは一斉に大あくびをし始めた。


「ふぁぁぁん、なんだか急に眠くなってきちゃったわ……

(こっくりこっくり)」


 お母様は大あくびをしながら、首をこっくりこっくりと揺らされ、凄まじい眠気に襲われていた。


「……? なんだか急に眠くなってきたなー。萌ちゃんが元気になって、安心したからかな」 


お父様は萌ちゃんのことを一晩中心配していたので、元気な萌ちゃんを見たら一気に緊張が解けて、安心してしまった

のだ。


「あれれ、どうしたんだろう。いつもは人前であくびなんて絶対にしないんだけど……ドッと疲れが出てしまったの

かな」 


王族であるジント様でも、萌ちゃんの高位なエルフの魔法には全く気づかなかった。人前であくびをしてしまい、抗えない眠気に誘われていた。


 それは大人たちだけではない。 

みちゃーれもあくびをしながら、ぷよぷよとベッドに横になって眠りかけて

いた。


「にゃぁぁん(なんだか、ポカポカのお日様を浴びてるようですっごく気持ちいいな……)」 


妖精王の可愛い鳴き声を聞きながら、

萌ちゃんは心の中でにやりと笑った。


(やった! みんなおネムに入った! これでみんなが寝たところで、私はご飯行く!) 


萌ちゃんの目的は、みんなを優しく寝かしつけること。 そして――その隙に、一人で大好きなご飯を食べに行くことだったのだ。


「おかちゃま、おとうちゃま、優しい人、べっちゅ(ベッド)いこう!」


「そうね……少しだけ、横になろうかしら……?」 


お母様は萌ちゃんの小さな手に優しく引かれ、そのままベッドへと幸せそうに

「誘拐」されていった。 


お父様も、ジント様も、吸い寄せられるようにベッドや近くの長椅子へと体を預け、またたく間にすうすうと幸せそうな寝息を立て始めた。


みんなの目の下のクマちゃんが、魔法の光で少しずつ薄くなっていく。


「えへへ、みんにゃおやすみなしゃい、でちゅ」


 萌ちゃんは足音を立てないように、

トコトコと抜き足差し足でお部屋の扉へと向かった。  


そして萌は、うんしょっと重たいドアを開けて廊下に出て、食堂へと向かっている時だった。 


お兄様のライダとアレク兄様に出会ったのだった。


「あれ? 萌ちゃん1人? お母様とお父様とジント様は?」 


アレク兄様は、萌が1人なのは珍しいと思って不思議そうに聞いてみた。


「よぉ萌! ぐっすり寝れたかー? よく寝る子は育つというしな!」


 ライダ兄様は、萌ちゃんの小さな頭をわしゃわしゃと撫でて、にひひひと元気な笑顔で笑っていた。 


お着替えが途中で、しかもお腹ペコペコで困っていた萌ちゃん。 


二人の頼もしいお兄ちゃんたちを見上げて、萌ちゃんはギュッとその服の裾を掴んだ。


「にぃに、お腹ちゅいた! 食堂連れってぇ〜〜」 ウルウルとした瞳でそうおねだりされた瞬間、二人のシスコンお兄様たちの胸に、撃沈する音が響き渡ったのは言うまでもなかった。

第34話をお読みいただきありがとうございました!大人たちの目の下のクマちゃんを心配して、優しい眠りの魔法をかけてあげる萌ちゃん、なんて良い子なんでしょう……!と思いきや。「これでみんなが寝たところで、私はご飯行く!」という心の声に、読んでいて思わずクスッと笑ってしまいました(コン。大人たちをベッドへ幸せに「誘拐」したあと、廊下でバッタリ出会ったライダ兄様とアレク兄様。最後の「にぃに、お腹ちゅいた!食堂連れってぇ〜〜」の破壊力は凄まじかったですね!シスコンお兄様たちが一瞬でノックアウトされる姿が目に浮かびます(笑)。次回、メロメロになったお兄様たちに連れられて、萌ちゃんがついに念願のご飯タイムに突入します!一体どんな美味しい朝ご飯が待っているのでしょうか?もし「萌ちゃんのおねだりが可愛すぎた!」「お兄ちゃんたち頑張れ!」と思ってくださったら、ぜひブックマークや評価の星(☆☆☆☆☆)で応援していただけると、毎日の執筆の大きな励みになります!それでは、次回の第35話もお楽しみに!

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