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第137話:泣き出しそうな衛兵と、最悪にして最強の来客一同

いつもお読みいただきありがとうございます!

前回の第136話では、お母様の圧倒的な美肌(魔力)の前に、傲慢だった衛兵のアルヴィスが完全に腰を抜かして命乞いを始めました。


今回の第137話では、そんな半泣きのアルヴィスに案内され、ヴィンテ・ラジ公爵家の一同がいよいよエルフの里へと堂々の突入を果たします!


何百年も人間を拒んできた高貴なエルフたちが、公爵家の圧倒的な覇気に視線を奪われ、恐怖で硬直する様子は必見です。


さらに、里の住人の中には、萌ちゃんが生きている姿を見て、何度も目を擦りながら涙を流す者も現れ……?

緊迫感と感動が入り混じる中、ついに因縁の長老の庵の前へと到着します!

 何百年もの間、人間の立ち入りを

拒絶し、神秘のベールに包まれていた

エルフの隠れ里。






 そこは、天井を覆う巨木の隙間から

精霊の光が優しく降り注ぎ、水晶のように澄んだ美しい川が流れる、まさに

ファンタジーの理想郷のような場所だった。






 だが今、その美しき里の静寂は

場違いな音によって破られようとして

いた。







 カタカタカタカタ、ガタガタガタガタ。






 あまりの恐怖に激しく歯の根を

鳴らし、全身の骨の音を言わせながら

今にも泣き出しそうな顔で一本道を進む男が一人。





 先ほどまで傲慢な態度で萌ちゃんを

『出来損ない』と見下していたエルフの衛兵・アルヴィスである。






 彼のプライドは、お母様のツルツル

ピカピカな美肌から放たれた絶対的な

魔力の前に、見る影もなく粉砕されて

いた。






 アルヴィスは後ろを振り返る勇気すらなく、ただただ命を永らえたい一心で

ガタガタと体を震わせながら公爵家一同を里の奥へと案内していく。






 そんな彼の背後を悠然と歩くのは

エルフにとって文字通り

『最悪にして最強』の来客一同だった。






 お父様を筆頭に、アレク兄様

ライダ兄様、解き放たれた膨大な魔力を冷徹に制御するジント様。






 男たちの顔には一切の笑みがなく

愛娘であり最愛の妹である萌ちゃんを

二歳で危険な森へ追い捨てたエルフと

いう種族への、底知れない昏い怒りが

その瞳に宿っている。






 そしてその隣には、相変わらずにっこりと完璧で上品な微笑みを浮かべつつ

周囲の空間を平伏させるほどの神聖な

魔力をピカピカと放ち続けている

お母様がいた。






 アルヴィスに連れられて一同が里の

広場へと足を踏み入れた瞬間、平穏に

暮らしていたエルフの住人たちの動きがピタリと止まった。







 ざわざわ、と水面を揺らす風のようなざわめきが広場に広がる。






 エルフの住人たち全員の視線が

一斉にヴィンテ・ラジ公爵家の

貴族たちへと注がれた。






「……な、なんだあの方々は……?」






「人間……? いや、しかしあの禍々しいほどの魔力は一体……」






「それに、あの先頭を歩いているのは

アルヴィスじゃないか? なぜあんなに

怯えているんだ?」






 住人たちは皆、息を呑んで

ヴィンテ・ラジの一同を見つめていた。






 本来なら、人間に里を見つけられた

とあれば、即座に武器を構えて排除に

かかるはずのエルフたちである。





しかし、公爵家の男たちが纏う圧倒的な強者の覇気と、お母様から放たれる

絶対的な光の圧迫感の前に、誰もが指

一本動かすことができない。







 ただただ、その威風堂々とした人間の貴族たちの姿に、誰もが目を奪われるしかなかったのだ。




 そんな緊迫した視線の嵐が集まる中

ある一人のエルフの住人が、お母様の

腕に抱かれた白い毛玉に目を留めた。







 そのエルフは、信じられないものを

見たというように、何度も、何度も熱心に目を擦った。






 白昼夢でも見ているのではないか。






