表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
25/64

第23話:寝起きの萌を助けたのは…

第23話をお届けいたします!寝ぼけてハイハイをしたまま、お屋敷の巨大な階段へと直行してしまった萌ちゃん!尊死しかけているお父様たちは使い物にならず、相棒のみちゃーれが必死に止めようとしますが……。絶体絶命のピンチの中、階段の下から「ある少年」が姿を現します!

みちゃーれは小さな肉球を踏ん張り、

死に物狂いで萌のドレスの裾を引っ張っていた。


 しかし、そんな相棒の必死の奮闘も

虚しく、萌の歩行スピードはまったく

変わらない。寝ぼけたままてちてちと、一直線に奈落の階段へと直行していた。


(にゃ、にゃあーーっ! 萌、お願いだから止まってぇぇ! 前世は社畜でも今はただのバブちゃんなんだから、階段なんか転げ落ちたらひとたまりもないよーーっ!!)


 一体、萌はどこへ向かっているのだろうか? このまま、真っ逆さまに階段を転げ落ちてしまうのだろうか――!? みちゃーれが絶望に目をみはった、

まさにその時。


 大きな階段の下から、ゆっくりと上がってくるひとりの人影があった。

「――ん?」 それは、アレク兄様ではなかった。 


身につけているのは上質な仕立ての貴族の服。少し長めの、艶やかな黄色の髪を揺らした、端正な顔立ちの少年だった。


 少年は、階段のすぐ手前までハイハイで迫っている小さな幼女と、その裾を涙目で引っ張っている猫の異常な光景に

気づき、ハッと目を見開いた。


「ちょっと君! ここへ来たら危ないよ! すぐそこに階段があるから、後ろへ戻った方がいい!」


 少年は萌の耳に届くよう、焦った声を張り上げた。 しかし、いまの萌は元社畜OLの理性が完全シャットダウンした、無敵の「バブ萌モード」である。


「ふにゃぁ……ちゅぱ……」 少年の必死の警告も、寝ぼけた萌の頭には一切入っていかない。


 それどころか、声のする方へと引き寄せられるように、萌はさらにハイハイの速度を上げて、階段の「最初の一歩」へと小さな手を伸ばしてしまい――。


「ちょっ、ちょっと待って! この先に来たらダメだって言ってるのに……

うーん、全然聞こえてなさそうだなぁ。……仕方ない、ちょっとだけ魔法を使っちゃおうかな」


 少年は困ったように眉を下げると、

階段の途中でスッと右手を前に突き出した。 その瞬間、彼の周囲の空気が、

まるで見えない重圧に押されるように

ぐにゃりと歪む。


「――汝、我に力を貸したまえ。我をあの女の子の所へ、お願いする」 


少年が静かに呪文を紡いだ瞬間だった。 お屋敷全体の空気が、一瞬にして

『ピリッ』と張り詰めたような、凄まじい衝撃波に包まれた。


それは単に強力というレベルではなく、世界のことわりそのものを書き換えてしまうかのような、圧倒的で底知れない魔力の奔流。


「っ!? な, なんだこの魔法の威力は……っ!?」


 その頃、廊下で尊さに悶絶していたお父様とライダ兄様が、弾かれたように顔を上げた。


 アレクの治療を終えて廊下を歩いていたお母様も、思わず息を呑んで足を

止める。 公爵家の上位魔導士たちでさえ冷や汗を流すほどの、規格外の

プレッシャー。


屋敷にいる全員が、驚愕とともに同じ

ことを覚えていた。 そんなお屋敷の混乱を余所に、少年は発動した魔法に

よって、一瞬で空間を跳び越える。


  てちてちとハイハイを続け、まさに階段のフチから真っ逆さまに落ちようとしていた萌の目の前に――光の粒子と

共に、少年がふわりと姿を現した。


「はい、キャッチ。危なかったね、おチビちゃん」 少年は優しく微笑みながら、小さな萌の身体を両腕でそっと抱きとめた。


 みちゃーれが「にゃっ!?」と


驚いて目を見開く中、少年は萌を抱っこしたまま、ふっと息を吐く。 萌は少年に助けてもらったが、まだ寝起き過ぎて頭がぼんやりしている。


目を細めてこすりながら、少年の腕の中で手足をパタパタとじたばたさせて

いた。


「おっとと、そんなに暴れちゃあ、俺の腕から落ちちゃうよ。……にしても君、精霊王も一緒に連れているんだね。

うーん、でもこの精霊王、まだ生まれたばかりって感じがするなぁ」


 少年は萌のドレスを必死に引っ張っていたみちゃーれの頭を優しく撫でながら、何かを深く考え込むように、そのエメラルド色の瞳を覗き込んだ。


「ふにゃぁ……? ……ふにゃぁ、ふぇぇえん!!」


 見知らぬ少年の腕の中で、萌はまだ眠気と混乱が限界に達したのか、ついに火がついたように大泣きを始めて

しまった。


小さな顔を真っ赤にして、わんわんと泣きじゃくる萌。 その泣き声に導かれるように、階段の向こうから猛スピードで駆けつけてきた人影があった。


 魔力を回復したばかりのアレク兄様と、彼を支えるお母様だ。

「萌ちゃん!? 泣き声が……って、

えっ……!?」


 萌の姿を見つけて駆け寄ろうとしたお母様だったが、彼女の視線が萌を抱きかかえている黄色の髪の少年に移った瞬間、その美しい顔が驚愕で凍りついた。


「あ、あなた様は……っ!? どうして、このような場所にいらしているのですか……!?」


 いつも優雅で落ち着いている公爵夫人であるお母様が、見たこともないほど

びっくり仰天している。 お母様は取り乱しながらも、即座にその場に深く膝をつき、最上級の敬意を示す姿勢を取ったのだった。 


大号泣する幻のエルフの幼女と、その正体を見抜いた謎の少年。 底知れない実力を持つ、彼の真の正体とは一体

――!?(第24話へつづく)

第23話をお読みいただき、ありがとうございました!寝ぼけてハイハイをしたまま、お屋敷の巨大な階段へと直行してしまった萌ちゃん!尊死しかけているお父様たちは使い物にならず、相棒のみちゃーれが必死に止めようとしますが……。絶体絶命のピンチの中、階段の下から「ある少年」が姿を現します!次回、第24話でついにこの少年の正体が明かされます!萌ちゃんの涙は止まるのか、そして公爵家一同はどう対応するのか!?もし「この少年は何者!?」「次回が気になる!」と思ってくださったら、ぜひ【ブックマーク】や【評価(☆☆☆☆☆)】で応援していただけると、執筆の大きな励みになります!よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