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第106話:人間ではなくうさぎになりましたが、ジント様の胸ポケットから可愛い魔法を放ちます!

いつも応援ありがとうございます!前話では、無事に(?)赤ん坊の姿から脱出した萌でしたが、まさかの……!?


今回から新章突入(?)です。なろう読者の皆様が

大好きな「あのモフモフ」と、ジント様の

「あの最高なシチュエーション」をこれでもかと詰め込みました。


イケメンお兄ちゃんたちの限界っぷりにもぜひご注目ください(笑)。それでは、第106話どうぞ!

「おい! さっきの光と甘い匂いは

この路地裏からだぞ!」


「急げ! 街の結界を揺るがすほどの魔力だ、何かがいるぞ!」


鎧がガシャガシャと擦れ合う重々しい金属音とともに、王国兵士たちの鋭い声が、すぐそこまで迫っていた。


さっき空にぶあんと浮かび上がった

あのピンク色の巨大な雲――ペットボトルの底に残っていた私の最後の魔力と

ジント様の膨大な魔力がブレンドされて生まれた奇跡の雲――は、無事に私の身体へと逆流した。


……逆流したのだけれど。人間に

できればあの可愛くて無敵な4歳の姿に戻れると思った瞬間、ぼふんっと怪しげな煙が目の前で大爆発した。


視界を覆う真っ白な煙が少しずつ晴れていく中で、私は自分の身体に強烈な違和感を覚える。


手足が、妙に短い。そして、全身がものすごく柔らかくて、フワフワした何かに包まれているような感覚。


(……え? なんだか、視線がものすごく低くなってない?)


恐る恐る自分の手――ではなく、前足を見てみる。


そこにあったのは、ピンク色の小さな肉球がついた、真っ白でモフモフした短い足だった。


さらに、頭のてっぺんから細長い何かがピコピコと立ち上がっている。


「きゅ、きゅぅ……?」


声を出そうとしても、口から出るのは

人間のものではない、うさぎ特有の儚くて、最高に可愛い鳴き声だけ。


(うう、4歳に戻れると思ったのに

なんでうさぎなのよぉぉぉ……っ!)


私が自分のあまりの変わりように

ショックで耳をペタンと垂らして落ち込んでいた、その時だった。


私の姿を見たアレクにい様、ライダ

にい様、そしてジント様が、まるで時間が止まったかのように一斉に凍りついた。


その目はこれ以上ないほど見開かれ

顔は驚きと――それ以上の何かで朱に

染まっていく。


次の瞬間、三人同時に鼻を押さえてのけぞった。


「……ッっぶぅ!!!!」信じられないことに、ライダにい様に至っては、噴水のように大量の鼻血まで吹き出している。


凄腕のイケメン騎士が、ただの白うさぎを見て鼻血まみれになるなんて、どんなホラーかギャグの世界だ。


「な、なんだこの尋常じゃない愛らしさは……! 心臓が止まるかと思ったぞ……!」


ライダにい様が鼻血を手の甲で拭いながら、ゼェゼェと荒い息を吐く。


その目は完全に、限界を迎えたオタクのそれだった。


「萌ちゃん、ずるいよ……。うさぎの耳をそんな風にピコピコ動かされたら

お兄ちゃん理性が保てない……! 守護欲というか、愛国心というか、何か別の熱い感情が爆発しそうだよ……!?」


アレクにい様も顔を真っ赤にしながら、今すぐ私を抱きしめたそうに両手を震わせている。


「ふふ、これはたまらないね。私の胸

ポケットが、世界で一番価値のある特等席に思えてきたよ。このまま私の国の宝物庫に仕舞っておきたいくらいだ」


ジント様が私の頭を指先でそっと撫でながら、信じられないほど爽やかに微笑む。


ジント様のコートの胸ポケットは、私のようなミニうさぎがすっぽり収まる

サイズで、人間の体温がじんわりと伝わってきてめちゃくちゃ温かくて安心する。


みんなが私のうさぎ姿の破壊力に限界を迎えて悶絶する中、足元にいたみちゃーれだけは冷静だった。


うさぎ姿になってショックを受けている私に気づくと、みちゃーれは小さな爪を器用に引っ掛けながら、ジント様の足をよじ登ってきた。


「みゃ〜、みゃ〜お」(萌、大丈夫みゃ。うさぎでも世界一可愛いみゃお)


そう言うように鳴くと、ジント様の胸

ポケットから顔を出している私の耳や

デコを、ザリザリとした猫舌で優しくペロペロと舐めて慰めてくれたのだ。


みちゃーれ、なんて優しいお姉ちゃんなの……! うさぎと猫のモフモフ同士の触れ合いに、背後でお兄ちゃんたちが再び「ぐふっ」と謎の声を上げていたけれど、気にしないことにする。


