第125話:ついに完成! 異世界の材料で作る特製フルーツタルト!
いつも温かい応援をありがとうございます!
前回は、普通の材料でのタルト作りに大苦戦する
大人たちを、ジント様が記憶共有魔法でそっとサポートする最高の引きで終わりました。
おかげさまで、ブックマーク50人突破
今回の第125話をお届けできます!
本当にありがとうございます!
今回は、ジント様のナビゲーションのもと、大人たちがついに未知のお菓子作りにリベンジを果たします。
そして、ついに完成した特製フルーツタルトを一口食べた萌ちゃんに、ある変化が……。
切なくも温かい、みんなの愛が詰まったもぐもぐシーンをどうぞ最後までお楽しみください!
ジント様の瞳が温かい金色の光を
放ち、私の頭の中にあった
『前世の記憶』が、精神魔法を通じて
キッチンにいる全員の意識へと優しく
流れ込んでいく。
お父様も、お兄様たちも、そしてエルハルトも、一瞬だけハッとしたように
目を見開いた。
彼らの頭の中に、今、私が前世のデパ地下やカフェで見てきた
「カスタードクリームがとろける光景」や「サクサクのタルトが焼き上がる瞬間の手触り」が、鮮明なイメージとして
共有されたのだ。
「なるほど……これが萌の求めていた
『カスタード』の完成形か……!
火を強くするのではない。
優しく、だが絶え間なく熱を均一に伝えていくのだな」
真っ先に動いたのは、料理長だった。
ジント様が共有してくれた
『弱火でじっくり混ぜる感覚』を完璧に理解し、今度はお鍋の前に慎重に立つ。
エルハルトが指先から生み出す微弱な生活魔術の火を、料理長がじっと見つめながら、木べらを手品のように滑らかに動かしていく。
「……おおっ! 見ろ、卵液が分離せずに、どんどんツヤを帯びていくぞ!」
ライダ兄様が歓声をあげる。
お鍋の中では、先ほどのようなポロポロの卵焼きではなく、光を反射してキラキラと輝く、黄金色のとろっとろなカスタードクリームが、見事な滑らかさで練り上げられていた。
「よし、ならば土台の生地は、この私が今度こそ成功させてみせよう」
お父様が再び小麦粉とバターの前に
立った。
ジント様から伝わった感覚――
バターを完全に溶かすのではなく
小麦粉と『切るように混ぜ合わせて
サクサクの層を作る』という繊細な
手つきを、お父様はその大きな手で見事に再現していく。
優しく丁寧に型へと敷き詰められた
生地が、再びオーブンの中へと滑り込んでいった。
数十分後、キッチンの中に、これまでに嗅いだことのない、バターと小麦粉のたまらなく香ばしく甘い香りがふんわりと漂い始める。
チン、と軽やかな音が響き、お父様が慎重に焼き型を取り出した。
「どうだ……? 硬さはどうなっている……?」
アレク兄様が恐る恐る指先で触れる。
すると、先ほどの鉄板のような硬さは
一切なく、触れた部分がホロリと心地
よく崩れる、理想的なきつね色の
クッキー生地がそこにあった。
「やった……! 大成功だ、父上!」
「うむ……! これなら萌の歯を痛めることもないな!」
らお父様がホッと胸を撫でおろし
エプロン姿のまま拳を握りしめる。
最後の仕上げは、みんなで協力して
行った。
サクサクに焼き上がったタルト生地のくぼみへ、料理長が作ったとろとろの
カスタードクリームをたっぷりと贅沢に敷き詰めていく。
その上に、うさぎの姿になった私の
「ぷう!(ここに並べて!)」
という指示に合わせ、お兄様たちが
中庭で採れた真っ赤な木の実を
お花の形のように美しく、丁寧に
デコレーションしていった。
仕上げに粉砂糖をハラハラと降らせれば、そこに現れたのは、まるで宝石箱のようにキラキラと輝く、完璧な
『特製フルーツタルト』だった。
「萌、お待たせ。君のために、みんなで作ったタルトだよ」
ジント様が、小さく切り分けられた
一切れを、私の目の前へとそっと差し出してくれた。
私はジント様の肩の上からテーブル
へと飛び降り、小さな鼻をクンクンと
鳴らす。
前世のOL時代、仕事帰りに自分への
ご褒美として買って食べていた
あの懐かしい甘い香りが、間違いなく
目の前から漂っていた。
私はそっと口を開き、タルトを小さく一口、パクリと齧った。
サクッ……。
心地よい音と共に生地が崩れ
その直後、濃厚でダマが一切ない
どこまでも滑らかなカスタードクリームの甘みと、赤い果実の甘酸っぱさが口いっぱいにじゅわいと広がった。
(……あ、これ、あの時の味だ……)
脳裏に、前世の記憶が鮮明に蘇る。
一生懸命働いたご褒美に、小さな
アパートの部屋で一人で食べていた
大好きだったお菓子の味。
けれど、今口にしているのは、前世のそれよりもずっとずっと、温かい味が
した。
気づけば、私の丸い目から、ぽろぽろと大粒の涙が溢れ出していた。
悲しいわけではない。
ただ、異世界に転生してうさぎの姿に
なって、寂しくて恋しかったあの味を
この世界で出会ったお父様や大好きな
みんなが、私のために粉まみれになって必死に作ってくれたことが、嬉しくて
愛おしくて、胸がいっぱいになってしまったのだ。
うさぎの毛並みを濡らして
ぽろぽろ、ぽろぽろと涙が止まらない。
「も、萌!? どうしたのだ、やはりまだ硬かったか!?」
「どこか痛むのかい? すぐに治癒魔術を……!」
涙を流す私を見て、お父様やお兄様たちが大慌てで駆け寄ってくる。
「ううん、違うの……っ」
私は精一杯お耳を振って、ジント様の
胸元へと飛び込んだ。
ジント様はすべてを察したように
私の小さな体を優しく抱きしめ
トントンと背中を叩いてくれる。
「みんな、心配ないよ。萌はね、美味しくて、みんなの優しさが嬉しくて、
感動しているんだ」
ジント様の言葉を聞いて、お父様たちは一瞬固まり、それから一斉に崩れる
ような笑みを浮かべた。
「そうか……良かった……。萌、たくさんお食べ。お前のために、いくらでも
作ってやるからな」
お父様が目元を少し潤ませながら
私の頭を優しく撫でる。
失敗続きだったキッチンは、今
世界で一番甘くて温かい幸せな空気に
包まれているのだった。
(つづく)
第125話をお読みいただきありがとうございました!
ついに完成した「特製フルーツタルト」!
ジント様のナビのおかげで、カスタードはとろとろ
滑らかに、生地はサクサクに焼き上がりました。
そして、一口食べた萌ちゃんの目からぽろぽろと溢れ出た涙……。
前世の懐かしい味への愛着と、今世の家族やジント様が自分のために必死に作ってくれた温かい愛が心に
染みて、嬉し涙が止まらないシーンは、書いていて私も胸が熱くなりました。
大慌てするお父様たちも、理由を知ってデレデレの優しい笑顔になるのが本当に素敵です。
おかげさまでブックマーク50人突破&本当にたくさんの読者様に見守っていただけて幸せです!
「萌ちゃんの涙にこっちまでうるっときた!」
「お父様たちの愛が温かすぎる!」と思ってくださったら、ぜひ【ブックマーク】や【評価(★★★★★)】
で萌ちゃんたちを応援していただけると嬉しいです!
次回の第126話では、みんなでタルトを囲んでのお茶会と、お腹いっぱいになった萌ちゃんにまたまた可愛い変化が……!?どうぞお楽しみに!




