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第22話:萌発見!!!

お待たせいたしました! 第22話のスタートです!前回、古い木製棚の中でみちゃーれと一緒に爆睡しているところを発見された萌ちゃん。ついに家族との対面ですが……感動の再会になるかと思いきや、萌ちゃんの可愛すぎる「ある仕草」のせいで、公爵家の男たちが大変なことになります(笑)。どうぞお楽しみください!

お父様はゆっくりと、壊れ物を扱うように木製棚のドアをそっと開けた。 薄暗い棚の奥。


そこには、大好きな相棒であるみちゃーれを小さな両手でぎゅっと抱きしめて

眠る、愛くるしい萌の姿があった。

「すーぴー、すーぅぅ……」


 無防備な寝息を立てる萌の顔をよく見ると、その小さな頬には、たくさんの涙の跡が白く残っているのが確認できた。


 それを見たお父様の胸に、締め付けられるような愛おしさと痛みが

込み上げる。


「萌ちゃん、無事だったんだね……。

こんなに涙のあとが残るくらい、寂しい思いをさせて、泣かせちゃったんだね。ごめんね……」


 お父様は萌を起こさないよう、消え入りそうな小さな声で呟きながら、その愛らしい頭をそっと、優しく撫でた。



「良かったぜ……。萌のために、死ぬ気で走りまくった甲斐があった……。

にしても、本当によく寝てるなぁ、

萌は」 


ライダ兄様は安堵の息を漏らしながら、愛おしそうに萌の柔らかいほっぺを指先でツンツンと突いた。

 だが次の瞬間――走りすぎた凄まじい反動が、一気に彼の身体を襲った。


「――っ、うわっ!?」 足の感覚が完全に消え去り、もうこれっぽっちも力が入らない。ライダ兄様はその場にドサリと崩れ落ちてしまった。見れば、その両足は生まれたての小鹿のようにガクガクと激しく震えている。


 そのただならぬ気配に気づいたのか、萌の腕の中でぬくぬくとしていたみちゃーれがパチリと目を覚ました。


 そして、お父様とライダ兄様に

向かって「にゃぁぁ……」と低く鳴き声を上げた。


 そのエメラルド色の瞳は、まるでふたりを叱責するように鋭く光っている。

『あなた達が萌の気持ちを察してくれなかったから、萌はこんなに狭い場所で、一人ぼっちで泣いちゃったんだぞ。……まぁ、みんなが必死に探してるってのに、この子は呑気に爆睡しちゃってたんだけどね』


 そう言葉で訴えかけるような鋭い視線を、みちゃーれは容赦なくお父様とライダ兄様に突き刺すのだった。


 木製棚の中に、外からの明るい日差しが差し込んでくる。 さらに頭の上で何やら楽しげな会話が飛び交っていることに、萌は少しずつ、ゆっくりと目を覚まし始めた。


「んにゅっぅ……んん。あれ、あかるぃの……? ……バブ、ちゅぱちゅぱ」 

眩しい光に目を細めながら、萌はトロンとした目をこすった。 


だが、あまりにも深く熟睡していたせいで、完全に脳の覚醒が追いついていない。もの凄い寝起きの悪さのおかげで、元社畜OLの理性が消え去り、なんと無意識に幼児化の「赤ちゃん仕草」が全開で飛び出してしまったのだ。


 小さな親指を口元へと持っていき、

小さなお口でちゅぱちゅぱと吸い始める萌。 それを見たお父様とライダ兄様は――。「「――っ、ぐ、ふぅっっ!?」」


 胸を、いや脳元を直撃するような圧倒的な可愛さに、ふたりは言葉を失った。


あまりの尊さに過呼吸になりかけ、冷たい床の上で身体を激しくブルブルと震わせながら、その破壊的な愛くるしさを全身で味わっていた。


「ぐほっ……! 可、可愛すぎる……っ! しかも親指を口に持っていってちゅぱちゅぱするなんて、反則だろ!? 今すぐ

この光景を絵師に描かせて、国宝として城の全室に飾りたい……!」


「んんんーっっ! 萌、かわよっ……! もし今ここにアレクとお母様がいたら、確実に魔術カメラで写真を撮りまくって、一生萌のアルバムを見つめて引きこもるレベルだぞ、これ……っ!」


 もはや可愛さに耐えきれず、涙目で悶絶する公爵家の男ふたり。 しかし、

そんなお父様たちの限界突破な狂乱っぷりを余所に、萌はまだ完全に夢の中

だった。「ふにゃぁ……」 


おもむろに棚の段差からごろんと這い出ると、なんとそのまま膝をつき、

てちてちとハイハイをしながら、ふたりの間をすり抜けてどこかへ向かって出発してしまった。


 その頃――。 お母様はすべての魔力を注ぎ込む勢いで、全集中してアレク兄様の治療にあたっていた。


 聖女の温かい光が包み込む中、深い気絶の底にいたアレク兄様が、うっすらと瞼を持ち上げる。

「……っ、お母様……? 助けてくれて、ありがとう。お母様のおかげで、少し魔力が回復したよ……」


 アレク兄様は消え入りそうな声でお母様に語りかけ、無事だよと伝えた。

 それを見たお母様は、安堵の涙をポロポロと溢れさせながらも、力強く言葉を放った。


「……っ、いいのよ、アレク! 萌ちゃんを見つけ出してくれて本当にありがとう……! さすが私の自慢の息子だわ。

これは一生、誇りに思ってもいいことなのよ。さあ、お父様たちが萌ちゃんの

ところへ向かったわ。

私たちはも行きましょう」 


お母様はフラつくアレク兄様の身体を優しく支えながら、萌がいる場所へと急いで歩き出した。 ――しかしその頃、当の萌のすぐ傍では、相棒のみちゃーれが心臓をバクバクさせてハラハラしっぱなしだった。


 なぜなら、寝ぼけたままてちてちとハイハイを続ける萌の進行方向には――

お屋敷の巨大な階段が待ち受けていたからだ。


「にゃ、にゃにゃにゃあーーっ!?

(萌! 起きて! このまま突っ走ったら

階段から落っこちちゃうよ! お父様と

ライダは尊死してて全然役に立たないし、誰か助けてーーっ!)」


 みちゃーれは小さな身体を必死に踏ん張り、萌のドレスの裾をグググッと

引っ張りながら、なんとか階段から

遠ざけようと死に物狂いで頑張って

いた。


 だが、最強種『幻のエルフ』である萌のハイハイパワーは、寝ぼけていても意外と力強い。


「ふにゃぁ……バブー……」 迫り来る、奈落の階段。 ドレスを引っ張るみちゃーれの小さな肉球も、そろそろ限界を迎えようとしていた。


 萌はこのまま、階段から転げ落ちてしまうのだろうか!?

 それとも、お母様やアレク兄様、

あるいは復活した誰かが、この危機を

救ってくれるのだろうか――!?

(第23話へつづく)

第22話をお読みいただき、ありがとうございました!寝起きで元社畜OLの理性が吹き飛び、赤ちゃん返りしてしまった萌ちゃん……お父様とライダ兄様が床の上でブルブル震えて悶絶するのも無理はありません(笑)。しかし、そんな親バカたちが役に立たないせいで、萌ちゃんがまさかの大ピンチに!? 頑張れみちゃーれ!次回、第23話でこの危機の結末が明かされます! お母様とアレク兄様は間に合うのか!?もし「みちゃーれ頑張れ!」「萌ちゃん危ない!」と思ってくださったら、ぜひ【ブックマーク】や【評価(☆☆☆☆☆)】で応援していただけると、次回執筆の大きなエネルギーになります!よろしくお願いいたします!

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