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第157話:『巨大な木のところで待っていた人、まさかの私の大ファン(神様)だった件について』

いつも応援ありがとうございます!

前話のラスト、世界樹の最奥にある巨大な木の麓で萌ちゃんを待っていたのは……なんと、彼女をこの世界に転生させてくれた、あの爽やかな「神様」でした!


感動の再会、そして神様のまさかの

「限界オタクっぷり」にクスッとしていただければ幸いですが、今回の本題はそれだけではありません。


神様から告げられる、今後の物語を大きく揺るがす

【恐ろしい出来事】への警告。


さらに、お話の終盤では、前世の萌ちゃん自身も登場する、とても意味深な回となっております。


コミカルなギャップと、今後の怒涛の展開への伏線が詰まった第157話、どうぞ最後までお楽しみください!

 天をも貫くほどに巨大な、生命の根源たる世界樹の大樹。





その麓、神々しい黄金の木漏れ日の中に佇んでいた人影が、私の足音に気づいてゆっくりと振り返った。






 光の霧がふわりと晴れていく。






現れたのは、透き通るような白銀の髪に、満天の星空を溶かし込んだような

深い群青の瞳を持つ、息を呑むほどに

美しい青年だった。






纏っている衣は現実世界の誰のものとも違い、神聖な魔力の粒子が服の裾から

キラキラと零れ落ちている。






 あ……。私、この高貴で美しい姿を

知っている。





「――やあ、萌ちゃん。よくここまできたね」







 大樹の根元で、その青年は私に向けて、いたずらっぽく爽やかに片手を振ってみせた。






 その声音、その優しい眼差し。





間違えるはずがない。






前の世界で孤独に死んでいった私を

哀れみ、この温かくて優しい異世界へと生まれ変わらせてくれた――私を転生

させた神様だ。






「神様……っ! お久しぶりですみゅ!

その、今は銀髪のエルフの姿になっちゃってますけど……!?」







 私が幻のエルフの幼女の姿のまま

トコトコと駆け寄ると、神様は嬉しそうに目を細め、私の視線に合わせてその場にしゃがみ込んでくれた。







「うん、知っているよ。現実世界での

可愛い白うさぎ姿の君も、今のエルフの幼女姿の君も、全部ね。


……本当に、よく頑張ってここまで

歩んできたね、萌ちゃん。前の世界では誰にも届かなかった君の声が、今はあんなにも君を愛してくれる家族に届いた。


君が過去の寂しさを乗り越えて、自分の声で『ただいま』と言えたこと、僕は心から誇りに思うよ」







 神様は爽やかな笑顔のまま、私の小さな頭を優しく撫てくれた。






その言葉の

一つ一つが、前の世界で傷ついていた私の心を極上の優しさで包み込んでいく。







 ああ、やっぱりこの神様は、私にとって最高の恩人だ。こんなに神々しくて

優しくて、すべてを見守ってくれているなんて、まさに理想の神様――。







 そんな私のピュアな感動がピークに達した、次の瞬間だった。






「――ッ!!! あああダメだ、我慢

できない! 生の萌ちゃんが、僕の目の前でトコトコ歩いてペコリとお辞儀してくれた……! うわぁぁぁ本物だぁぁぁーーー!!!」







「みゅぅっ!?」






 さっきまでの爽やかで神聖な威厳は

どこへやら。







神様は突如として両手で顔を覆い、限界を迎えたオタクのように激しく身悶え始めたのだ。






「あ、あの……? 神様……?」






「萌ちゃん! 君、さっき現実世界の森で『みんな大好き』って言ったよね!?

言ったよね!? 録音! 録音魔術

どこいった!?


あ好っ、尊すぎて僕の神格が限界突破

して弾け飛んじゃう……!


毎日世界樹の端末から君のモフモフライフを覗き見……ゲホン、温かく見守っていた甲斐があったよ!!」






 神様はダダダッと凄い勢いでさらに

距離を詰めると、私の手前でピタッと

止まり、ハァハァと荒い息を吐きながら私のことを見つめてきた。






その瞳はギラギラとした熱狂的な輝きを放っている。






「ええっと、私の大ファン……なんですかみゅ?」






「ファンなんておこがましい、僕は君の全肯定信者、いわば萌ちゃん党の党首だよ! 見てごらん、この世界樹の葉っぱを!」






 神様がバッと大樹を指差すと、巨大な木の葉が一斉にシャラシャラと音

を立てた。





よく見ると、葉っぱの一枚一枚に、私がうさぎ姿でタルトを必死に食べている

姿や、じんと様に甘やかされている

名場面が、映画のスクリーンのように鮮明に映し出されている。







「うわぁ、本当に全部見てたんですね

みゅ」






「ストーカーじゃないよ、熱狂的な保護者だよ!


