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第33話『そして長い長い夜が明ける』

いつも応援していただき、本当にありがとうございます!前回、ジント様の温かい言葉によって、ようやく緑のゆりかごから外の世界へと一歩を踏み出した萌ちゃん。お父様の腕の中で安心して眠りにつきましたが、激動の一夜が明けた翌朝、一体どうなるのでしょうか……?今回は、萌ちゃんを大切に想う大人たちの「男の約束」や、目覚めた萌ちゃんの可愛すぎるリアクションに大注目の日常回です。それでは、第33話もどうぞお楽しみください!

 大人たちは、眠ってしまった萌ちゃんをもう一度ベッドへと優しく寝かせた。


 それから、お部屋の中に散らばっている愛娘の荷物を、静かに片付け始める。


 お母様は、床に落ちた枕や時計を拾い上げながら、萌ちゃんから聞いた話をぽつりぽつりと話し始めた。


「それにしても、萌ちゃんが転生者だなんて初めて知ったわ……。でも、朝起きたらこの事実を覚えているのかしら……」 


お母様は寂しそうに微笑みながら、散らばった物を片付けつつ、独り言のように語っていた。


「たしかに、覚えているとは限らないかもしれないな。そして、また今日みたいに暴走してしまった時の対策も、今の

うちに考えておいた方がいいだろう」 


お父様は床のガラスの破片を慎重に集めながら、親として何か対策を練らなければいけないこともまた事実だと噛み締めていた。 


そんな二人を見ながら、ジント様は

一人、暗い顔で拳を強く握りしめていた。


「なぜ萌ちゃんは起きてしまったんだろう……。僕がいい夢を見られる魔法を

使ったのに、普通の人間なら起きるはずがない。……僕がもっと、力を付けないと――」 


ジント様はなぜ魔法が解けてしまったのか、難しい顔で悩みながらも、萌ちゃんを守るためにさらに強くならなければと決心をしていた。自分の不甲斐なさに、知らず知らずのうちに自分を責めてしまっていたのだ。 


そんなジント様の張り詰めた様子に気づき、お父様がそっとその肩に手を置いた。


「ジント様、自分を責めないでください。これには誰も予想できない出来事だったんです」


 お父様は、自分を責めているジント様に寄り添いあって、優しく励ましていた。


「たしかに今回のこと、誰にも予想は出来なかった。だけど、もしまた同じ事が起きても、次からはちゃんとした対策ができます。――もう二度と、萌を泣かせない! 命に代えても守るんだ!」


 お父様から力強い励ましをもらって、ジント様はすっかり元気を取り戻したのであった。


 二人は言葉を交わさずとも通じ合い、萌を守るという誓いを込めて、ガシッと熱い握手を交わす。


 そんなこんなで、大人たちが優しく語り合い、壊れたお部屋をすっかり元通りに片付け終えた頃――。 


窓の隙間から、朝の爽やかな日差しがキラキラと降り注ぎ始めた。 そして外

からは、のどかな「コケコッコー」

という朝を告げる声が響き渡っていた。 

萌ちゃんを苦しめていた、長くて冷たい夜が、ついに明けたのだ。


「ん、にゅっーおちゃお……」 


萌はまだ眠いのか、小さな手でゴシゴシと目を擦りながらあくびをして、ベッドの上でぼーっと座っていた。


(……なんでみんないるんだろう? 一体何があったの? そしてこの美形な人は誰ーー?)


 昨日あれだけ大泣きして大暴れしたというのに、一晩ぐっすり眠った萌の頭の中は、すっきりとリセットされてしまっていた。 


そんな萌のキョトンとした顔を見て、

お父様とお母様は顔を見合わせ、それからホッとしたように同時に笑顔を浮かべた。


「萌ちゃん、おはよう! よく眠れたかい!?」


「おはよう、萌ちゃん。どこか痛いところはない?」


 お父様とお母様が優しくベッドの横に寄り添う。 

そんな二人の後ろから、先ほど萌が

(美形な人)と思ったお兄さん――

ジント様が、これ以上ないほど優しい目元で萌を見つめて、そっと微笑みかけた。


「おはよう、萌ちゃん。よく眠れたかい?」


「にゃあお(萌、おはよう!)」 


みちゃーれも嬉しそうに鳴いて、萌の足元でゴロゴロと喉を鳴らしている。


 みんなが自分を宝物のように優しい目で見守ってくれている。その温かさに、萌の小さな胸の奥がじんわりと満たされていく。


(よくわかんないけど……みんなが優しいから、いっか!) 前世の冷たい記憶なんて、今の萌の周りには一欠片も残っていなかった。 


萌はベッドから起き上がると、みんなに向かって満面の笑みで両手をパタパタと広げた。


「みんな、おちゃおでちゅ! 萌、ねんねして、おなかペコペコになりまちた!」


 ぐうぅぅぅ〜〜〜


萌の可愛い言葉と同時に、お部屋の中に大きくて元気な音が響き渡る。 

昨日は夕飯も食べずに寝てしまったのだから、お腹が空くのも当然だ。


「ははは! よし、萌ちゃんのために、

特大の美味しい朝ご飯を今すぐ用意させよう!」


「ふふ、お腹が鳴るくらい元気になって本当によかったわ」 お父様とお母様が嬉しそうに声を上げ、ジント様も楽しそうにクスクスと笑っている。


 長くて冷たい夜はもう完全に明けたのだ。萌は温かい家族と新しい仲間に囲まれて、光に満ちた新しい一日を一歩踏み出すのだった。

第33話をお読みいただきありがとうございました!無事に長くて冷たい夜が明けて、本当に本当によかったですね……!萌ちゃんが寝ている間の、お父様とジント様の「ガシッ」とした男の握手には、書いていて思わず胸が熱くなってしまいました。二人とも、萌ちゃんのことが大好きすぎますね。そして翌朝、目が覚めた萌ちゃん。あんなに大暴れして大泣きしたのに、まさかの記憶リセットで「ま、いっか!」と切り替えちゃうあたりが、幼児化(?)した萌ちゃんの最高に愛らしいところです(笑)。「おちゃお(おはよう)」の挨拶も、盛大に鳴り響いたお腹の虫も、すべてが愛おしくて大人たちが笑顔になるのも納得です。次回、お腹ペコペコの萌ちゃんに、お父様たちが「特大の美味しい朝ご飯」を用意してくれます!一体どんな美味しいメニューが登場するのでしょうか?もし「萌ちゃんのおちゃおが可愛かった!」「大人たちの握手にグッとした!」と思ってくださったら、ぜひブックマークや評価の星(☆☆☆☆☆)をポチッと押して応援していただけると、毎日の執筆の大きなパワーになります!それでは、次回の第34話もお楽しみに!

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