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第21話:萌の捜索開始

いつも応援ありがとうございます!前回、家族全員のすれ違いが発覚し、大パニックに陥ったヴィンテ・ラジ公爵家。今回は、我が家の天使を救い出すため、家族も兵士も全員が己の限界を超えて動き出す「大捜索編」です!アレク兄様が命懸けで突き止めた場所に、お父様たちが駆けつけますが……?それでは、第21話をお楽しみください!

 家族全員が、萌の本当の気持ちに気づいた直後のこと――。 ヴィンテ・ラジ公爵邸の中庭には、萌を探し出すために集められた大勢の兵士たちが、お父様を囲むようにして整列していた。


 お父様は前に進み出ると、鬼気迫る

表情で叫ぶように命令を下した。


「皆! 萌ちゃんを見つけ出すため、どうか協力を頼む! 見事に見つけ出した者には、褒美として『一週間の特別休暇』を与える――!」 


お父様のその言葉が響いた瞬間、兵士たちの目の色が変わった。 一週間の

休み。それは過酷な訓練や任務をこなす彼らにとって、何よりも魅力的なご褒美だった。


「おおおおお――っ!!」 地響きのような雄叫びが上がり、兵士たちは全員、萌を見つけ出すという強い執念とやる気で、文字通りゴウゴウと炎が弾けそうなほどに燃え上がっていた。


 その頃、屋敷のバルコニーでは、

アレク兄様が全神経を集中させていた。


 「……っ、ふぅぅぅ……。探知魔術、

最大出力……展開っ!」


 アレク兄様は全集中し、自身の魔力探知を限界まで広げて屋敷の中をくまなく見渡していく。 

しかし、全集中で最大限に屋敷を

スキャンする行為は、凄まじい勢いで魔力を消費する。大人の超一流魔術師ですら数分が限界と言われるほど過酷な術であり、最悪の場合、体内の魔力が枯渇する『魔力欠乏症』になって倒れてしまう危険性があった。


まだ子供のアレク兄様がやれば、

そのリスクは跳ね上がる。 

それでも、アレク兄様が術を解く気配は一切なかった。

(萌ちゃん、絶対に僕が見つけるからね……っ! 待っていておくれ……!)


 ただ萌ちゃんのためだけに、アレク

兄様は己の限界を超えて魔力を放出し続けていた。 地上では凄まじい『突風』が屋敷の周りを駆け抜けていた。


ライダ兄様だ。

(萌……無事でいてくれよ……っ!) 

ライダ兄様は生まれつき、並外れた脚力を持っていた。


さらにその足へ限界まで魔力を込めると、あの韋駄天の野獣、チーターすらも遥かに追い抜くほどの速度で走ることができるのだ。 


だが、この超高速移動には手痛い代償があった。あまりの負荷に、術が解けた後はしばらく足の感覚がなくなり、一歩も立ち上がれなくなってしまうのだ。


 それでも、萌を見つけ出すためならどんな代償だって喜んで食らってやるという凄まじい勢いで、彼は屋敷の敷地内を爆走していた。


「萌ちゃん! どこにいるの、萌ちゃん……っ!」 お母様も、今は泣いている暇ではないと急いで涙を拭い、屋敷の部屋を一つずつ見て回っていた。 


お母様が持つ力は、人々の傷を癒やす

『聖女の力』や『祈り』であり、決してい戦闘や捜索に向いているわけではない。広大な公爵邸を一人で歩いて捜索するのは過酷な作業だったが、萌のためならなんだってできるという強い想いだけが、お母様の足を突き動かしていた。


(萌ちゃん、あなたの健気な気持ちに気づいてあげられなくてごめんね……。

見つけたらいっぱい、いっぱいお話ししようね……っ) 


