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第30話萌の夢中の出来事

いつもお読みいただき、本当にありがとうございます!おかげさまで、ついに大台の第30話を迎えることができました!前回の深夜会議から一夜明け、平和な朝が来るかと思いきや……公爵家に最大のピンチが訪れます。夢の中で萌ちゃんが見た「一枚の紙」、そして語られる切なすぎる本音。いつも可愛い萌ちゃんがパニックになり、ジント様が初めて見せる表情にもご注目ください!それでは、第30話をお楽しみください!

ドタバタの緊急会議は夜の内には終わるはずだったが、まさかの朝まで続いてしまった。 


そんな中、ベッドですやすやと眠る

萌ちゃんは、ある夢を見ていた。


「うわぁ! とってもきれいな星空! お空にいっぱい星がある! あれは何ていう星かなぁ? あっ、お月さまのところにウサギさんがいるよ。こっちに来ないかなぁ」 


夢の中の萌ちゃんは赤ちゃん言葉ではなく、大人の言葉で楽しそうにおしゃべりをしていた。 とても楽しい夢だったが、トコトコと歩き回っているうちに、一枚の紙を見つけた。


 萌ちゃんはその紙を拾い上げ、じっと見つめる。


「……これ、見たことがある。知っている。だけど……いや、嫌だ! 見たくない!!」

 萌ちゃんは紙を投げ捨てて全力で走って逃げたが、その紙はどこまでも追いかけてきた。 自分を捕まえようとすぐ後ろから迫ってくる、そんな、とても恐ろしい夢だった。 


そのころ、大人たちが会議室で話し合っていると、隣の部屋から大きな泣き声が聞こえてきた。 


その声に反応して、ジント様、お父様、お母様はすぐに椅子から立ち上がる。 


まだ子供のアレクお兄様とライダお兄様は、眠気に勝てず先にお布団で眠ってしまっていた。


「なんだ!? 隣の部屋から萌の泣き声がするぞ! 怖い夢でも見たのかな!」


 お父様はびっくりして椅子から転げ落ちそうになり、お母様はさっきまでの

難しいお話をすべて放り出した。


 萌ちゃんの声を聞いた瞬間、居ても立ってもいられずにお部屋から飛び出して行く。 ジント様もすぐにパッと目を大きく開けた。


 さすがは王族と言うべきか、萌ちゃんの声を聞いた瞬間、ドアをバン!と開けて廊下へ走り出し、お父様も慌ててその後ろを追いかけた。 


夢の中の萌ちゃんは、まだ恐怖の中に

いた。


「なんで、あの紙が夢に出てくるの!? だって、あの紙は……怖い! いや、

いや、いやぁぁぁ、思い出したくない!!」 


勢いよくドアを最初に開けたのは、お母様だった。


「萌ちゃん! どうしたの? 怖い夢でも 見たの?」 そう優しく問いかけたが、萌ちゃんはまだパニックのままで、

ベッドの上で大暴れを始めてしまった。


「来ないで!! 嫌だって言っているのに、なんで近づいてくるの!? 私にまた……またひどいことするの!? あっち行って、行って!!」 


萌ちゃんは枕や時計など、お部屋にある物を手当たり次第に投げつけた。 


お母様はそれをよけたものの、どうしても萌ちゃんのベッドに近づくことができない。


「も、萌ちゃん、どうしたの……? いつもの甘えん坊な萌ちゃんはどこへ行ってしまったの?」 


初めて見る萌ちゃんの姿に、お母様は戸惑ってしまい、なんと声をかけていいか分からなかった。


次にお部屋に入ってきたのは、ジント様だった。


「どうしたんだい? あちこちに物が飛んでいるね。……おっと危ない、花瓶が飛んできた」


ジント様がお部屋を見回している間にも花瓶が飛んできたが、それをサッとかわすと、床でパリン!と大きな音がして割れた。


「来ないでよ! また私を殴るの!? なんでもする、するから! お風呂のお掃除も、お料理もがんばるから……だから、だから殴らないで……っ!」


萌ちゃんの悲しい叫びを聞いた瞬間、

ジント様の目の色が変わる。その瞳の奥には、深い怒りと悲しみが浮かんでいた。


「大丈夫だよ、萌。君を殴ったりなんて絶対にしない。このお家の人は、君に悲しい思いを絶対にさせないよ。僕がここに来て、みんなを見て一番によく分かったことだ」


ジント様はゆっくりと歩み寄りながら、安心させるように優しい声で言った。


「いや! それでも……私がされてきたことなんて知らないのに、知ったようなことを言わないでよ! 近づかないで……私を守って、『草魔法:ゆりかご』!!」


萌ちゃんがそう叫んだ瞬間、植物の魔法で頑丈な「緑のゆりかご」が目の前に現れた。そして萌ちゃんはその中に閉じこもり、すっぽりと自分の身を隠してしまった。この後、萌ちゃんはどうなってしまうのだろうか。


ジント様が無理にでも助け出すのだろうか、それとも、心が落ち着くまでそっと待つのだろうか。

(第30話・完 / 第31話へつづく)

第30話をお読みいただき、本当にありがとうございました!萌ちゃんの口から飛び出した「お風呂掃除」「料理」「殴らないで」という悲痛な言葉に、胸が締め付けられた方も多いのではないでしょうか……。いつも余裕なジント様が、瞳の奥に怒りと悲しみを宿して語りかける姿がとても切ないです。最後に魔法の「ゆりかご」に閉じこもってしまった萌ちゃんを、ジント様や家族はどう救い出すのでしょうか!?次回からは、いよいよ第31話が始まります!萌ちゃんの心の傷が少しでも癒えるように、みんながどう動くのかどうぞお楽しみに!もし「続きが気になる!」「萌ちゃんを応援したい!」と思ってくださったら、評価やブックマーク、感想などで応援していただけると、執筆のとても大きな励みになります!

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