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第123話:萌の食べたいお菓子ってなんだろう?

いつも温かい応援をありがとうございます!

前回はピンクの本が一部だけ開き、萌ちゃんを治す

ヒントが「みんなで大好きな甘いものを食べて笑顔になること」だと分かりました。

そして、皆様の熱い熱い応援のおかげで、ついに……ついにブックマークが50人を突破いたしました!!!

さらに注目度ランキングも【31位】へと急上昇しており、嬉しさと感謝で胸がいっぱいです。

こんなにたくさんの皆様に萌ちゃんたちを見守っていただけて、作者としてこれ以上の幸せはありません。

50人の大切な読者様にこれからも楽しんでいただけるよう、一歩ずつ愛を込めてお話を紡いでいきます!

さて、記念すべき50ブクマ突破後の第123話は、ジント様の胸ポケットに収まったうさぎ萌ちゃんを囲んで

家族みんなとエルハルト様が大真面目にお菓子の意見を出し合う「作戦会議」です。

大人たちの愛ゆえの暴走と、萌ちゃんが食べたい

「あのお菓子」の正体にどうぞご注目ください!

「――さて。ピンクの本が示した

『萌を治すためのヒント』だが……」 





お父様が、重厚なマホガニーの机を

前に、まるで国家の命運をかけた御前会議かのような威厳ある声で切り出した。





 ここは公爵邸の特室。




集まっているのは、お父様とお母様

ライダ兄様とアレク兄様、宮廷魔術師長のエルハルト、そして最初から萌の小さな前足を優しく包んでくれていた

ジント様だ。




 そのジント様の衣服の胸ポケット

からは、白くて丸いうさぎの姿になった萌が、ちょこんと可愛いお顔を出して

長いお耳をピコピコと動かしている。





ジント様の胸の温もりとお馴染みの良い香りに包まれて、萌の心は今もポカポカの安心感でいっぱいだった。





「本に書かれていた通り、萌が心から

美味しいと思って笑顔になれる

『大好きな甘きもの』をみんなで食べる必要がある。


そこでだ……萌の食べたいお菓子とは

一体何だろう?」 





お父様が腕を組み、深刻な顔で一同を

見渡す。




すると、待ってましたとばかりに大人

たちの「大真面目な意見出し合い

(暴走)」が幕を開けた。





「やはり、我が公爵家の財力と威信を

かけるべきでしょう!」



 まず拳を握って熱弁を振るったのは、ライダ兄様だった。



「萌は今、こうして愛らしいうさぎの姿になられている! ならば、最高級の新鮮なハーブをふんだんに練り込み

高価な魔力人参の蜜をたっぷりと

かけた、身体に優しくて栄養満点の特製焼き菓子などどうだ!?」





「ライダ、人参の蜜は確かに甘いかもしれないけれど、萌が本当に心から

『大好きな甘きもの』と呼べるかというと、少し違う気がするよ」





アレク兄様が、呆れたようにため息を

つきながら眼鏡の位置を直す。





「僕はね、萌が以前、僕の書斎で図鑑を見ていたときにじっと見つめていた

エルフの里でしか採れないという

『星屑のハチミツのジュレ』

だと思うんだ。


あの光り輝くジュレなら、萌の目を楽しませることもできるし、魔力も回復する」




「ふむ……。しかし、それでは手に入るまでに日数がかかりすぎるな」





 お父様が難しい顔で顎に手を当てる。





そこに、宮廷魔術師長のエルハルトが

ここぞとばかりに割り込んできた。




「公爵様! ここは宮廷魔術師団の知識を結集させ、見た目も不思議な

『古代魔術の魔法陣をココアパウダー

で描いた特製魔力シフォンケーキ』などいかがでしょう! 食べると頭が良くなる効果付きですぞ!」




「エルハルト、萌にこれ以上難しい魔術の要素は必要ないわ」 





お母様がクスリと上品に微笑みながら

エルハルトの突飛な意見を優しく却下した。





「萌が一番安心できて、笑顔になれるお菓子ですもの。お城の料理人が作るような、肩肘を張った高級すぎるものより、もっと私たちが身近に作れて、サクサクとしていて、たくさんの果物が乗った……そう、例えば『タルト』のようなお菓子が良いのではないかしら?」




『タルト』というお母様の言葉が響いた瞬間だった。 





ジント様の胸ポケットの中で、大人たちの難しい会話を「ぷう?」とぽかんと

聞いていた萌の頭の中に、前世である

社畜OL時代の記憶が鮮やかによみがえった。





(タルト……! そうだ、私、前世で仕事がすっごく大変だったとき、ご褒美にデパ地下で買う『いちごのフルーツタルト』が世界で一番大好きだった……!)





