第145話:エルフの里とは大違い! 本物のお母様を最高のドレスと贅沢料理で大歓迎します!
前回の第144話では、エルフの里を完全に見捨てて帰還する馬車のなか、なんと精霊王みちゃーれが
「世界樹の場所を知っているみゅ!」とドヤ顔で道案内を買って出てくれました!
今回の第145話では、一同がついにヴィンテ・ラジ公爵邸に帰還します!
馬車を降りた瞬間、お城のような大邸宅に圧倒されて腰が抜けそうになるルミエラお母様。
さらに、ずらりと並んだ使用人たちによる
「おかえりなさいませ」という圧倒的な歓迎の礼が彼女を迎え入れます。
最高級のドレスに身を包み、涙が出るほど美味しい
贅沢料理に舌鼓を打つルミエラお母様ですが
その歓迎会の席で、お父様とアレク兄様たちが
「世界樹の森」へ向かうためのとんでもなく恐ろしい規格外の遠征計画をサラリと話し始め……!?
本物のお母様への溺愛と、公爵家の本気のやり取りが
光る、癒やしとワクワクの最新回です!
ガタゴトと心地よく揺れていた魔導馬車が静かに停車し、扉が開かれた。
長旅を終えた私たちがついに帰って
きたのは、住み慣れた我が家――
ヴィンテ・ラジ公爵邸だ。
お父様に続いて、ルミエラお母様の
手を引いた我が家のお母様が馬車から
降りる。
私もルミエラお母様の腕の中から
ぴょこんと顔を出し、懐かしい我が家の敷地を見上げた。
その時、私の体を抱きしめていた
ルミエラお母様の腕が、微かにカタカタと震え始めた。
「ひゃ、あ……っ!?」
ルミエラお母様は息を呑み、そのまま地面にへたり込んでしまいそうなほど
膝をガクガクと震わせている。
完全に腰が抜けそうになっていた。
無理もない。
目の前にそびえ立っているのは、白亜の石壁に囲まれた、まるでお城と見紛う
ほどの巨大で豪華絢爛な公爵邸なのだ。
エルフの里の木々で作られた質素な
家々とは、規模も輝きも文字通り桁が
違いすぎる。
「ルミエラさん、大丈夫ですか?
少し目眩でも?」
お母様が心配そうに顔を覗き込むと
ルミエラお母様は首を激しく横に
振った。
「い、いえ……! その、あまりにも……あまりにもお屋敷が大きくて、立派すぎて……! 私のような里を追われた身のエルフが、本当にこのような
神殿のような場所に入ってよろしいのでしょうか……っ」
ルミエラお母様は怯えるように身を
縮め、涙目で広大な屋敷を見上げている。
「何を言うか。お前は萌の本当の
母親だ。
このヴィンテ・ラジ公爵家にとって
最上級の国賓にも勝る大切な家族なのだぞ。胸を張りなさい」
お父様が優しく、けれど有無を言わせぬ威厳を込めてそう告げた。
さらに、私たちの帰還を待ち構えていたかのように、屋敷の巨大な正面扉が左右に厳かに開かれた。
そこから一糸乱れぬ動きで現れたのは、仕立ての良い燕尾服を着た老執事を先頭にする、数十人もの執事やメイド
たちだった。
彼らはエントランスから馬車の前に
向かって左右にずらりと整列し、完璧な角度で一斉に深く頭を下げた。
「「「ジント様、奥様、アレク若様
ライダ若様、お兄様方
そして萌お嬢様。大黒柱様
おかえりなさいませ――!」」」
屋敷中に響き渡るような、心の
こもった一斉の挨拶。
これにはルミエラお母様も、驚きの
あまり「ひゃぅっ!」と小さな悲鳴を
上げて固まってしまった。
エルフの里では白い目で見られ、無能と罵倒され、ひどく冷遇されてきた彼女にとって、これほど大勢の人間から敬意を払われ、温かく出迎えられること自体
人生で初めての経験だったのだろう。
「みゅふふ、みんなただいまだみゅ!
