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第27話:痛いの飛んでけ!

「んぅ……何ちてるんでしゅか? あ、さっきの鬼しゃん、まだどこかいちゃいの(痛いの)? もえがなおちてあげるぅ」 お屋敷の玄関の外、馬車の前にトコトコと歩み寄ってきたバブ萌ちゃんは、恐怖でガタガタ震えている鬼の少年の目の前でしゃがみ込みました。そして、小さな両手で鬼のツノを優しく撫で撫でしながら、幼い声で話しかけます。「痛いたいの、空へ飛んで行けっ〜! ……こうちゅることで、痛いが消えるでしゅよ。前におかあしゃんにやって貰ったの! そしたら痛くなくなったの!」 そう喋る萌ちゃんは、どこか懐かしいことを思い出しているようで、とても幸せそうにニコニコと微笑んでいました。 ――ピカァァァ……。 その瞬間、萌ちゃんの小さな手から、ジント様の光の魔法をも遥かに凌駕する、温かくて神々しい『聖なる癒やしの魔力』が溢れ出しました。 鬼の少年を蝕んでいた悪い魔力や、ジント様との戦いで負った見えないダメージが、嘘みたいに一瞬ですべて綺麗に消え去っていきます。「なっ……あいつ(ジント)にダメージを食らったところが、綺麗に治ってやがる……!? 小さいのに、俺を助けてくれたんだな……チビの癖に」 鬼の少年は驚きを隠せず、呆然と自分の身体を見つめていました。あまりの衝撃につい力が抜けて、素直な本音が出てしまっていることに、本人は全く気づいていません。 一方で、そんな萌ちゃんの言葉をお屋敷の前の階段の上でじっと聞いていたお兄様のアレク様は、不思議に思ってお母様に尋ねてみました。「萌が怪我をした時、お母様はあんな感じで魔法を使ったのですか?」 お母様は少し困ったように眉を下げ、首を傾げながら答えました。「いいえ……わたくし、萌ちゃんにあのような魔法を使った覚えは全くないわ。……だとしたら、萌ちゃんは一体どこであの言葉を覚えてきたのかしら?」 お母様は不思議そうに悩んでいます。((お、お母様が教えてないってことは……まさか萌ちゃん、自分でその凄まじい回復魔法を生み出したのか!?)) お父様やお兄様たちは、萌ちゃんの底知れない規格外な才能に、またしても心の中で驚愕してガタガタと震え上がるのでした。「へぇ、萌ちゃんは光魔法ヒールも使えるのか。これまた貴重な能力だね。ヴィンテ・ラジ公爵家が大切に……いや、ただ単に溺愛できあいされているだけかな?」 くすくすと楽しそうに笑うジント様は、あることを思いついたように不敵にニヤリと微笑みました。「治ったでちゅか? それなら良かったでちゅ……ふぁぁん……。なんだか、とっても眠くなってきたでちゅね……」 魔法を使って安心したのか、萌ちゃんの眠気はもう限界でした。 よちよち、トコトコとお屋敷の前を歩きだし、てっきり家族の元へ戻るのかと思いきや――萌ちゃんが向かったのは、なんとジント様の足元でした。「じんとしゃま、抱っこちて欲しいでちゅ……。そして、ねむねむさせてくだちゃい」 萌ちゃんはそう言ってジント様の服の裾を小さな手できゅっと掴むと、自分からジント様の腕の中へと潜り込み、そのままスヤスヤと眠り始めてしまったのです。「「「「……っ!!!!」」」」 その光景を後ろで見守っていたお父様とお兄様たちの間から、ゴォォォ……ッ!!! と、お屋敷の玄関前を揺るがすほどの凄まじい殺気――もとい、猛烈な『嫉妬の嵐』が吹き荒れました。((ずるい!! ジント様ずるい!! 私(僕)たちの萌ちゃんが自分から抱っこをねだるなんて、そんなの羨ましすぎるだろうがぁぁぁ!!)) 公爵家の男たちが心の中で血涙を流す中、ジント様は優越感に浸りながら嬉しそうに目を細めます。「ふふっ、ははは! いいよ、僕の腕でお眠り。すやすや眠れるように、魔法で良い夢の世界に連れて行ってあげるからね」 ジント様は萌ちゃんを優しく抱き上げると、極上の睡眠魔法をかけてあげました。そして、眠った萌ちゃんを愛おしそうに見つめたあと、ゆっくりとお父様たちや、まだ呆然と立ち尽くしている鬼の少年へと視線を巡らせます。「さて……。萌も眠ったことだし、今日起きたことについて、みんなでじっくり話し合おうか? 伝説の鬼が復活したとなれば、これからの対策をしっかり練らないといけないみたいだしね」 最強の少年・ジント様の言葉に、ようやく我に返った一同。 こうして、バブ萌ちゃんが引き起こした「伝説の鬼の復活騒動」は、深夜の秘密の作戦会議へと引き継がれていくのだった――。(第27話・完 / 第28話へつづく)

