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第107話:ヨボヨボ演技で素通り計画! おじいちゃん達の華麗なる(?)老人コント

いつも『社畜OLの葛木萌、猫を助けて異世界へ!』を

お読みいただきありがとうございます!


前回のラスト、覚えていらっしゃいますでしょうか……。はい、私の魔力が不安定だったせいで、最強のイケメン公爵お兄ちゃんズとジント様が【全員強制おじいちゃん化】するという、大惨事(?)が発生いたしました。


絶体絶命の包囲網の中、目の前に迫る王国兵士たち。


そして、なぜか私の作ったわたあめを「もぐもぐ」と

美味そうに食べながら近づいてくる兵隊さん。


うさぎになってしまった萌と、ヨボヨボ老人三人衆の運命やいかに!?それでは、おじいちゃんたちの命がけ(?)の老人コント、どうぞお楽しみください!

「お、おい! あっちの路地から物凄い爆発音がしたぞ!」


「白い煙だ! 急げ、大魔力の赤ん坊か

不審な男たちが潜んでいるに違いない!」


わたあめの甘い香りが漂う路地裏のすぐ外で、王国兵士たちの血気盛んな怒声と、ガシャガシャという鎧の擦れる音が激しく響き渡る。


そんな絶体絶命の大ピンチの最中

ジント様のコートの胸ポケットにすっぽり収まった私(白うさぎ姿)は、目の前の信じられない光景に完全にフリーズしていた。


(あわわわっ!? 私のわたあめは成功したのに、不安定に起こされた魔法によって、ジント様とお兄様がおじいちゃんになっちゃったよぉお!)


私の心の中は大パニックで大絶叫しているけれど、悲しいかな、今の私の口からはうさぎの儚い声が出るだけだった。


「きゅう、きゅ、きゅぅ……」


そんな風に、私がこの信じられない状況に啞然としている間にも、現実のピンチはすぐそこまで迫っていた。


路地裏の入り口から、わたあめの霧を

かき分けて、ついに数人の王国兵士たちが突入してきたのだ。


けれど、その兵士たちの様子がなんだかおかしい。彼らはまさかの、私が作ったピンクのわたあめを【もぐもぐ】と食べながらこっちの道路まで歩いてきたのであった。


「こ、これすげぇ甘いっすよっ! あっ、ここにもありますよ。ピンクの雲みたいなお菓子」


新兵らしき兵士が、鎧の籠手についた

わたあめをペロペロと舐めながら

嬉そうに声を上げる。


「一体誰が(もぐもぐ)こんな美味しいものを作ったんだろうね。でも、これだけ広範囲に展開されているってことは、高度な魔法を使える人物が近くにいるってことだぞ。気を引き締めろ

(もぐもぐ)」


先輩らしき兵士も、剣に絡みついた

わたあめを引きちぎって口に放り込みながら、もっともらしい分析をしている。


(いや、説得力ゼロだよ! めちゃくちゃ美味そうに食べてるじゃん!)


わたあめの【ハッピー精神汚染】の効果は絶大だ。


兵士たちは完全に戦意をふにゃふにゃに溶かされながらも、わたあめを回収して食べ歩きするような勢いで、魔法を

使った張本人である私(萌)たちのいるすぐ目の前まで迫っていた。


兵士たちが顔を上げた瞬間、路地裏の

惨状を見てピタリと動きを止めた。


彼らが探しているのは「大魔力の赤ん坊」と「怪しい美男子たち」だ。


しかし、そこにいたのは――。


「……ごほっ、ごほっ! ゲフンッ!

