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第138話:大樹の庵から現れし、傲慢なエルフの長

いつもお読みいただきありがとうございます!

前回の第137話では、ガタガタと震える衛兵アルヴィスに案内され、ヴィンテ・ラジ公爵家の一同がついにエルフの里へと突入しました。


今回の第138話では、萌ちゃんを二歳で危険な森へ追い捨てたすべての元凶――エルフの「長老」がついに姿を現します!


白い髭を生やして一見優しそうに見える長老ですが

萌ちゃんを見た瞬間に態度が一変。なんと、萌ちゃんをそこに「いないもの」として冷酷にあしらうという最悪の不敬を働きます。


我が家の天使を無視され、完全に限界突破した公爵家の男たち、そしてジント様の底冷えする一言。


最後はお母様が、にっこり微笑んだまま庵の屋根ごと吹き飛ばす大ブチギレ無双が始まります!

 里の最奥にそびえ立つ、気の遠くなるような年月を生き抜いてきた巨大な大樹。







 その幹をくり抜いて作られた壮麗な

庵の前に、ヴィンテ・ラジ公爵家の一同は立っていた。





 カタカタと全身の骨の音を言わせ

ながら、案内役の衛兵・アルヴィスが

涙目で庵の扉をノックする。






 静寂の中、ギィ……と重厚な木製の扉がゆっくりと左右に開かれた。





「騒がしいな。人界の貴族が我が里に

何の用だ」





 中から姿を現したのは、一人の

老エルフだった。






 床に届きそうなほどの見事な白い髭を蓄え、深く刻まれた目元の皺からは

どこか温和で知性的な印象を受ける。






一見すると、迷い込んだ旅人を優しく迎え入れてくれる好々爺のようだった。






 彼こそが、このエルフの里を束ねる

絶対権力者――長老である。






 長老は、鋭いながらも穏やかな

眼差しで、まずはお父様やお兄様たち

そして凄まじい美肌の輝き(魔力)を

放ち続けるお母様へと視線を巡らせた。





人界の最高峰たるヴィンテ・ラジ公爵家の威風堂々とした姿に、長老は小さく眉をひそめる。





 しかし、その視線がお母様の腕に抱かれた、小さな白い毛玉に留まった瞬間。






 ぴきり、と長老のまとう空気が、目に見えて冷酷なものへと変貌した。






 温和そうだった目元から一切の温度が消え失せる。






 長老は、お母様の腕の中で短いお耳をピコピコと動かしている萌ちゃん

(うさぎ姿)をじっと見つめ――。






 次の瞬間、フッと鼻で笑うと、まるでそこに『何もいない』かのように

完全に視線を逸らした。






「……アルヴィスよ。我が里の掟を忘れたわけではあるまい。

血を汚す『出来損ないのエルフ』を

なぜ再びこの聖域に踏み込ませた。


二年前、お前が確かに森へ捨て、処理したはずだろう」






 長老の声は、どこまでも淡々としていた。






 怒るでもなく、不快感を示すでも

ない。





ただのゴミがそこにあるかのように

萌ちゃんの存在を完全に無視し

いないものとしてあしらったのだ。






 その徹底的な侮蔑と冷酷さに、後ろで見守っていた里のエルフの住人たち

からも、ヒッと息を呑む音が漏れる。




前話で萌ちゃんの生存に涙を流していた優しいエルフは、悔しそうに拳を握りしめ、再びぽろぽろと涙を流して俯いていた。






 当の萌ちゃんは、長老から向けられた底冷えするような視線にも気づかず

「みゅ〜? 白くてなが〜いおヒゲのおじいちゃんでしゅ!」

 とお母様の腕の中でのんきに声を上げている。






 だが、その純粋な鳴き声が響いた

瞬間、公爵家の大人たちの堪忍袋の緒が完全に叩き切られた。





「……なるほど。お前が、我が最愛の娘を二歳で捨てた、元凶の長老だな」






 お父様の声は、低く、低く、森の底

から響く地鳴りのようだった。






 いつも冷静沈着な当主であるお父様の全身から、エルフの結界すら容易に

圧し折るほどの漆黒の殺気が溢れ出す。





「てめぇ……! 萌をいないもの扱いしてんじゃねぇぞッ!」






 ライダ兄様が咆哮し、ガキンッ!と

激しい音を立てて腰の剣を半分ほど引き抜いた。





その刃から放たれる凄まじい闘気が

長老の庵の周囲にある大樹の葉を一瞬で枯らせ、バラバラと地面に落としていく。





「人の言葉が通じないのは、人界を見下しているからですか?


