第15話王妃殿下どうしてそんな事に…?
いつもお読みいただきありがとうございます!前回、卵から生まれた可愛いピンクの猫ちゃんが、なんと伝説の「精霊王」だったことが発覚!しかも地球で萌ちゃんが助けたあの猫ちゃんだったなんて……!しかし、強欲な国王陛下がミチャーレを無理やり奪おうと口説き始め、生まれたばかりのミチャーレはピンチに。萌ちゃんも必死に抵抗しますが、力尽きそうになってしまいます。その時、これまでずっと黙っていた王妃殿下が、ついにガタッと立ち上がり――!?王宮編、いよいよクライマックスです!
「お、お、お待ちください精霊王!
なぜ? 萌様に着いて居られるんですか! 最もそんな貧弱な子供ではなく、是非、私と共に着いて来て下さっても!!」
国王陛下は萌を無視して精霊王を奪おうと、全力で精霊王を口説いていた。
みちゃーれは国王陛下に威嚇をして、
自分を触らせないようにしていたが、
まだ生まれたばかりだから抵抗する
体力がない。
「こくふうへいちゃ(国王陛下)! みちゃーれを連れて行かないで! みちゃーれは私の家族だもん!」
みちゃーれの代わりに精一杯抵抗したが、どんどんみちゃーれが
力尽きちゃう……。
どうしたらいいの……。その時――
ガタッと王妃殿下が立ち上がった。
(さっきから王妃殿下黙ったままで急に立ち上がって……もしかして、みちゃーれが連れて行かれちゃう!?)
私は心の中でそう思っていたけれど、
王妃殿下が言葉を発した瞬間、その予想は完全に裏切られることになる。
「はぁ……もうおやめなってはいかがですか。もえちゃんとミチャーレくんは
一緒に暮らしたらいいじゃあないですか。何をわがまま言ってるんですか」
王妃殿下のそのあまりにも呆れ果てた、けれど有無を言わせない冷徹なトーンに、王の間が一瞬で静まり返った。
「な、何をお前は言っているんだ! 相手は伝説の精霊王だぞ!? これを国で管理せずしてどうする!」
国王陛下が顔を真っ赤にして怒鳴り散らすが、王妃殿下はフッと鼻で笑うと、パチンと優雅に指を鳴らした。
「――王妃殿下のお言葉の通りにございます、陛下」その瞬間、地を這うような低い声とともに、私の前に大きな影が立ちはだかった。お父様だ。
さらにお兄様たちも一斉に私の前に並び、国王陛下からの視線を完全に遮るようにして、大きな壁となって私とみちゃーれを守ってくれた。
「ヴィ、ヴィンテ・ラジ公爵! お前たち、王妃と通じていたのか!?」
ガタガタと震え出す国王陛下を見て、
私は腕の中のみちゃーれをきゅっと抱きしめながら呆然としていた。
(えぇーっ!? お父様もお兄様たちも、全然驚いてない……!? もしかして、最初から王妃殿下と裏で約束してたの!?)王妃殿下は玉座からゆっくりと降りてくると、私の前で優しく微笑んでくれた。
「萌ちゃん、よく頑張りましたね。
もう大丈夫ですよ。……陛下、ヴィンテ・ラジ公爵家がどれほどこの国に貢献しているか、お忘れですか? その公爵家が命をかけて守ると誓った我が子を、
国の道具として奪おうなど……言語道断。これ以上醜態を晒すのであれば、私は実家の軍を動かして、陛下を
『静かなお部屋』へ幽閉せねばなりませんが?」
「ひっ……!」
にっこりと美しい笑顔のまま、とんでもなく恐ろしい脅し文句を口にする
王妃殿下。どうやらこの国で本当に一番怒らせてはいけないのは、国王陛下ではなく王妃殿下だったらしい。
お父様たちも、冷徹な視線を国王陛下へと突き刺している。
「我が娘・萌に不届きな真似をしようものなら、我がヴィンテ・ラジ公爵家も黙ってはおりません。……さぁ、萌、ミチャーレくん。お家に帰ろうね」
(みんな……ありがとう……!)さっきまで力尽きそうだったみちゃーれも、お父様たちの放つ安心感のある魔力で少しずつ元気を取り戻し、
「みゃあ、みゃあん(もう安心にゃ)」と嬉しそうに私の胸に顔を埋めた。こうして、最強の王妃殿下と超過保護な家族の力によって、国王の企みは完全に打ち砕かれたのだった。
王宮での大騒動を終え、無事にヴィンテ・ラジ公爵邸へと帰還した私たち。
すると、待っていたのは信じられないほどのお祭り騒ぎだった。事情を聞いた使用人たちや料理長は
「萌様のご無事と、精霊王様のご生誕をお祝いせねばなりません!」
と涙を流して大張り切り。気がつけば、食堂のテーブルには溢れんばかりのごちそうが並び、公爵家始まって以来の大お祝いパーティーが幕を開けた。
「さぁ萌ちゃん、怖かったね。美味しいものをたくさん食べて元気を
出すんだよ!」
「いや、僕の特注タルトを先に食べておくれ! 萌ちゃんのために最高の職人を呼んだんだ!」席につくやいなや、
お兄様たちが次から次へとスプーンを
片手に迫ってくる。
お父様もお父様で、隣で「萌、これからは私が24時間体制で警護をつけるからね」と真剣な目でとんでもないことを言っている。
(みんな、私が無事だったのが嬉すぎて、ちょっとテンションがおかしくなってない……!? 24時間警護って、私のお風呂とかトイレはどうなるのよ!)
心の中で激しくツッコミを入れていると、私の膝の上で丸くなっていたピンクと白の毛並みが、むくっと起き上がった。生まれたばかりの精霊王、
みちゃーれである。みちゃーれはお兄様たちに向かって、
ちっちゃな肉球をパッと広げて可愛く
威嚇した。
「みゃーあ!(萌に気安く近づくなにゃ! 萌が最初に食べるのは、僕がふーふーしてあげたスープにゃ!)」
語尾の「〜にゃ」は相変わらずものすごく可愛いけれど、その瞳の奥にはしっかりと精霊王の鋭い光が宿っている。
「くっ……! なんて生意気な子猫なんだ……! でも、肉球がピンクでめちゃくちゃ可愛い……!」お兄様たちは、
威嚇されているのになぜか悶絶して頭を抱えている。
そんな賑やかな家族の様子を見つめながら、私は腕の中のみちゃーれを優しく撫でた。前世の孤独だった社畜時代には、こんな風に誰かに全力で心配されたり、歓迎されたりすることなんて一度もなかった。
(みんな……本当にありがとう)胸の奥がじんわりと温かくなって、私は最高の笑顔をみんなに向けた。
「みんな、だいちゅき(大好き)!」その瞬間、お父様もお兄様たちも、あまりの尊さに胸を押さえてその場にノックアウトされたのだった。
次回へつづく――!
第15話をお読みいただきありがとうございました!まさかの王妃殿下、めちゃくちゃ格好良かったですね!さすがこの国で一番怒らせてはいけない最強の存在。お父様たちヴィンテ・ラジ家とも事前に裏でしっかり手を握っていたようで、国王陛下を完全にタジタジにさせてくれました。そして後半は、無事にお家に帰れての超溺愛お祝いパーティー!お兄様たちをちっちゃい肉球で威嚇するみちゃーれと、最後の一撃(だいちゅき!)でノックアウトされる家族一同に、書いていて私自身もとても癒やされました(笑)。
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