この人は萌の本当のお母様なんだみゅ!」
私がルミエラお母様の腕の中から
元気よく鳴いて紹介すると、老執事が
顔を上げ、この上なく温和な笑みを浮かべた。
「お噂はかねがね、ルミエラ様。
萌お嬢様をこの世に生み出してくださったこと、使用人一同、心より感謝申し
上げます。
さあ、長旅でお疲れでしょう。
すでにお部屋と、最高のドレス、正式な歓迎の御席のご用意は整っております」
その言葉に導かれるように屋敷の中へ入ると、ルミエラお母様のために
用意されていたのは、王族の王女様が
使うような、広くてふかふかの天蓋付きベッドがある超豪華な客室だった。
そこに用意されていたのは、エルフの美しい金髪と肌に映える
最高級 of 最高級のシルクと魔法糸で
織られた、目も眩むほど美しい仕立てのドレスだ。
「こんな……私には勿体なすぎて
罰が当たってしまいます……っ」
涙ぐんで固まるルミエラお母様を
我が家のお母様とメイドたちが
「まあまあ!」と笑顔でフィッティングルームへ連れて行った。
数十分後。
着替えを終えて食堂に現れたルミエラ
お母様の姿を見て、私たちは息を
呑んだ。
エルフの里でのやつれた面影は
消え去り、そこにはまるでおとぎ話から飛び出してきた本物のエルフの女王様のような、気品溢れる美しい女性が立っていた。
「みゅわぁ……! お母様、すっごく綺麗みゅ!」
私がぴょんと跳ねて喜ぶと、ルミエラお母様は頬を赤らめて嬉しそうに微笑んだ。
歓迎会のテーブルに並んだのは
公爵家のお抱えシェフが腕によりを
かけた贅沢料理の数々だ。
新鮮な最高級魔獣のロースト肉
見たこともないほど瑞々しい極上の
果物、温かい極上のスープ。
恐る恐る一口食べたルミエラお母様は、そのあまりの美味しさにパァッと
目を見開き、ポロポロと大粒の涙をこぼした。
「おいしい……っ、こんなに美味しい
温かいお食事、生まれて初めて食べました……っ」
「たくさんお吃べなさい。
これからはこれが、あなたの日常になるのですから」
お母様が優しくスープを注ぎ足し
お父様も満足そうに頷いている。
そんな温かい歓迎会の最中、お父様と兄様たちが、明日に控えた
『世界樹の森』への遠征準備について
サラリととんでもない話を始めた。
「アレク、明日の遠征準備の状況はどうなっている。みちゃーれの案内に従い
即座に動ける体制は整ったか」
お父様がスープ用のスプーンを置き
鋭い視線を息子に向けた。
「はっ、父上。全て万全です。
みちゃーれが示す前人未到の結界を突破するため、我が公爵家が長年秘匿してきた伝説の『超大型魔導飛空艇』の火入れを完了させました。
これならば、どのような古代の防衛結界であっても力技でねじ伏せることが
可能です。
さらに、萌の安全を完璧に確保する
ため、公爵家直属の精鋭騎士団から選りすぐりの二〇〇名をすでに招集し
二十四時間体制で警護につかせます」
アレク兄様が、眼鏡を冷たく光らせながら淡々と恐ろしいことを報告する。
「フッ、上出来だ。
萌を元の姿に戻すための障害など
我が家の総力をもって踏み潰すまで。
予算に関しても出し惜しみはするな」
お父様の重厚な言葉に、ライダ兄様も肉をモグモグ食べながら物騒な笑顔で
乗っかった。
「おうよ父上! 予算のほうも
とりあえず国家予算の半分ほどを
遠征費として即座に動かせるよう手配しときました!
世界樹の涙を採取するにあたり、邪魔な魔獣や障害があれば、我が家の財力と武力で文字通り『更地』にしてやりますよ!」
「ぷっ……げほっ!? こ、国家
予算……!? 更地……!?」
料理の美味しさに感動していた
ルミエラお母様が、その規格外すぎる
親子会話を目の当たりにして、再び目を丸くして椅子の上でカチコチに固まっている。
エルフの里では日陰者として扱われていた本物のお母様を、世界一の贅沢で
大歓迎する公爵家。
そして、萌ちゃんを元の姿に戻すため
なら、伝説の兵器も国家級の予算も躊躇なく注ぎ込む親馬鹿たちの本気。
みちゃーれは、自分の前に置かれた最高級の魔獣肉を「むしゃむしゃ」と
ドヤ顔で平らげながら、私の顔をまた
ペロペロと舐めた。
冷遇してきたエルフの里とは大違いの、圧倒的な幸福と溺愛の時間が
今ここから始まるのだった。
(第145話 終わり)
第145話をお読みいただき、ありがとうございました!
エルフの里から帰還し、ついに我が家に到着しました!
お屋敷の大きさに圧倒されて腰が抜けそうになったり
執事やメイドたちの「お兄様方」も含めた温かいお出迎えにびっくりしてしまうルミエラお母様、これまでの苦労を思うと本当にここで幸せになってほしいですね。
ドレス姿も本当に女王様のように綺麗でした!
そして今回追加された、お父様とアレク兄様
の遠征計画の生々しい会話……!
アレク兄様の「伝説の超大型魔導飛空艇で結界を力技でねじ伏せる」というインテリ過激発言に、お父様の
「障害など我が家の総力をもって踏み潰すまで」
という覇気溢れる決断の言葉、格好良すぎて震えました!
ライダ兄様の「更地にしてやりますよ!」も
合わさって、萌ちゃんのためなら世界すら敵に回しそうなこの親馬鹿・兄馬鹿っぷりが最高ですね(笑)。
ルミエラお母様がスープを吹きそうになって固まるのも納得のスケールです。
次回、いよいよこの伝説の飛空艇に乗り込み、精霊王みちゃーれの案内で「世界樹の森」へと旅立ちます!
お父様とアレク兄様のやり取りが最高にシビれた!
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