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第16話『正式に家族になりました!

いつも『社畜OLの葛木萌、猫を助けて異世界へ!』をお読みいただきありがとうございます!前回は、最強の王妃殿下と超過保護な家族のおかげで、強欲な国王陛下の企みを無事に打ち砕くことができました。公爵邸での大お祝いパーティー、萌ちゃんの「だいちゅき!」でノックアウトされるお父様とお兄様たちが最高でしたね(笑)。第17話は、騒動が落ち着いた公爵家のほのぼの日常回です!……ですが、どうやら裏では新たな不穏な影が動き出しているようで……?それでは、第17話をお楽しみください!

あの国王陛下による、理不尽極まりない精霊王みちゃーれと萌の強奪未遂騒動。王宮の玉座の間で繰り広げられたあの

大修羅場から、命からがら(?)逃げ帰り、公爵邸での大はしゃぎなパーティーを終えて、ようやく私に平和な時間が

戻り始めた頃。


実は、私の「養子」の件で、信じられないほどの超スピード進展があった。あの場に居合わせ、国王陛下を笑顔で脅しつけていた最強の王妃殿下が、なんと騒動のあとすぐに裏で手を回して動いてくれたのだ。


国家の最高権力者の一人が本気を出した結果、手続きにかかった時間は……

まさかの数分。

「はい、これで萌ちゃんは正式に、我がヴィンテ・ラジ公爵家の一員だよ! 誰にも文句は言わせないからね」


王宮から届いた正式な書類を前に、私は心の中で盛大に拍手を送った。

パチパチパチパチ! 王妃殿下、仕事が早すぎて最高です!お父様もお兄様たちも、屋敷のメイドさんや料理長たちも、みんな涙を流して我がことのように大喜びしてくれた。


これで正真正銘、私はこの温かい家族の娘に、そして妹になったのだ。前世の孤独な社畜時代には決して手に入らなかった、本物の家族。これで一件落着!……


と、すんなり行かないのが異世界のストーリーであり、なろうのお約束。

この平和な日常の裏では、私たちをハラハラドキドキさせる、ヴィンテ・ラジ公爵家を狙う『ヴィンテ・ラジに潰された貴族や追い詰められた貴族達』の反撃が、静かに始まろうとしていたの

だけれど……。もちろん、今の私が

そんな不穏な空気など知る由もない。


あの騒動からすっかり落ち着き、

私は幸せで平凡な幼児ライフを満喫していた。


「もえ〜! 待って、早すぎるよ……っ、お兄ちゃん達もうバテちゃう……!」


「あははっ! まだもえ3歳だから育ち盛りだよ、アレク兄! さぁ、

アレク兄が『鬼』になっちまったな……逃げろー!」


「もえ! 今度はアレク兄が鬼だぞー!

覚悟しろー!」


公爵邸の、もはやちょっとした森レベルに広大な庭園に、楽しそうな声が響き

渡る。現在、私は絶賛お兄様たちと全力の鬼ごっこ中だ。


中身は20代後半の元社畜OLだけど、幻のエルフの血のおかげか、3歳児の身体は驚くほど軽くて体力が無限にある。

ちょっとステップを踏むだけで、

風に乗るようにタタタッと芝生の上を駆け抜けられるのだ。


身体能力のチート万歳!「みちゃーれ! こんどはアレクにぃが鬼だってぇー!

早く逃げなきゃ捕まっちゃうね、

きゃーっ!」


私の頭の上、お気に入りの定位置で、

ピンクと白のふかふかした毛並みをしたみちゃーれが、小さな肉球をパッと広げた。「みゃあ!(絶対に捕まらないにゃ! もえの髪の毛は僕が死守するにゃ!)」


語尾の「〜にゃ」は相変わらず鼓膜がとろけるほど可愛いけれど、みちゃーれは一応、生まれたてとはいえ伝説の

精霊王。私を捕まえようと全力で走ってくるアレク兄の足元に向けて、みちゃーれが「ふんっ!」とちゃちな鼻息を鳴らした。


その瞬間、アレク兄の目の前の芝生が、まるで生き物のようにぐんぐんと急成長して、足首に優しく絡みつく。


「わわっ!? 根っこが……っ!?

