第112話『中身はイケメン騎士の美幼女たちが尊すぎる件。これ、私の魔力上げはどうなるのぉ!?』
いつもお読みいただきありがとうございます!
前回、魔法の暴走によって
完璧に可愛い「美少女三姉妹
(中身は最強ショタ騎士)」になってしまったジント様たち。
そんな国宝級の天使たちを連れて、萌ちゃんはいざ街へお散歩に出発します!
……が、やはり異世界。お約束のナンパ男たちが現れて
しまい!?過保護すぎるお兄様たちの盛大な勘違いと
ビジュアルが大渋滞する戦闘態勢(?)に大注目の
第112話です!
完全に周囲の理性を崩壊させながら
私たちはのほほんとお散歩へ出かける
べく、宿屋の扉を押し開けた。
一歩、街の通りへと足を踏み出す。
すると、その瞬間に周囲の空気が
「ピキッ」と凍りついたのが分かった。
行き交う冒険者、買い物途中の主婦
露店のおじさん――すれ違う全ての人々の視線が、面白いようにジント様たちへと吸い寄せられていく。
それもそのはずだ。
現在、私の目の前にいるのは、薄ピンクの令嬢ドレスに金髪ツインテールの
ジント様。
サックスブルーのワンピースにサイド
ポニーのアレクにい様。
そして黄色いフリルスカートにお団子ヘアのライダにい様である。
繰り返すが、中身は成人男性のイケメン騎士様たちだ。
なのに、見た目は完璧に息を呑むほど
愛らしい『国宝級の美少女三姉妹』。
ジント様のコートの胸ポケットから外を覗いている私(白うさぎ)は、あまりの注目度の高さにブルブルと耳を震わせた。
(ひゃあああ! 視線が痛い! 街中の視線が完全に『可愛い天使たちが歩いてる……!』っていう驚愕と歓喜で埋め尽くされてるよぉぉぉ!)
当の本人たちはというと、中身が最強の騎士なだけあって、周囲の視線など全く気にしていない様子で、お互いのお洋服や髪型を褒め合ってのほほんと歩いている。
足元では、猫のみちゃーれが
「みゃ〜
(歩く大量破壊兵器みゃお。街の男どもの理性が心配だみゃお……)」
と、遠い目でトコトコとついてきていた。
みちゃーれの予言は、あまりにも早く的中することになる。
街の賑やかな広場に差し掛かった
まさにその時だった。
「お、おいおい、見ろよ。なんだあの
信じられないくらい可愛いお嬢ちゃん
たちは……!」
「おい、ちょっと声かけてみようぜ。
迷子かもしれないしな?」
広場の隅にたまっていた、いかにも
軽そうな若い男(下っ端冒険者風)の
3人組が、目をギラギラ輝かせながらこちらに近づいてきた。
そして、ジント様たちの前に立ち塞がると、にやにやとした下品な笑みを浮かべて声をかけてきたのだ。
「よお、可愛いお嬢ちゃんたち! こんなところで何してるんだい? 良かったら
お兄さんたちと美味しいものでも食べに行かない?」
――出た。
異世界お約束の『ナンパ』である。
しかも、相手が8歳児
(に見える美少女)という、色んな意味でアウトな案件だ。
(ひ、ひゃあああ! ナンパだ! 中身は
国屈指の最強イケメン騎士様たちなのに、見た目が幼女だからナンパされちゃったよぉぉぉ!)
私はポケットの中でハラハラしながら
ジント様たちの反応をうかがった。
すると、ジント様は眉をキリッと吊り上げ、私の入っている胸ポケットを小さな手でそっと覆い隠した。
「お兄さんたち、僕の萌ちゃん(ポケットの中)に変な虫をつけないでもらえるかい?」
「おい、ライダ。萌ちゃんがあまりに
可愛いからって、気安く声をかけてくる不届き者のお掃除をしておくれ」
「おう、任せとけジント! 萌ちゃんを
狙う奴は、俺が全員ぶっ飛ばしてやる!」
アレクにい様が氷点下のような低い声で威圧し、ジント様がピンクの袖を揺らしながら指示を出す。
すると、お団子ヘアのライダにい様が、黄色いフリルスカートを豪快にはためかせながら、拳を『ポキポキ』と凄まじい音を立てて鳴らし始めた。
そして実戦さながらの戦闘態勢に
入ったライダにい様は、いつもの癖で
両足を大きく開き、完全なる『ガニ股』で地面を踏み締めたのだ。
「ひっ……!? な、なんだよこのガキ
ども……! 異様に強そう……っていうか
怖い……っ!!」
「おい! 逃げるぞ! こいつら絶対にただの子供じゃねえ!!」
見た目は天使のように可愛いフリフリ
ドレスの幼女なのに、放たれるプレッシャーが国家最高戦力レベル、しかも凄まじいガニ股。
ナンパ男3人組は、あまりの恐怖と
シュールさに腰を抜かしそうになり
ながら一目散にクモの子を散らすように逃げ去っていった。
広場には、ただ風だけが吹き抜ける。
(……うん、知ってた。中身が最強すぎて、ナンパ男が一瞬で消え去ったね!