それぞれの強い想いを胸に、ヴィンテ・ラジ公爵家による怒濤の大捜索が、

いま完全に始まりを告げたのだった。 


大捜索が始まってから、およそ三時間が経った頃――。 短いようで、あまりにも長く感じられた過酷な捜索に、ようやく大きな進展があった。


「……っ、は、あ、……く、そ……っ」 バルコニーにいたアレク兄様は、すでに完全に限界を迎えていた。

体内の魔力は底を突き、自力で立つことすらままならず、その場にフラフラと崩れ落ちそうになっている。


 だが、その虚ろになりかけた瞳が、

屋敷の一角を捉えた。

「……ち、ちち……うえ……。あ、そこ、だけ……魔力が、弾かれる……。まるで、なにかが、中を、守っている、ような……っ(バタっ)」


 アレク兄様は消え入りそうな声を振り絞ってそう告げた瞬間、ついに限界を超えてその場に倒れ込んでしまった。


「ありがとう、アレク……っ! よくやってくれた! すぐにお母様を呼んでやるからな! それまでどうか持ちこたえてくれ……っ!」 


お父様はボロボロと溢れ出る涙を力強く拭いながら、愛する息子の勇敢な姿を

これでもかと褒めちぎった。


「アレク兄さん……! あとは任せてくれ。俺たちが絶対に、萌を見つけ出す

からさ!」 


ライダ兄様も倒れたアレク兄様にそっと寄り添い、強い決意を告げたあと、すぐに感知された場所へと向かった。


 ただならぬ気配を察したお母様も急いで駆けつけ、すぐにアレク兄様の治療に移りはじめる。深刻な『魔力欠乏症』に陥っている我が子へ、お母様は自らの

全魔力を込める勢いで、最大限の治癒魔法を注ぎ込んでいくのだった。


 アレク兄様が繋いでくれた一筋の希望を頼りに、お父様、兵士たち、そしてライダ兄様は萌を感知した場所へと猛スピードで向かった。 しかし、ようやくその場所に辿り着いたものの、あたりを見回しても肝心の萌の姿はどこにも見えなかった。


「萌! 返事をしてくれ! もう忙しいなんて言わないから! 出てきてくれ萌!!」


 ライダ兄様が声を張り上げて萌を呼ぶ。その悲痛な叫びが、静かな廊下に大きく響き渡った。


「萌ちゃん! 萌ちゃんをもう絶対に寂しい思いにはさせないから、出てきておくれ! お話なら、お父様がいっぱい、いっぱい聞いてあげるから……!」


 お父様の切実な声も重なり、廊下に響き渡った――その、途端。

(ガタッ!!) 廊下の隅にある、古びた大きな木製棚の中から、何かが動いたような小さな音が聞こえた。


「っ!?」


 全員の視線が、一斉にその音のした棚へと集中する。お父様とライダ兄様は

息を呑み、ゆっくりと、しかし確実にその棚の方へと足を進めた。

 頼む、無事でいてくれ――。 

お父様が意を決して、棚の扉を勢いよく開ける。

 開かれた薄暗い棚の中。そこにいたのは――。 涙の跡をいっぱいに付けたまま、大好きな相棒であるみちゃーれを

小さな両手でぎゅっと抱きしめて、

「すぴー、すぴー……」と無防備に寝息を立てて熟睡している、愛くるしい萌ちゃんの姿だった。


(第22話へつづく)

第21話をお読みいただきありがとうございました!家族全員が限界突破の代償を支払い、兵士たちが1週間休みのために目を血走らせる中、ついに萌ちゃんの居場所を突き止めました!お父様たちの必死の叫び声に、寝返りか何かで「ガタッ」と音を立ててしまう萌ちゃん、最高にタイミングが良くて可愛いですね(笑)。扉を開けたら、泣き顔のまま猫を吸って爆睡している我が家の天使……!次回第22話、この尊すぎる寝顔を見たお父様とライダ兄様、そして治療を終えて駆けつけるお母様たちの「過保護大爆発」のリアクションをお楽しみに!「みんなの必死な姿にグッときた!」「萌ちゃんの寝顔が想像できて可愛い!」と思ってくださった方は、ぜひいいね・評価・ブックマークで応援よろしくお願いします!

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