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『第118話:鉄板化したレシピ本!? 開かないページと謎の対価』

いつも応援ありがとうございます!

前話のラスト、萌ちゃんの瞳の異変の理由をリアルタイムで紡ぎ出した、謎の『ピンクのスイーツレシピ本』。

治すためのヒントが載っているはずの次のページですが、なんと鉄板のように硬くなってしまい絶対にめくれません……!

萌ちゃんのために、ジント様やお兄ちゃんたちがそれぞれの特技(?)を活かして、必死に本をこじ開けようと大奮闘します!

そして、そんなみんなの姿を見たうさぎ姿の萌ちゃんも、自分なりに「ある可愛い作戦」に出るようで……!?萌ちゃんの全力のあざとさに、ぜひご注目ください!

「嘘だろ……。び、ビクともしないぞこれ……っ!」



アレクにい様の焦ったような声が、静まり返った室内に響いた。



大人のイケメンの姿に戻ったアレクにい様は、その逞しい両腕に思いきり血管を浮かび上がらせ、ベッドの上の

『ピンクのレシピ本』と格闘していた。




頭の上の真っ白なウサギ耳が、力を込めるたびにピンと張り詰め、小刻みに

プルプルと震えている。



しかし、彼の目の前にある本のページは、まるで地面に深く根を張った大岩のように、ミリ単位すら浮き上がろうとはしなかった。



「違うんだ母上! これ、紙じゃない! 完全に鉄板だ!」




アレクにい様はついに諦めて、はぁはぁと荒い息を吐きながらベッドの上に

へたり込んだ。




ウサギ耳が力なく『ふにゃっ』と垂れ

下がる。




「アレク、力任せに引っ張ってもダメなことくらい、最初から分かりきっているだろう」



呆れたようにため息をついたのは

ジント様だった。




彼は頭の上の精悍な狼の耳をピクピクと動かしながら、知的で涼しげな目元を

さらに鋭く尖らせ、レシピ本へと細く美しい指先を向けた。



「魔力によってロックがかかっているなら、それを上回る魔力で強制解除、あるいは術式を解体するのが正攻法だ。

……いくよ」




ジント様が静かに精神を集中させると

指先から眩いばかりの青白い魔力の光が放たれ、レシピ本を包み込んでいった。




さすがは天才魔術師。




部屋の空気が一気にビリビリと震えたが、本はその魔力をすべて美味しく吸い込んでしまったかのように、一瞬だけ

ピンク色の光をご機嫌そうに『チカッ』と点滅させただけだった。




「僕の魔力が……完全に吸収された……?」




ジント様は驚愕のあまり目を見開き

立ち尽くした。




狼の耳が、驚きと警戒でペタンと後ろに伏せられている。




「あーもう、ジントの魔法が効かないとかマジかよ!? よし、次は俺の番だ!」




勢いよく名乗りを上げたのは、ライダ

にい様だった。




頭の上の可愛い犬耳をバサバサと激しく振り回しながら、彼はベッドの前へと

飛び出してきた。




「こうなったら、俺の聖属性の魔力で

力ずくでこじ開けてやるっての!

萌ちゃんのためなら、こんな怪しい本

俺がボコボコにしてでも開いてやるからな!」




温かい黄金色の光が部屋を包み込み

垂れ下がった犬耳を一生懸命に揺らし

ながらガンガンに魔力を流し込む。




けれど、レシピ本はやっぱり鉄板のままで、黄金の光すらもズブズブと吸い込んでいくだけだった。




「うわ、うっそだろ……! 全然手応えがねえ……!」




結局、ライダにい様も全力の魔力を使い果たし、犬耳を『しょぼん』と垂れ下げて私の隣にガクッと膝をついた。




大人のイケメン3人が、頭の上にケモ耳を生やしたシュールな姿のまま、ベッドの上で揃って撃沈している。




お父様とお母様も交代で本を引っ張ってみたけれど、結果はすべて同じだった。





(……みんながダメなら、私もやってみようかな?)




お兄ちゃんたちが必死に魔力を流していた時、私はほんの一瞬だけ、胸の奥の

魔力が本と共鳴するような不思議な感覚を覚えていたのだ。




私はベッドの真ん中に鎮座するピンクの本の前へと、もふもふの体でちんまりと進み出た。




「萌ちゃん……? どうするんだい?」




ジント様が狼耳をピクリと動かして私を見つめる。




私は本に両方の前足を乗せ、まずは力

いっぱいめくろうとしてみた。




「きゅ、きゅきゅーっ!