それとも、老いさらばえて耳が聞こえなくなったのですか?」






 アレク兄様が冷徹極まりない声で吐き捨て、その指先に展開された高密度の

攻撃魔法の陣が、キィィィンと耳障りな高音を鳴らす。







「その傲慢な目と耳、我らの前でこれ

以上我が君を無視するならば、二度と

使えぬよう今ここで削ぎ落としてやろう」





 ジント様の冷徹な言葉が、刃のように静かに響いた。





彼の瞳は青い炎のように揺らめき

その圧倒的な魔力の余波だけで、長老が背負う巨大な大樹の庵にミシ、ミシと

不穏な亀裂が入り始めていた。






 男たちのあまりのキレっぷりに

周囲のエルフの住人たちは恐怖のあまり次々とその場にひざまずき、案内役の

アルヴィスはついに完全に気絶して白目を剥いた。





 だが、男たちの暴走を止めるはずの

我が家の最後のストッパー。






 いつもはお肌ツルツルで上品なお母様はというと――。





 一歩、前に踏み出した。






 その顔には、先ほどまでよりもさらに深く、どこまでも美しく、そして

『絶対的な死』を予感させる、にっこりとした完璧な微笑みが張り付いていた。






「ふふ、よく分かりましたわ。エルフの長老様」






 お母様が鈴を転がすような声で

微笑む。




しかし、そのお肌のツルピカな輝きは

今や触れるものすべてを消滅させかね

ない神聖な超高密度魔力オーラとなり

庵の周囲の空間をパキパキと硝子のようにひび割れさせている。





「我がヴィンテ・ラジ公爵家の大切な

愛娘――萌ちゃんを『いないもの』と

してあしらうその不敬。


……万死に値すると、そのお安い白髭の頭に叩き込んで差し上げますわ」






 笑顔を崩さないお母様がすっと人差し指を長老に向けると、庵の屋根が魔力の圧力だけでメリメリと音を立てて吹き飛んだ。






 一見優しそうだった長老の顔から

ついに傲慢な余裕が消え去り、驚愕と

恐怖で真っ青に染まっていく。





 最悪にして最強の家族による

容赦のない「ご挨拶」の幕が、いま

派手に切って落とされるのだった。


(第138話 終わり)

第138話をお読みいただき、ありがとうございました!

今回のエルフの長老、一見優しそうなおじいちゃんに見えて、中身はアルヴィス以上に冷酷で傲慢の塊でしたね……!


目の前に萌ちゃんがいるのに、まるで存在しない

ゴミかのように無視してあしらう態度には、書いていて本当に拳が震えるほど胸糞悪かったです。


前話で涙を流してくれた優しいエルフが、悔しそうにまた泣いて俯いている姿も切なすぎます。

ですが!その後のヴィンテ・ラジ公爵家の大ブチギレ総攻撃への流れが最高すぎました!


お父様や兄様たちの殺気で大樹の葉が枯れ、庵にヒビが入り、さらにジント様の「その傲慢な目と耳、削ぎ落としてやろう」という静かな脅しが最高にシビれました。


萌ちゃんへの絶対的な忠誠心が伝わってきますね!


そして極めつけはお母様です。


にっこり微笑んだまま「万死に値しますわ」と、魔圧

だけで庵の屋根を吹き飛ばすお母様、強すぎて格好良すぎます!


さっきまで傲慢だった長老の顔が、恐怖で真っ青に染まっていくラストには最高にスカッとさせられました。


次回、この傲慢な長老にお母様たちがどんな強烈な

「分からせ」を叩き込むのか、今から楽しみで仕方が

ありません!


お母様もっとやっちゃえ!と思ってくださったら、ぜひブックマークや評価(☆☆☆☆☆)で応援していただけると嬉しいです!

10月13日火曜日は投稿をおやすみ致します!

10月14日水曜日からまた投稿致します!

よろしくおねします!

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