 サクサクの香ばしいクッキー生地に

アーモンドのいい香りがする焼き菓子。





その上には、これでもかとたっぷりの滑らかなカスタードクリームが敷き詰められていて、真っ赤で甘酸っぱいいちごがキラキラと宝石みたいに並んでいる

あのご褒美タルト。





 想像しただけで、萌のお口の中に

ジュワリと甘い幸せが広がっていく。





「ぷうっ! ぷうぷうっ!」 萌は嬉しさのあまり、ジント様の胸ポケットの中で短い前足をバタバタと動かし

お耳を前後に激しくパタパタと

震わせた。




「おや、萌が急に激しく反応したね」 






ジント様が胸元の萌をそっと両手で包み込み、机の上へと優しく降ろしてあげた。





萌はうさぎの姿のまま、短い後ろ足でトントンと机を叩きながら、お母様のほうを真っ直ぐ見つめて叫んだ。





「ぷう! ぷうぷう!(タルト! 

私、タルトがいいっ!)」





「まあ……! 萌、お母様の言ったタルトという言葉に、こんなに喜ぶなんて。やっぱりタルトが食べたいのね?」 





お母様が目をごく輝かせて萌を見つめる。





萌は元気いっぱいに「ぷうっ!」と首を縦に振った。




「なるほど、タルトか! しかし

萌がこれほど興奮するお菓子だ。

ただのタルトではあるまい」 




お父様が再び大真面目な顔になり

ジント様のほうを見た。





「ジント様、萌の魂が求めている

『タルト』とは、一体どのようなものか分かりますか?」 




ジント様は萌を愛おしそうに見つめながら、その小さな心の声を読み取るようにして静かに微笑んだ。




「あぁ、萌が求めているのは、この世界に普通にあるジャムを塗っただけの

タルトじゃないね。


……サクサクに焼いた生地の中に

卵とミルクをじっくり煮詰めて作った

『カスタード』という黄色くて濃厚な

クリームをたっぷり詰めてその上に

新鮮な赤い果実を敷き詰めた、異世界の特別なタルトのようだ」






「カスたーど……クリーム? 卵と

ミルクの濃厚な……?」





 エルハルトが未知の料理用語に目を

丸くする。




ライダ兄様とアレク兄様も

「そんな美味そうなタルト、聞いたことがないぞ」と顔を見合わせた。




「この世界にはまだない、萌の世界の

お菓子なのね……。


ふふ、とっても美味しそう! 

みんなで作るのにもぴったりですわ」 





お母様が嬉しそうに手を合わせると、お父様も力強く頷いた。



「よし! 萌の食べたいお菓子は

『異世界の特製フルーツタルト』に

決定だ! 


早速、最高級の卵とミルク、そして

最高の果物を集めるぞ!」




 萌が食べたいお菓子の正体が

「タルト」だと決まり、公爵家のみんなとジント様の心は一つになった。



 うさぎ姿の萌ちゃんを元の姿に戻す

ための、甘くて美味しいフルーツタルト作り。


次回、いよいよ公爵家のキッチンを巻き込んだ、大騒ぎの材料集めと試作が始まろうとしていた。

(つづく)

第123話をお読みいただきありがとうございました!

大人たちが萌ちゃんのために「ハーブ焼き菓子」や

「魔力ジュレ」「魔術陣シフォン」など、愛ゆえに

暴走した意見を出し合う姿、とっても微笑ましかったですね(笑)。

お父様たちのデレデレっぷりが最高でした。

そんな中、お母様のナイスアシストによって、萌ちゃんが食べたいお菓子が前世でも大好きだった

「カスタードたっぷりのフルーツタルト」に決定いたしました!

ジント様が萌ちゃんの心の声を完璧に通訳してくれる

シーンも、二人の絆が感じられてキュンとします。

おかげさまでブックマークも50人を突破し、注目度も

31位と最高のスタートを切ることができました。

萌ちゃんのお菓子大作戦はいよいよ本格的に始動

します!

「大人たちの意見の出し合いが面白すぎる!」

「カスタードのいちごタルト、絶対に美味しいやつだ!」と思ってくださったら、ぜひ【ブックマーク】や【評価(★★★★★)】で応援していただけると、

次の話を執筆する大きなエネルギーになります!

次回の第124話では、最高のタルトを作るための

「材料集めとキッチン大騒動」が始まります。

どうぞお楽しみに!

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