っていうか3人とも!!
さっきの男たちの目当て、ポケットの中の私じゃなくて、信じられないくらい可愛いあなたたち3人ですからねーーー!?
他人が声をかけてきたのはあなたたちが眩しすぎる美少女三姉妹になってるからですよぉぉぉっ!!)
私の心の中の荒ぶるツッコミが炸裂
する。
重度のシスコンな彼らは、自分たちの
国宝級の可愛さに全く無自覚なまま
全て「萌ちゃんが可愛いせい」だと思い込んでいるのだ。
そんな私のツッコミを余所に、ジント様はツインテールをふわりと揺らして微笑んだ。
「萌ちゃん、怖い思いをさせてすまなかったね。もう悪い虫は追い払ったから
安心しておくれ」
(あうぅ……違うの、本当に心臓に悪くて怖いのは、そんな男前なセリフを囁いてくるあなたたちの美少女ギャップがありすぎるなのよぉぉぉっ!!)
悶絶メーターはとっくに限界突破。
尊さと勘違いの渋滞にガタガタと震え
ながら、私はジント様の胸ポケット
から、落ち着こうと何気なく外の地面へと視線を落とした。
すると、大通りから少し外れた路地の隅、建物の陰になっている地面のあたりが、不自然に「キラキラ」と星のように瞬いているのが見えた。
(あれ……? 何か落ちてる? 宝石の破片かな?)
気になった私は、ジント様のポケットからぴょこんと身を乗り出し、うさぎの
短い前足でその光っている場所に触れてみた。
その瞬間、触れた指先から温かい光の粒子がシュウゥゥと私の体に吸い込まれていく。
『ピンポン♪ 探索ポイントを発見しました。周囲の微細な浮遊魔力を吸収し
自然魔力とあなた様の同調によって魔力値が【0.1】上昇しました』
(ええっ!? 街中を普通に歩いてるだけでも、こういうキラキラを見つければ
魔力が手に入るんだ!?)
まさかの大発見に私がうさぎの耳を
ピンと立たせて驚いていると、さらに
間を置かず、頭の中にあの無機質な
システム音声が鳴り響いた。
『ピンポンパンポーン。警告:対象者のハプニング(ナンパ遭遇)を解決いたしました。あなた様の魔力値が【1】上昇しました』
(あ、今度はナンパ撃退の分の魔力も
上がった! 合わせて1.1レベルアップ!)
どうやら、日常のハプニングを解決
するだけでなく、街中を「自由気ままにお散歩」してキラキラの魔力だまりを
見つけることでも、魔力上げができる
仕組みのようだ。
これなら、過酷な特訓をしなくてもなんとかなりそうである。
「おやおや、萌ちゃん。何か楽しいものでも見つけたのかい?」
ジント様がツインテールを揺らしな
がら、不思議そうに私を覗き込んで微笑む。
「萌ちゃんが嬉しいなら、俺もっと街の中をたくさん歩くぞ!」
ライダにい様はガニ股をスッと
直して、いつの間にか内股の可愛い
ポーズに戻っている。
「そうだね。じゃあ次はあっちの市場の方まで行ってみようか、ライダ、ジント」
日替わり変身ループ2日目。
まさかの「ナンパ男撃退」と「キラキラ発見」によって、ついに魔力上げの
確かな一歩を踏み出した萌ちゃん。
国宝級に尊い美少女三姉妹
(中身はショタ騎士)を連れたのほほんドタバタな街巡りは、まだまだ始まったばかりなのであった。
(第112話 終わり)
第112話をお読みいただきありがとうございました!
「萌ちゃんに変な虫がついたら困る」とブチ切れる
美少女三姉妹ですが
……いやいや、男たちの目当ては120%あなたたち
(ドレス姿の美幼女)ですからね!
笑重度すぎるシスコンゆえのすれ違いコント、書いていてとても楽しかったです。
そしてライダにい様、いくら拳をポキポキ鳴らすからって、その可愛いフリルスカート姿でガニ股になるのは
おやめください……!萌ちゃんの心のツッコミが追いつきません。
でも、そんなドタバタの最中、街中の「キラキラ」を
触ることで魔力が上がることが判明しました!
これでのほほんとお散歩しながらでも、元の姿に戻す
ための魔力上げができそうです。
「ガニ股のライダにい様可愛すぎる!」
「勘違いシスコン最高!」と思ってくださった方は
ぜひブックマークや評価の【☆☆☆☆☆】で応援していただけると、萌ちゃんがさらに街中のキラキラを見つけるエネルギーになります!
次回は市場で食い倒れ(?)編でしょうか。
お楽しみに!