君が言葉を喋れるようになった瞬間

なんて、嬉しすぎて世界樹の魔力を暴走させて、世界中に瑞兆の甘い雨を降らせるところだったんだからね!?」






 見た目は超絶爽やか美形なのに

中身が完全に

「萌ちゃん推しの限界オタク」だった。






この神様、私が前の世界から持ってきた本や温かい記憶を、世界樹の特等席で

リアルタイムで楽しんでいたらしい。






「でも、わざわざ私をここに呼んでくれたのは、ただのファンミーティング

じゃないですよねみゅ?」






 私がじと目で首を傾げると、神様は

ハッと我に返り、コホンと一つ上品に

咳払いをして元の爽やかな微笑みに戻った。







「おっと、そうだったね。……さて

ここからが本題だ、萌ちゃん」







 神様の声から、ふっとおちゃらけた

空気が消え失せる。






神様の群青の瞳が、これまでにないほど真剣な、そしてどこか悲痛な色を帯びて私を見つめる。







「本題はね……これから、あの恐ろしいことがやってくる、ということなんだ」







「恐ろしい、こと……みゅ?」






「うん。今は婚約者やお兄ちゃんたちに囲まれて平和かもしれないけれど

それはそう長くは続かない。



この世界に、すべてを脅かすような

大きな危機が近づいている。


……ごめんね、世界の因果のルールが

あって、具体的に何が起こるかまでは

僕の口からは言えないんだ。


だけど、これだけは肝に銘じておいて

ほしい。


これからどんな困難が訪れても、君が

この世界で築いた『温かい絆』が

あれば、必ず乗り越えられる」






「神、様……。わかりましたみゅ。


何が起きるか分からないけど、みんなと一緒に、ちゃんと肝に銘じておきます……!」






 私がコクンと力強く頷くと、神様は

「うん、君ならそう言ってくれると

信じていたよ」と、愛おしそうに

微笑んだ。





 ふと見ると、いつの間にか神様の

すぐ横に、もう一人の小さな人影が静かに佇んでいることに気がついた。






「あ……」






 光の霧の向こうに立っていたのは

ボロボロの服を着た、小さくて痩せ

細った人間の女の子。






 ――それは、前の世界で孤独に耐えながら、誰にも愛されず、この世を去った私自身の過去の姿(前世の萌)だった。






 前世の私は、今のシルバーヘアで

綺麗なお洋服を着て、みんなに愛されているエルフ姿の私を、じーーーっと

激しく睨みつけていた。







 嫉妬、羨望、そしてどうして私だけが、という、前の世界に置いてけぼりにされた彼女の生々しい未練が、その鋭い視線から突き刺さるように伝わってくる。







神様も私も言葉を失う中、前世の私は幼児の小さな足で、トコトコと私の方へ向かって歩いてきた。






 そして私の目の前まで来ると、小さな拳をぎゅっと握りしめ、消え入りそうな、けれど確かな強い意志の宿った声でこう言ったのだ。




「……ずるい。私も、行きたい」


(第157話 終わり)

第157話をお読みいただき、ありがとうございました!


神様の限界オタクなギャップに笑いつつも、後半から

ラストにかけては息を呑む怒涛の展開となりました。


神様から告げられた「恐ろしいことがやってくる。


平和はそう長くは続かない」という不穏な本題。


一体この優しい異世界に、何が起きようとしているのでしょうか……!?


そして何より、ラストの強烈な引き――。


今の幸せなエルフ姿の萌ちゃんを羨んで激しく睨みつけ、トコトコ歩いて「ずるい。私も、行きたい」

と言い放った、前世の小さな萌ちゃん。


前の世界に置いてけぼりにされた彼女の生々しい本音と未練が、今の萌ちゃんに突きつけられたところで幕引きとなります……!


ここで終わってしまって本当にごめんなさい!


魂の器を定着させるはずのこの空間で、萌ちゃんは過去の自分とどう向き合うのか。


「ここで終わるのずるい!続きが気になりすぎる!」

「前世の萌ちゃんを救ってあげて……!」

と思ってくださったら、ぜひ評価(⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎)や感想

ブックマークでの応援をよろしくお願いいたします!


皆様の応援が、次の話を形にする何よりのエネルギーになります。

次回、魂の邂逅と救済の第158話も、どうぞお楽しみに!

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