(ふんぬーっ!)」



短い白くて丸い前足で、必死にページを引っ張る。




けれど、ちっちゃなうさぎの筋力で開くはずもなく、私の体はズルッと滑って

ベッドの上でコロンと一回転してしまった。




「うわあああ! 萌ちゃんが転んだ! 可愛い、けど危ない!」




ライダにい様が犬耳をバタバタさせて

受け止めようとする。



(うう、力じゃ無理かぁ……。

じゃあ、これならどうだ!)




私は気を取り直して立ち上がると

今度は本の表紙に向かって、おねだり

するように短い前足を

『きゅきゅっきゅきゅっ』と交互に動かして、一生懸命にカリカリと引っ掻いてみた。




さらに、長いお耳をぱたぱたと左右に

揺らし、首を少し傾げて、無色の瞳で

じーっと本を見つめてみる。




うさぎ界で最高峰のあざとさを詰め

込んだ、全力の「おねだりポーズ」だ。



「ぶふっ……!! なんて、なんて破壊力抜群の可愛さかしら……っ!」




お母様が鼻血を抑えるようにして

悶絶し、お父様は「本よ! 今すぐ萌の

愛らしさに免じて開きなさい!」

と涙目で叫んでいる。




お兄ちゃんたちもケモ耳をこれでもかと直立させて、私の可愛さに完全にノックアウトされていた。



しかし、肝心のピンクの本は、私の命がけの可愛いアピールに対しても、ピクリとも動かない。




冷酷なまでの鉄板っぷりである。




(……この頑固者め。可愛さも通用しないなんて、本当につまらない本ね)




「きゅーう」と諦めの混じった鳴き声を漏らし、私はぺたんとベッドの上に

寝そべった。




「……ダメだな。力ずくでも、魔法でも、萌ちゃんの可愛さでも文字通りビクともしない。この本を開くには、あの

【特別な対価】を実際に支払うしかないのだろう」




ジント様が重々しい口調で、閉じたままのピンクの本を見つめた。




私の心に暗い影を落とす前世の傷が引き起こしているこの異変。




その答えがこの本の中にあることは

分かっているのに、私たちはその入り口の扉を叩くことすら許されていないのだ。




家族全員が悔しさと不安を募らせ、部屋の中が再び重苦しいシリアスな空気に

包まれかけた、その時だった。




コンコン、と部屋の扉が遠慮がちに叩かれた。




「失礼いたします。公爵閣下、お呼びに預かりました、国一番の医師団と、高位魔術師長を連れてまいりました!」




執事の声が響き、ついに専門家たちが

部屋へと到着した。



私の色のない瞳を治すための、最後の希望。けれど、彼らが部屋の扉を開けた瞬間、私たちの3日目の朝は、さらなるカオスへと突入することになるのだった。

第118話をお読みいただきありがとうございました!

ジント様の天才魔法も、ライダにい様のやんちゃな聖属性パワーも吸い込んでしまうレシピ本、頑固すぎますね……。

そして何より、前足で本を引っ張ってコロンと転がったり、お耳をパタパタさせてあざとくおねだりカリカリ

するうさぎ萌ちゃんが可愛すぎて、我が家の一同と同じく作者のハートも完全にノックアウトされました

(笑)。


あんなに可愛いのにピクリとも動かないレシピ本、冷酷すぎます……!

ですが、ラストでついに国一番のお医者様と高位魔術師長が部屋へと到着しました。


扉を開けた瞬間、彼らの目に飛び込んでくるのは

【体は大人、頭はケモ耳のイケメン3人】と【にじ色が消えてしまったもふもふのうさぎ萌ちゃん】という

あまりにもカオスな光景なのですが……

一体どうなってしまうのでしょうか!?

「萌ちゃんのおねだりカリカリが可愛すぎた!」

「お医者様たちの反応が今から楽しみ!」と思ってくださったら、ぜひ【ブックマーク】や【評価(★★★★★)】で応援していただけると、もふもふの執筆エネルギーになります!次回、第119話もお楽しみに!


9月21日は月曜日はおやすみ致します!

9月22日火曜から投稿致します!

よろしくお願いします

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