そんな風に自分の目を疑いながら

お母様に大切そうに抱かれている

白いうさぎの姿をじっと見つめると

――。







 その瞳から、ぽろぽろと大粒の涙が

溢れ出した。







 それは恐怖や驚きとは程遠い

安堵と、切なさと、深い愛に満ちた涙

だった。






 二年前、里の冷酷な掟によって

魔物の蠢く森へと引き裂かれ

死んだとばかり思っていた小さな命。






その子がこうして、人間の最高峰である最強の家族に愛され、立派に生き延びて戻ってきた。





その奇跡に、そのエルフは声を殺して

静かに涙を流していたのだ。






 お父様とお母様は、そのエルフの涙を一瞬で見逃さなかった。





里のすべてが敵ではないと知り

お母様の笑みがほんの少しだけ柔らかくなる。






 そんな大人たちの心の揺れを知ってか知らずか、当の本うさぎはというと。






「みゅ〜う? おみみの長〜いお人が

いっぱいでしゅ!」






 萌ちゃん(うさぎ姿)は短いお耳を

ピコピコと動かして興味津々で周囲を

見回していた。






 かつて自分が二歳の頃、魔力がない

からと冷酷に追い出された場所だというのに、萌ちゃんには悲しい記憶など微塵も残っていない。





ただただ「めずらしいお人がいっぱいのみゅ〜」と、完全にピクニック気分で

楽しんでいる。






 萌ちゃんの無邪気な鳴き声が響いた

瞬間、公爵家の男たちの殺気がほんの

少しだけ和らいだ。





「こ、こちらです……。この奥に、長老の庵が……ひぅっ!」





 案内するアルヴィスが、ついに恐怖の限界を迎えたように情けない声を上げ

里の最奥にある巨大な大樹の建物を指差した。






 そこは、エルフの里のトップである

長老が住まう場所。





萌ちゃんを外へ捨てる決定を下した

張本人がいる場所でもある。






 お父様は長老の庵を見据え、ふっと

冷たい笑みを漏らした。





「案内苦労したな、エルフの衛兵。

……さて、ヴィンテ・ラジ公爵家と

して、我が娘を傷つけた者たちへの挨拶といこうか」





 ガタガタと震えが止まらないエルフの森の中、最強の家族を引き連れた

萌ちゃんのリベンジ(無自覚)の舞台は、ついに本丸である長老の元へと

移るのだった。


(第137話 終わり)

第137話をお読みいただき、ありがとうございました!


ガタガタと全身の骨の音を言わせながら半泣きで案内

するアルヴィスさん、前話の傲慢さが嘘のように惨めで最高にスカッとしましたね!


そして、里に入った瞬間にエルフの住人たちの視線を

一気に奪うヴィンテ・ラジ公爵家の格好良さが爆発していました。


本来なら敵であるはずの人間に対して、あまりの覇気と魔力の凄まじさに圧倒されて指一本動かせないエルフたちの様子がたまりません。


そんな中、今回新しく加わった「何度も目を擦って萌ちゃんを見て、涙を流すエルフ」の描写……めちゃくちゃ

胸が熱くなりましたね!


驚きや恐怖ではなく、萌ちゃんが生きていたことを

心から涙して喜んでくれる優しいエルフが里にいたと

いうのは、冷酷なエルフの掟の中で最高の救いですし

今後の展開への大きな伏線になりそうです。


その横で、相変わらず

「お耳の長い人がいっぱいみゅ〜!」とはしゃいでいる萌ちゃんが天使すぎて癒やされます(笑)。


ラストでは、ついに萌ちゃんを二歳で追い出した元凶

である「長老」の庵に到着しました。


お父様の冷たい笑みと、お母様の完璧なにっこり笑顔……次回、長老にどんな恐ろしい『挨拶』をかますのか

今から楽しみで仕方がありません!


この先、公爵家が長老にどんな制裁を下すのか気に

なる!と思ってくださったら、ぜひブックマークや評価(☆☆☆☆☆)で応援していただけると嬉しいです!


なんと!!

今日は2話連続投稿致します!

12時10分!と21時10分!に投稿致します

どうぞお楽しみに!

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