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『第117話:瞳の異変の答えは、このピンクの本の中に!?』

いつも応援ありがとうございます!

前話のラスト、萌ちゃんの瞳から突然色が消えて

しまい、部屋の中は一気に大パニックに。

絶望に包まれる一同ですが、萌ちゃんがみんなを気遣っているその瞬間、ベッドの上であの

『ピンクのスイーツ本』が怪しく光りだします。

そこにリアルタイムで刻まれていく、瞳の異変の驚く

べき理由とは……?

萌ちゃんの前世を知るジント様やご両親の、家族としての強い決意にもぜひご注目ください!

「お医者様を……! すぐに国一番の医者と、高位の魔術師を呼びなさい!!」



お父様の悲痛な叫びが、私の部屋の壁に木霊(こだま)していた。




さっきまで頭の上のケモ耳でドタバタとコメディをやっていたお兄ちゃんたちもジント様も、今は完全に顔から血の気を引かせ、私の「色のない瞳」を絶望的な表情で見つめている。




泣き虫のライダにい様に至っては、垂れ下がった犬耳を激しく震わせながら

大粒の涙をポロポロと流して私の小さな体を抱きしめようとしていた。




みんなが私のことを本気で心配して

今にも押し潰されそうなほど張り詰めた空気が部屋を支配している。




(みんな、お願いだからそんなに悲しい顔をしないで……っ。私は大丈夫だから!)



「きゅ、きゅきゅーっ! きゅーう

きゅっ!」



私はジント様の手のひらの上で必死に前足をバタつかせ、目の前にいるみんなの顔を順番に見つめた。




ウサギの鳴き声しか出ないけれど

なんとかして


「私はみんなの顔がちゃんと見えて

いるよ」


「どこも痛くないし、元気だよ」と伝えたかったのだ。



必死の訴えが届いたのか、ジント様が私の小さなもふもふの体をそっと包み込むように抱き直してくれた。




彼の頭の上の狼の耳が、私の声を拾う

ようにピクリと動く。



「萌ちゃん、僕たちの言葉が分かっているのかい……? 泣かないで、大丈夫だよって、そう言ってくれているのか……?」



「きゅーう!(そうだよ!)」



私が大きく首を縦に振ると、ジント様は切なそうに眉を下げて、私の額をそっと指先で撫でてくれた。




アレクにい様もウサギ耳をペタンと伏せながら、私の小さな前足をそっと握りしめてくる。




「目がこんな状態なのに、俺たちの心配をするなんて……。

萌、お前ってやつは……っ」



みんなが私を愛おしそうに、そして今にも壊れてしまうガラス細工を扱うかの

ような目で見つめ、部屋の中が温かくも切ない沈黙に包まれかけた、まさにその時だった。


――チカ、チカチカ……。




ベッドの真ん中あたりから、奇妙な色の光が規則的に漏れ出していることに私が真っ先に気がついた。




シーツの上にぽつんと置かれていた

お馴染みのあの『ピンクのスイーツ

レシピ本』が、まるで呼吸をするように

怪しく明滅していたのだ。



「……ん? なんだ、あの光は」




私の視線に気づいたアレクにい様が

不審そうに眉をひそめてレシピ本へと手を伸ばした。




本はまるで私たちの注目を集めるのを

待っていたかのように、一段と強く

「チカッ!」と輝きを放ち、勝手に

パラパラとページをめくり始めて、ある特定のページでピタリと止まった。




その瞬間、ページの上が淡く発光し

生き物のように滑らかな動きで『文字』がリアルタイムに刻まれていく。




そこに書かれていたのは、私の瞳の色が無くなってしまったこと、そのものの

驚くべき理由だった。



『――強大なる魔力の氾濫により

器たる肉体が負荷に耐えかね、一時的に生命の色彩を喪失せり。


瞳は光を通さぬ無色の硝子へと変わり

蝶の紋章は魔力を喰らう器として背に

定着す。


……しかし、真なる原因は今世の魔力のみにあらず。その魂の深淵に眠る

【前世の記憶とトラウマ、解けぬ心の傷】が、現世の魔力を狂わせ、器を拒絶せんと暴走を促しているなり――』




(え……っ!? 前世の、こと……!?)