けれど、そんな尊くて温かい時間は

本当にあっという間に過ぎ去っていった。


「お、おい!あのピンク雲が出てたのは骨董品屋が集まる場所だよな」


「はっ!骨董品屋がある道路から出ていたと思われます」


路地裏のすぐ外から、複数の兵士たちの鋭い怒声が響く。


さっき空にぶあんと浮かび上がった

ピンク雲のせいで、周囲にいた兵士たちが一斉にこの場所へと集まってきてしまっているのだ。


壁一枚隔てた向こう側には、もう無数の気配がある。その頃、萌たちはというと……。


「な、なぁ逃げるのはいいけどよ。

俺たちが貴族なのもバレたらやべぇじゃねぇのか?」


ライダにい様が今いる場所から逃げるのはいいけど、なにか秘策を考えないと

捕まると思って、焦った顔でみんなに

問いかけた。


いくら腕っぷしに自信があっても

多勢に無勢。


それに、力尽くで兵士をなぎ倒せば

それこそ大罪人になってしまう。


「た、たしかに僕たちがここにいた事がバレたら事がおおやけになってしまうし、国の上層部に疑われるのは間違い間違いね」


アレクにい様も深く頷きながら

どうにか国の上層部にバレずに、この場を切り抜けて掴まれない方法を探して

視線を激しく巡らせる。


私たちは今、お忍びの状態で動いているのだ。


公爵家の人間がこの怪しげな大魔力騒ぎに関わっていると知られたら、国を揺るがす大問題になってしまうのは明白だった。


「ふふ、それなら心配いらないよ。

萌ちゃん、その姿のままでも魔法は使えそうかい?」


ジント様が私の頭を指先でそっと撫でながら、胸ポケットの中にある、あの生

クリームみたいな可愛い魔導書を指さした。


私のすぐ隣に収まっているその本は

私の姿が変わっても、ちゃんと私の意志と完全にリンクしているのが分かった。


(あ、本なら私の意思と完全にリンクしてるから、うさぎの姿でも使える……!)


頭の中に、うさぎの姿になったことで

新しく解放された(?)お菓子魔法の

レシピが、パッと浮かんできた。


『うさぎの特権:浴びるとみんなフワフワハッピー! わたあめバリア魔法!』


(よしっ、これなら誰も傷つけずに

正体を隠して逃げられる!)


私はジント様の胸ポケットから短い前足をビシッと突き出し、その魔法を頭に

思い描いた。


(……いっけぇぇぇぇ! わたあめ魔法ーーーっ!!)


モコモコモコモコモコモコッ!!!!!!


「うわああああっ!? な、なんだこれはっ!?」


「甘い!? 白くてフワフワしたものが

目の前を覆い尽くしていくぞ!?」


路地裏の空間全体に、爆発的な勢いで

『ピンク色の巨大なわたあめ』が湧き出してきた。


それはただのわたあめではない。


触ると雲のようにフワッフワで、騎士たちの視界を完全に遮り、さらに鎧や剣にベタベタと絡みつく足止め魔法だった。


「目が前が見えん! しかもこれ、美味いぞっ!?」


わたあめの【ハッピー精神汚染】に

より、兵士たちの戦意がみるみるうちにフワフワと溶けていく。


「これなら僕たちの姿を見られることもないね。ナイスだよ、萌ちゃん!」


「よし、今のうちにずらかるぞ!」


アレクにい様たちが走り出そうとした

その時だった。


まさかの魔力不安定で、わたあめが出た同時に、私たちの足元から、ぼふんっと怪しげな白い煙が上がってしまったのだ。


(あっやばい、魔力はほんのちょびっとしかないから、魔力を使ったら安定しなくて……っ!)


煙に包まれ、視界が真っ白になる中

私はジント様の胸ポケットの中で冷や汗を流す。


(わたあめと……一体何の魔法が発動してしまったの!?)


自分の意思とは裏腹に、暴走した魔力が激しくうねり、視界が完全に真っ白な

煙で埋め尽くされ――


そして、激しい音を立てて大爆発した。


……ぼふーーーんっ!!!


「ごほっ、ごほっ! ……ん? なんじゃ、急に腰が痛うなって……」


「アレク、お主の声、ずいぶん枯れておらんか? ……って、ライダ! お主の髪が真っ白のハゲ頭に!?」


「何を言うとるジント、お主こそ髭が床まで伸びとるぞ……。ちゅうか、歩くのもしんどいわい……」


煙が晴れたそこには、腰を曲げて

「よっこらしょ」と杖(?)を突く

ヨボヨボの『おじいちゃん』に姿を変えられたイケメンたちの姿があった。


(……って、全員おじいちゃんになってましたーーーっっっ!?!?)


うさぎの胸ポケットの中から、私は

変わり果てたお兄ちゃんたちを見て声に

ならない悲鳴を上げるのだった。

(第106話 完)

第106話、最後までお読みいただきありがとう

ございました!


……はい、皆様のツッコミが画面越しに聞こえてくるようです(笑)。


せっかくのイケメン公爵令息たちとジント様が、まさかの強制ヨボヨボおじいちゃん化!!!魔力不安定って

本当に恐ろしいですね……。


モフモフうさぎの萌と、おじいちゃん三人衆

(+みちゃーれ)。この絶望的(?)な状況から、

一体どうやって兵士たちの包囲網を切り抜けるのでしょうか?


実は、うさぎ姿の萌がこのあと、この絶体絶命のピンチをひっくり返す「ある天才的なひらめき」を思いつきます……!


次回、第107話「おじいちゃん変装大作戦(仮)」で

お会いしましょう!


「おじいちゃん化は草」「うさぎ萌ちゃん可愛すぎる!」と思ってくださった方は、ぜひ下にある

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