「んぅ……何ちてるんでしゅか? あ、さっきの鬼しゃん、まだどこかいちゃいの(痛いの)? もえがなおちてあげるぅ」


 お屋敷の玄関の外、馬車の前にトコトコと歩み寄ってきたバブ萌ちゃんは、

恐怖でガタガタ震えている鬼の少年の目の前でしゃがみ込みました。


そして、小さな両手で鬼のツノを優しく撫で撫でしながら、幼い声で話しかけ

ます。


「痛いたいの、空へ飛んで行けっ〜! ……こうちゅることで、痛いが消えるでしゅよ。前におかあしゃんにやって貰ったの! そしたら痛くなくなったの!」 


そう喋る萌ちゃんは、どこか懐かしいことを思い出しているようで、とても幸せそうにニコニコと微笑んでいました。


 ――ピカァァァ……。 その瞬間、

萌ちゃんの小さな手から、ジント様の光の魔法をも遥かに凌駕する、温かくて神々しい『聖なる癒やしの魔力』が溢れ出しました。


 鬼の少年を蝕んでいた悪い魔力や、ジント様との戦いで負った見えないダメージが、嘘みたいに一瞬ですべて綺麗に消え去っていきます。

「なっ……あいつ(ジント)にダメージを食らったところが、綺麗に治ってやがる……!? 小さいのに、俺を助けてくれたんだな……チビの癖に」


 鬼の少年は驚きを隠せず、呆然と自分の身体を見つめていました。あまりの衝撃につい力が抜けて、素直な本音が出てしまっていることに、本人は全く気づいていません。 


一方で、そんな萌ちゃんの言葉をお屋敷の前の階段の上でじっと聞いていたお兄様のアレク様は、不思議に思ってお母様に尋ねてみました。


「萌が怪我をした時、お母様はあんな感じで魔法を使ったのですか?」


 お母様は少し困ったように眉を下げ、首を傾げながら答えました。

「いいえ……わたくし、萌ちゃんにあのような魔法を使った覚えは全くないわ。……だとしたら、萌ちゃんは一体どこであの言葉を覚えてきたのかしら?」


 お母様は不思議そうに悩んでいます。((お、お母様が教えてないってことは……まさか萌ちゃん、自分でその凄まじい回復魔法を生み出したのか!?))


 お父様やお兄様たちは、萌ちゃんの底知れない規格外な才能に、またしても心の中で驚愕してガタガタと震え上がるのでした。


「へぇ、萌ちゃんは光魔法ヒールも使えるのか。これまた貴重な能力だね。ヴィンテ・ラジ公爵家が大切に……

いや、ただ単に溺愛できあいされているだけかな?」 


くすくすと楽しそうに笑うジント様は、あることを思いついたように不敵にニヤリと微笑みました。


「治ったでちゅか? それなら良かったでちゅ……ふぁぁん……。なんだか、とっても眠くなってきたでちゅね……」 


魔法を使って安心したのか、萌ちゃんの眠気はもう限界でした。 よちよち、トコトコとお屋敷の前を歩きだし、てっきり家族の元へ戻るのかと思いきや――萌ちゃんが向かったのは、なんとジント様の足元でした。


「じんとしゃま、抱っこちて欲しいでちゅ……。そして、ねむねむさせてくだちゃい」 萌ちゃんはそう言ってジント様の服の裾を小さな手できゅっと掴むと、自分からジント様の腕の中へと潜り込み、そのままスヤスヤと眠り始めてしまったのです。


「「「「……っ!!!!」」」」 


その光景を後ろで見守っていたお父様とお兄様たちの間から、

ゴォォォ……ッ!!! と、お屋敷の玄関前を揺るがすほどの凄まじい殺気――もとい、猛烈な『嫉妬の嵐』が吹き荒れました。


((ずるい!! ジント様ずるい!! 私

(僕)たちの萌ちゃんが自分から抱っこをねだるなんて、そんなの羨ましすぎるだろうがぁぁぁ!!))


 公爵家の男たちが心の中で血涙を流す中、ジント様は優越感に浸りながら嬉しそうに目を細めます。


「ふふっ、ははは! いいよ、僕の腕でお眠り。すやすや眠れるように、魔法で良い夢の世界に連れて行ってあげるからね」


 ジント様は萌ちゃんを優しく抱き上げると、極上の睡眠魔法をかけてあげました。そして、眠った萌ちゃんを愛おしそうに見つめたあと、ゆっくりとお父様たちや、まだ呆然と立ち尽くしている鬼の少年へと視線を巡らせます。


「さて……。萌も眠ったことだし、今日起きたことについて、みんなでじっくり話し合おうか? 伝説の鬼が復活したとなれば、これからの対策をしっかり練らないといけないみたいだしね」


 最強の少年・ジント様の言葉に、

ようやく我に返った一同。 こうして、バブ萌ちゃんが引き起こした

「伝説の鬼の復活騒動」は、深夜の秘密の作戦会議へと引き継がれていくのだった――。


(第27話・完 / 第28話へつづく)

第27話をお読みいただき、ありがとうございました!鬼の少年のツノを撫で撫でして、ジント様の攻撃のダメージを綺麗に治しちゃった萌ちゃん。純粋な優しさに、鬼の少年も思わずツンデレな本音を漏らして完全にノックアウトされてしまいましたね!そして、萌ちゃんが言った「前におかあしゃんにやって貰った」という言葉。お母様には全く心当たりがないようで、お父様たちは「自分で魔法を開発したのか!?」と勘違いしていますが……読者の皆様ならピンときましたよね!前世(地球)の温かい思い出が、こんな形で異世界の人々を驚かせる伏線になるのがたまりません。最後はジント様の腕を掴んで自ら抱っこされにいった萌ちゃん。お屋敷の玄関前で、公爵家の男たちが流した嫉妬の血涙が目に浮かぶようです(笑)。次回、第28話!萌ちゃんがすやすや眠る中、お屋敷では深夜の緊急作戦会議が始まります。復活した伝説の鬼の扱いはどうなるのか? そしてジント様が思いついた「あること」とは……!?「萌ちゃんに癒やされた!」「公爵家の嫉妬に笑った!」という方は、ぜひ画面下の【☆☆☆☆☆】からポイント評価やブックマーク登録で応援していただけると本当に励みになります!次回もお楽しみに!

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