なんじゃ、急に腰にズシリと響くような痛みが……。アレク、お主、妙に小さくなっておらんか?」


真っ白なハゲ頭をペチペチと叩きながら、信じられないほどカサカサに枯れた声で呟いたのはライダにい様だ。


高身長のイケメン騎士の面影はどこへ

やら、すっかり腰が直角に曲がり、プルプルと膝を震わせている。


「何を言うとるライダ……。お主こそ、その若々しかった黒髪が跡形もなく消え去って、綺麗なツルツル頭になっておるぞ。……あ、あれ? わしの声も

ずいぶん爺さんみたいになっておるな?」


アレクにい様が自分の顔を触り、そこに深く刻まれた深いシワの感触に愕然としている。


「二人とも落ち着くのじゃ……。わしたちは公爵家の威厳を背負う身……。

って、わしの髭、床まで伸びておるではないかーい! 自分で踏んづけて歩けぬわい!」


解き放たれるはずの王子様オーラを完全に封印されたジント様に至っては

サンタクロースもびっくりの真っ白で

立派な長い髭が地面を埋め尽くしていた。


国宝級の美貌が、一瞬にして

「ヨボヨボ老人三人衆」へと強制アップデートされてしまっている。


足元では、猫のみちゃーれが変わり果てた飼い主たちを見上げて、完全にドン引きしていた。


兵士たちの頭の上に、巨大な疑問符が浮かぶ。その瞬間、私の元社畜アラサー女子としての脳内に、ピキーンと電撃の

ような天啓がひらめいた。


(……待って。お兄ちゃんたちがおじいちゃんになったの、ある意味変装にはちょーどいいかも……!?)


今の彼らは、どこからどう見ても、ただの「徘徊おじいちゃん集団」だ。


公爵家の最強騎士だなんて誰も思わない!


(お兄ちゃんたち、ジント様! 今はそのままおじいちゃんのフリをしてーーーっ!)


テレパシーが通じたのか、アレクにい様が即座にショボショボの目を細め、耳に手を当てて一歩前に出た。


「ほえ? なんじゃって? 兵隊さん、耳が遠くてなぁ……。さっきから若者が

『不審なイケメンどもを見なかったか!』と大声で叫んどるようじゃが

わしにはサッパリ聞こえんわい……。

ごほっ、ごほっ」


完璧なボケ老人ムーブである。


「お、おい、爺さんたち! ここで怪しい連中を見なかったか!?」


兵士の一人が眉をひそめながら、声を

張り上げてライダにい様に詰め寄る。


すると、ライダにい様はプルプルと膝を激しく震わせながら、切なそうな顔で

自分の腰を叩いた。


「そんなことより兵隊さん、わしの腰を誰か揉んでくれんかのぅ……。さっきの『ぼふん』という音に驚いて、完全に

ギックリ腰をやってしもうたんじゃ……。よっこらしょ、よっこらしょ……」


そのリアルすぎるおじいちゃん演技に

兵士たちは完全に引き気味だ。


「チッ、なんだよ、ただのボケ老人たちかよ! おい、他を探すぞ! わたあめ食ってる場合じゃねぇ!」


兵士たちは完全に騙され、私たちの横をドタバタと素通りして走っていってしまった。


(やった……! 大成功ーーーーっっっ!!)


胸ポケットの中で、私はうさぎの長い耳をパタパタと羽ばたかせて大喜びした。


お兄ちゃんたちの華麗なる老人コントのおかげで、完璧に包囲網を突破したのだ。


「ふふ、萌ちゃんの言う通り、これはこれで完璧な変装になったのぅ。

……おっと、笑ったらまた腰がピキッといったわい……」


ジント様が長い白髭を自分で両手で抱え込みながら、枯れた声で苦笑いする。


完璧な美男子だったジント様まで

すっかり頼りないおじいちゃんの口調になってしまっていた。


私たちは、お互いのヨボヨボの老体を

支え合いながら、安全な宿屋を目指して夜の街をゆっくりと、本当にゆっくりと歩き出すのだった。

(第107話 完)

第107話、最後までお読みいただきありがとうございました!イケメンたちのプライドを完全にドブに捨てた

(というか萌の魔力に強制的に捨てさせられた)

華麗なる老人コント、いかがでしたでしょうか(笑)。


まさかジント様まで、長い白髭を抱えながら

「〜じゃのぅ」「〜わい」なんておじいちゃん言葉を

使うことになるなんて……。


でも、元社畜のアラサー女子としての機転(?)で

「ある意味、変装にはちょうどいい!」と割り切る萌のポジティブさはさすがですね!


ヨボヨボの老体を引きずりながら、徒歩5分の距離を30分かけて何とか安全な宿屋へ向かう一行。


無事に部屋に辿り着いたものの、このおじいちゃん状態を一体どうやって元に戻すのでしょうか?


次回、第108話「宿屋でのヨボヨボ反省会と若返りスイーツ(仮)」をお楽しみに!


「おじいちゃんたちの演技力が高すぎる(笑)」


「ジント様のおじいちゃん口調が最高!」と思ってくださった方は、ぜひ作品の下にある【☆☆☆☆☆】の

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