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第29話賑やかな会議

いつもお読みいただき、本当にありがとうございます!前回の第28話では、ジント様からまさかの「婚約者宣言」という超爆弾発言が飛び出しました。第29話は、その爆弾を落とされたヴィンテ・ラジ公爵家の男たちの猛反発からスタートします!過保護すぎるお父様やお兄様たち、そして一番冷静で恐い(?)お母様の反応にご注目ください。床に転がったまま放置されている「あの芋虫」の運命やいかに……!?それでは、第29話をお楽しみください!

お父様は一時、ショックで泡を吹いていたが、意識を取り戻した途端に部屋中へ怒号を響かせた。


「ジント様!? 萌ちゃんはまだ子供ですよ! しかも、この家に来てまだ間もないですし、養子に迎えたばかりの子をもう嫁に出すなんて早すぎます!」 


お父様の言っていることは最もな正論であり、何一つ間違っていなかった。

 ライダお兄様とアレクお兄様も、首を激しく上下に振って深く深く頷い

ている。 


アレクお兄様に至っては、興奮のあまり「ふんす!」と鼻息を荒くして身を乗り出していた。 そして珍しく、ライダ兄様とアレク兄様の声がぴったりと

重なった。


「「「萌は俺たちと一緒に過ごす時間が、まだまだ足りないんだ! 妹をこんなに早く手放すなんて絶対に早すぎます!」」」


 アレクお兄様とライダお兄様は、息を荒くしながらジント様に全力で反抗していた。 その頃、

お母様はというと――。 

机の上にあった紅茶を優雅にこくりと一口切り、カップをそっと置いた。

その瞬間、


「ちょっと静かにしなさい、男子共。話が一向に進まないじゃないの」 


お母様の冷徹な一言に、騒いでいた男子たちはビクッと肩を跳ね上がらせ、一瞬で静まり返ってしまった。 


さっきまで騒いでいたお兄様たちも、

借りてきた猫のように背筋をピシッと伸ばしている。


「お父様と息子たちが言っていることは最もな正論ですし、わたくしも同感ですわ。ですが……何か秘策があってのことなのでしょう? ジント様」 


ジント様は「さすがヴィンテ・ラジ公爵家の夫人だ」と感心し、苦笑いしながら両手を上げた。それは「降参」を意味するポーズだった。


「夫人の言う通り、すぐに結婚させるつもりはないよ。萌ちゃんの気持ちも大事だからね。でも、『仮の婚約』なら納得してもらえるだろうか? それなら王族という強力な盾ができ、萌ちゃんを完璧に守ることができるからね」 


ジント様は、公爵家が納得せざるを得ない明確な理由を述べた。これならどうだ、というように。 お母様は、ふうとため息を混じりにこう言った。


「それなら、いいかもしれませんわね。仮の婚約なら、萌ちゃんに手を出そうとする不届き者もいなくなるでしょうし。このお話はこれで決まりね。次は――あの芋虫について話し合いましょ」 


お母様は納得したようで、床で芋虫のようになっている鬼の少年をツンと

指さし、あっさりと話題を変えた。


「くっふふ、夫人……あの芋虫の処遇は、こちらで決めさせて頂いても?」


「ええ、構いませんわ。だけど、わたくしが納得する内容にしてくださいな」 お母様はニコニコと微笑みながら、扇子を優雅に口元へと当てていた。


 すると、今まで無視され続けていた床の上から、ついに猛抗議の声が響き渡る。


「おい! 俺を芋虫扱いすんな! いい加減これを外せよ、もう逃げたりしねぇから……!」 鬼の少年は床の上をごろごろと転がりながら必死に抵抗するが、

大人たちの冷ややかな視線が突き刺さるだけだった。 


大人たちはその声を完全にスルーして次の話を進め始めた。


「それじゃあ、鬼の方は僕のところで預からせてもらうよ。ちょうどいい盾が見つかったからね。僕の元でみっちり教育して、立派な執事に仕立て上げよう。そして、僕がヨシと認めたら、萌ちゃんの元へ渡すというのはどうかな?」


 ジント様はにっこりと微笑みながら、責任を持って教育すると告げた。

お母様は少し考えたあと、満足そうに

頷く。


「なんだかんだ言っても、萌ちゃんも

あの鬼の少年を気に入っていたようですし、それが良さそうですわね」 


ジント様は「決まりだね」と、床の芋虫をどう料理してやろうかと怪しく目を輝かせた。 決定事項として話が進んでいく中、ついに鬼の少年は我慢の限界を迎えて大声を張り上げた。


「俺を無視して話を進めるなーーーっ!! 俺の意見も聞けー! この溺愛する家族めーー!」 こうして、騒がしくも恐ろしい深夜の緊急会議は、賑やかに幕を閉じるのであった。

(第29話・完 / 第30話へつづく)

第29話をお読みいただき、ありがとうございました!ジント様の策略(?)により、まさかの「仮の婚約」という形で落ち着いた萌ちゃんの未来。お父様たちの心労はまだまだ続きそうです(笑)。そして、完全にギャグキャラ&不憫ポジションが定着してしまった鬼の少年ですが、まさかのジント様による「執事教育」が決まってしまいました。果たして彼は立派な執事になれるのでしょうか?次回はついに大台の第30話を迎えます!翌朝、目を覚ました萌ちゃんがどんな反応をするのか、どうぞお楽しみに!もし面白いと思っていただけたら、評価やブックマーク、感想などで応援していただけると執筆の励みになります!

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