待って、精霊王様、

これはズルいよー!」


「あはは、みちゃーれナイス!」

アレク兄が「おっとっと!」と派手に

バランスを崩して芝生に突っ込むのを

見届けながら、私はさらに加速する。


すると今度は、木陰からもう一人の

過保護なお兄様、ライダ兄がニヤリと笑いながら飛び出してきた。


「ふふん、油断したね萌ちゃん! 後ろがお留守だよ!」


「ひゃうっ!?」


回り込まれた! 3歳児の短い足では急に止れない。ライダ兄の大きな手が私の背中に届きそうになった、その時――。


「みゃーーーう!!

(もえに触るな不届き者にゃー!!)」


みちゃーれの瞳がキランと鋭く光る。

次の瞬間、私の周囲に目に見えないほどの優しい風のバリアが展開され、ライダ兄の手を「ぽよんっ」と柔らかく弾き返した。


「痛っ!? いや、痛くはないけど……風の結界!? 生まれたてで風の上級魔術を使うなんて、やっぱり精霊王、

恐るべし……!

でも怒った顔もめちゃくちゃ可愛いなちくしょう!」


ライダ兄は弾き飛ばされながらも、みちゃーれの愛らしさに胸を押さえて悶絶している。この家族、本当に私のことが好きすぎてネジが何本か飛んでいる

気がする。


「おーい、二人ともそこまでだ! 萌、危ないからあまり転ばないようにな!」


遠くから、心配そうな顔で見守っていたお父様が過保護全開の声を出している。


お父様なんて、さっきから私がちょっとよろめくたびに、いつでも飛び出せるように姿勢を低い姿勢を

とっているのだ。


24時間警護の執念がまだ抜けていないらしい。そう、私たちはあの王宮の騒動を乗り越え、本当に温かくて幸せな日常を取り戻しつつあった。


大好きな家族と、全霊で甘やかしてくるお兄様たちと、全力で鬼ごっこをして笑い合える楽しい毎日。前世では、誰かにこんな風に追いかけられるのは、いつも「仕事の締め切り」だけだった。


走っても走っても終わらないタスク。

理不尽に怒鳴る上司。深夜の冷え切ったオフィス。そんな孤独で息苦しかった

世界とは違い、今の私の周りには、私を心から愛して、守ってくれる

人たちがいる。


(みんな、本当にだいちゅき……。

この温かい時間が、ずっとずっと続くといいな)


私が胸の奥をじんわりと温かくしながら、最高の笑顔で振り返った、その時だった。庭園を囲む高い城壁の向こう側から、ほんの一瞬だけ、肌を刺すような冷たい魔力の気配が通り過ぎたのを

感じた。


みちゃーれがピクッと耳を立て、警戒するように城壁の方を睨みつける。

この時、私はまだ知らなかった。平和を取り盛り戻した公爵家に、かつてない

大きな危機の足音が、すぐそこまで迫っているということを――。

(次回へつづく)

第17話をお読みいただき、ありがとうございました!王妃殿下の神がかったスピード解決により、ついに萌ちゃんが正式なヴィンテ・ラジ公爵家の一員になりました!アレク兄やライダ兄との全力の鬼ごっこ、そして生まれたてなのに萌ちゃんを守るために大活躍するみちゃーれ(精霊王)、みんな可愛すぎます……!しかし、最後に感じた冷たい魔力の気配。タイトルにもある「ヴィンテ・ラジの遺族」とは一体何者なのか? 平和な日常に迫る危機の正体とは――!?気になる第18話も、どうぞお楽しみに!【作者からのお願い】「萌ちゃん可愛い!」「みちゃーれの肉球バリア最高!」と思ってくださった方は、ぜひ作品へのブックマーク登録や、下にある【☆☆☆☆☆】の評価を【★★★★★】に染めて応援していただけると、執筆の凄まじい励みになります!感想やレビューもお待ちしております!

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