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第25話:萌のゆくえと、馬車の中のひみつ

いつも『社畜OLの葛木萌、猫を助けて異世界へ!』をお読みいただき、本当にありがとうございます!前回、まさかの「空中遊泳」を披露した萌ちゃん(バブ萌モード)。ジント様や公爵家のみんなが見守る中、すいすいと階段を降りた萌ちゃんが向かったのは……なんと、お屋敷の前に停まっていたジント様の豪華な馬車でした!お土産や宝石を勝手にあさる萌ちゃんに、お父様の心臓はバックバクです(笑)。はたして、馬車の中で萌ちゃんが出会ったものとは……!?それでは、第25話をお楽しみください!

空をすいすいと泳いでいく萌ちゃんの姿に、ジント様や公爵こうしゃく家のみんなは、ポカンと呆気あっけにとられていました。 


でも、今の萌ちゃんに危ない様子はなさそうです。 みんなは慌てて捕まえるのをやめて、少し後ろから様子を見守ることにしました。


 萌ちゃんは階段のいちばん下まで上手に降りると、今度は床をハイハイで進み始めました。 てちてち、ずりずりと進んだ萌ちゃんがたどり着いたのは、お屋敷の前に停まっていた、ジント様が乗ってきた馬車ばしゃでした。


 王族であるジント様の馬車は、とても立派です。 2頭の大きなお馬さんに引かれていて、そばにはお世話をする従者じゅうしゃも立っています。


 馬車の中にはふかふかの高級なソファがあり、ゆったりと休める広いスペースが広がっていました。「あーう?」 萌ちゃんは迷うことなく、その豪華な馬車の中へとよじ登っていってしまいます。


 ジント様は「あちゃあ……」と少し冷や汗をかいていましたが、無理に止めようとはせず、これから何が起きるのかを優しい目で見守ることにしました。



 しかし、バブ萌モードの萌ちゃんは

容赦ようしゃがありません。 

馬車に乗るなり、中に置いてあったお

土産みやげらしい包みや、きらきら光る宝石たちをごちゃごちゃと散らかし始めたのです。


((も、萌ちゃーーん!? ジント様の

馬車を勝手にあさっちゃダメだよ!?

あとでお怒りを受けたら怖いから、本当にやめておくれぇ……っ!!))


 色んなものを全力でひっくり返す萌ちゃんの姿に、お父様は心臓が止まりそうなほどヒヤヒヤしていました。


一歩間違えれば、家族みんなが大変なことになる大ピンチです。 でも、ジント様は怒るどころか、何かを深く考え込んでいるようでした。


うつむいたまま、萌ちゃんの行動をじっと真剣に見つめています。 そんな大人たちの焦りを知ってか知らずか、萌ちゃんは散らばった宝石の中から、ひとつのおっきな宝石を両手で包み込みました。


 そして、じっとそれを見つめながら、幼い声で話しかけ始めたのです。

「あーう? あうあう……なぁあ、起きちゅでちゅ、精霊せいれいしゃん」


 どうやら萌ちゃんは、その宝石の中に「誰か」が眠っていて、目覚めるのを待っていることに気づいたようです。


「起きてでちゅ……ちゅぱ……。精霊しゃん、まだ眠たいでちゅ? ……いっとょに(一緒に)ねよ!」 萌ちゃんは眠くて眠くて仕方がありません。


その宝石の中にいる存在への親しみから、「一緒に寝たい」と心から願った、まさにその瞬間のことでした。 

――ピカァァァッ!!!


 馬車の中で、まばゆい光が爆発するように輝き出しました。 中が見えなくなるほどの凄まじい光に、家族やジント様は、またしてもびっくり仰天して飛び上がりました。


「ジ、ジント様……っ! あの馬車の中には、一体何が積まれていたのですか!? 何かものすごい魔法道具でも積まれていたのですか!?」


 お父様は心臓をバクバクさせながら、ジント様を怒らせないように、もの凄く言葉を選んで慎重に聞いてみました。


「……いや、特には何も積んではいないよ。普通のお土産や宝石があるくらいさ。魔法道具なんか、僕の馬車には積まないからね」



 ジント様は光り輝く馬車を見つめながら、真剣な顔で言葉を続けました。


「これは……もしかしたら、大ごとになる気がするよ。でも大丈夫。その時は、僕がちゃんと萌を止めるからね」



 そして、まばゆい光がゆっくりと消えた馬車の中。 そこには、宝石の封印から目覚めたばかりの、とんでもない存在が立っていました。 


それは最大級の、いや、何年も何年もこの世界で封印されていたはずの

『人間の姿をしたおに』だったのです。


「へぇ? こんな赤ん坊が俺の封印を解いたってわけか? この情けない赤ん坊が? ……まぁいいや、早く契約けいやくしないとこの世界にはいられないしな。おい赤ん坊、俺と契約を結べ!」



ツノを生やした少年のような姿の鬼は、萌ちゃんに向かって、早く契約しろと

激しくせまり始めました。 しかし、今の萌ちゃんは眠気が限界に達しているバブ萌モードです。


「寝ちゃうなさにゃいの(邪魔しないで)? つのぉ、痛くにゃいのかな……

いっとょにねよ!」


 萌ちゃんは眠すぎて、いま自分の目の前で起きているヤバい状況をまったく理解していません。ただただ、早くお布団に入って眠りたいとしか思っていないのです。


「はっ? 眠るだと……! せっかくやっと外に出られたってのに、寝てたまるか! これから外で大暴れしてやる!」


 鬼の少年はギラリと目を光らせると、馬車の扉をいきおいよく開け放ちました。 外にお父様たちやジント様がいるのを見つけると、不敵にニヤリと笑い、おぞましい魔法を発動し始めます。


 その瞬間、お屋敷の空気が一変し、

すさまじい悪い魔力が渦巻き出し

ました。 お父様やお兄様たちが息を呑む中、馬車を見つめていたジント様が、すっとエメラルド色の瞳を細めます。


「……? 僕の馬車から、人が出てきたねぇ? しかもこれ、この世の終わりみたいな魔力を感じるね」 


ジント様は慌てるどころか、どこか楽しそうに口元をニヤリとつり上げました。


「おもしろい。久しぶりに手応えがありそうだね」


 復活した伝説の鬼を前に、静かに戦う準備をする最強の王族・ジント様。


 大暴れをたくらむ鬼と、それを受け立つ最強の少年。 そして二人の間で「

ねむねむ……」とパタパタしているバブ萌ちゃん。 お屋敷の庭を舞台に、

まさかの大激突が始まろうとしていた――!?(第26話へつづく)

第25話をお読みいただき、ありがとうございました!ジント様の馬車を全力で散らかす萌ちゃんを見て、お父様が(あとが怖いからやめて遅れぇ…っ)と心の中で叫ぶシーン、最高にハラハラしましたね(笑)。しかし、萌ちゃんが「いっとょにねよ!」とお願いした宝石から現れたのは、まさかの長年封印されていた『人間の姿をした鬼』でした……!大暴れしようとする鬼の少年ですが、ラストのジント様がめちゃくちゃ格好よすぎます!「久しぶりに手応えがありそうだね」という最強キャラのセリフにシビれました!「ジント様がんばれ!」「眠すぎて状況が分かってない萌ちゃんが可愛すぎる」など、皆さんの感想を【ブックマーク】や【評価(☆評価)】、感想欄で教えていただけると、次の話を考える大きなパワーになります!次回、第26話の最強バトル(?)もどうぞお楽しみに!

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