その一文を目にした瞬間、私の小さな

うさぎの身体に、ゾクッと冷たい悪寒が走った。



ベッドの下で怯えていた時に脳裏を

よぎった、あの前世の息の詰まるような記憶。



孤独だった過去。




あの時の魂の傷やトラウマが、今世の私の強すぎる魔力と混ざり合って、この

うさぎ化や瞳の異変を引き起こしているというのだ。




「前世の……記憶と、トラウマ……」



本を覗き込んでいたジント様が、浮かび上がった文字を低く読み上げる。



私の前世を知る彼の狼耳が、辛そうに

ペタンと後ろに伏せられた。



「やはり、萌ちゃんがずっと抱えていたあの前世の痛みが、今世の魔力の暴走に繋がってしまっていたのか……」




お父様とお母様も、その文字列に痛ましそうな表情を浮かべた。




私の前世の孤独を知る二人は、ただ私を不憫に思うように、涙をにじませて私を見つめる。




「萌ちゃん……そんなに一人で苦しんでいたのね。前世の傷が、あなたをこんなに苦しめているなんて……!」




「ああ、だが一時的に色彩を失ったと書かれている。


完全に手遅れになったわけではない! 萌の心を私たちが全力で

癒し、その前世の呪縛を解いてやれば

必ず元に戻るはずだ!」



前世がどうあれ、今の私を全力で愛し

心の傷ごと包み込もうとしてくれる温かい家族。



そんなみんなの優しさに胸が熱くなる中、私は本に浮かび上がった文字の続きに目を凝らした。文字はまだ、サラサラと続きの文章を紡ぎ出していく。



『――無色の瞳に光を取り戻し、前世の呪縛を解き放ちて魔力を完全に制御せんと欲せば、失われし色彩を補う

【特別な対価】が必要なり。

その答えは、次なる頁に開かれん――』



そこで、本の光は完全にフッと消え去り、部屋の中は元の朝の光へと戻った。



「次のページ……! 頼む、開いてくれ!」



事情を察したアレクにい様が焦ったように紙をめくろうとした。




けれど、どうしたことか、紙がまるで

鉄の板にでもなってしまったかのように、どれだけ力を込めてもピクリとも

動かない。



「くそっ、めくれない! 魔法の結界か

何かがかかっているみたいだ!」



「落ち着け、アレク。萌ちゃんの瞳の異変と前世の因縁、そのすべての答えがこの本にあることは間違いない。


だが、まだ僕たちにその先を読む資格

あるいは条件が足りないということだろう」



ジント様が冷静にアレクにい様を宥めながら、私を優しく見つめ直した。




私の瞳の色が消えたと同時に、チカチカと光りだしたピンクのスイーツの本。




そこに書かれていたのは、私の今世の

魔力だけでなく、前世の記憶までをも

巻き込んだ、壮大な異変の始まりだった。



(お菓子のレシピ本だと思ってたのに……あなた、一体何者なの?)




私はジント様の腕の中で、静かに閉じてしまったピンクの本を見つめながら

心の中で呟いた。



お医者様や魔術師が到着する前に

私たちはすでに、この異常事態を解決するための「鍵」を手に入れていたのだ。




ただし、前世のトラウマを解き明かすための【特別な対価】が一体何なのかは

まだ誰も知らない。



頭の上にケモ耳を生やしたお兄ちゃん

たちと、本を囲んで固まる両親。




私の色のない瞳の謎、 前世のトラウマを巡る、3日目の本当の戦いがここから始まろうとしていた。

第117話をお読みいただきありがとうございました!

萌ちゃんの瞳の色が消えてしまった真の原因は、今世の魔力だけでなく、前世の記憶やトラウマが関係していました……。

それを知ったジント様やお父様お母様が、驚くのでは

なく「今度こそ萌ちゃんを全力で癒して守るんだ」と

絆を深める姿に、書いていて少し胸が熱くなってしまいました。

お兄ちゃんたちのケモ耳とのギャップがまた凄まじいですが……!

そして最後に提示された【特別な対価】という不穏な

ワードと、鉄板のようにめくれない次のページ。

一体このレシピ本を開くには、何が必要なのでしょうか?

「続きが気になる!」「家族みんなで萌ちゃんを守ってほしい!」と思ってくださったら、ぜひ

【ブックマーク】や【評価(★★★★★)】で応援していただけると励みになります!感想や考察のコメントもお待ちしております。次回の第118話もお楽しみに!

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