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第105話:ピンク雲が萌の身体に入ってゆく!? みるみる姿が変わって、ついに赤ん坊から脱出――!?

いつもお読みいただき、本当にありがとうございます!前回、呪いの鎖を打ち破り、ついに伝説の魔導書を手に入れた萌。

しかし、その代償として空へと放たれてしまった規格外の魔力は、街の結界を突き抜けるほどの巨大な

『ピンク色の雲』となってしまいました。

ただでさえ魔力が空っぽの瀕死状態なのに、最後の魔力まで外に出てしまって、萌ちゃんは大ピンチに……!

怒涛の超展開が巻き起こる第105話、どうぞ最後までお楽しみください!

骨董品屋でのスイーツ対決を制し

なんとか黒い魔導書を手に入れた私

たち。


しかし、その封印に触れた瞬間、私の胸の奥の魔力と本が激しく共鳴し、凄まじい光が路地裏を包み込んだ。


「おい……アレク、ジント様……。上を見ろよ……」


ライダにい様が引きつった声をあげ

私たちはひなびた骨董品屋の店から

バンッと勢いよく外へ飛び出した。


みんなが一斉に空を見上げると、そこには信じられない光景が広がっていた。

薄暗い路地裏の遥か上空に、規格外の甘い香りをまとった巨大な

『ピンク色の雲』が、ぶあんと不気味に渦巻いていたのだ。


(あ、あれは……私の魔力……!?)


それは、前の戦闘で魔力を使い切り

赤ん坊にまで退行してしまった私に残されていた、最後の魔力だった。


例えるなら、500mlのペットボトルの底に、ほんのちょっとだけ残っていたような、本当にギリギリの魔力。


それが封印の拒絶反応によって、一気に外へ搾り出されてしまったのだ。


これは、極めて危険な状態だった。


ただでさえ赤ん坊の姿で生き延びるのが精一杯だったのに、その少しだけあった魔力すら、今完全に無くなってしまったのだから。


案の定、私の身体から急激に血の気が引いていく。呼吸が浅くなり、指先が氷のように冷たくなっていくのが分かった。


「萌ちゃん! ど、どうしたんだ!? 顔色が真っ青になっているよ……! 僕の魔力が足りなかったのか……!?」


私を抱きしめているジント様が、血相を変えて叫んだ。


ジント様はすぐに自分の温かい魔力を

私に分け与えようとしてくれているけれど、私の内側の『魔力の器』そのものが空っぽになって壊れかけているため

うまく馴染まない。


ジント様はみるみる青ざめていく私の顔を見て、自分の魔力が足りないせいなのかと激しく焦っていた。


「あ、あぅ……(せっかく、ほんの少し残ってた私の魔力が、ピンク雲として

出ちゃったし……。それに、ジント様がさっきくれた魔力も混ざってる……。

あの雲、今すぐ私の中に取り込まないと……っ)」


私は蚊の泣くような、今にも消えそうな掠れた声を出した。


言葉はまだ上手く喋れないけれど

ジント様の服の胸元をちっちゃなおててでぎゅっと握りしめ、必死に目で上空の雲を指さす。


意識が遠のきそうな恐怖の中、私の心の中で最大の危機感が高まっていた。


あの雲が完全に霧散してしまったら

私は本当に死んでしまう。


「みゃあーっ!!(萌の魔力を呼び戻すにゃ!)」


私の頭の上で、相棒のみちゃーれが悲痛な声をあげて鳴いた。


その声に応えるように、私の胸に抱えられた白い魔導書のイチゴの紋章が、再びカッと光を放つ。


ゴオオオオオオオオオオ……ッ!!!


突然、上空で猛烈な突風が吹き荒れた。


空中にとどまっていた巨大なピンク色の雲が、意思を持った生き物のように形を変え、ものすごいスピードで地上へと

急降下を始めたのだ。


それも、真っ直ぐに――ジント様の腕の中にいる、私を目指して!


「萌ちゃん! アレク、障壁を――」


「だめだ、間に合わない……!」


ジント様が私を庇うように背中を丸めたけれど、ピンク色の雲はアレクにい様の防護バリアすら、まるで空気であるかのようにすり抜けた。


そして、シュウウウウウウッ……! と

私の小さな身体の中へと直接、怒涛の

勢いで吸い込まれていった。


「ば、バブ……(ピンク雲が降りてきて、身体に入ったけど……あ、あちゅい……! 全身が沸騰しそう……っ!)」


ジント様の純粋な魔力と、私のお菓子魔力が完璧にブレンドされたピンクの雲。


それがカラカラに乾ききっていた私の身体を満たしていく。


だけど、あまりの熱量に私は胸をぎゅうっと押さえながら、荒い息を繰り返す。


ど、とくんどくん、と心臓の音が壊れた時計のように激しく波を打っていた。


そして最後に――ドクンっ!!! と大きく心臓が跳ね上がった瞬間、私の身体が急速に変わり始めた。


(あ、身体が伸びる……! やった、これで元の4歳の人間に戻れる……!)


そう思ったのは、本当に一瞬だけ

だった。


ぼふんっ!!!


「ぶふぇっ!?(げほっ!?)」


突然、私の身体からピンク色の怪しげな煙が大爆発したのだ。


ジント様やお兄ちゃんたちが

「萌ちゃん!?」と叫ぶ中、煙の中からひょこりと顔を出したのは――。


長くてピコピコと動く、真っ白な耳。


ちょこんとついた、短くて丸いしっぽ。


そして、マントの裾から覗く、驚くほど短い四本の足。それは本の影響なのか、それとも、とんでもないハズレを引いてしまったのか。人間に戻るどころか

私は――小さくてモフモフな『うさぎ』になってしまっていたのだ。


「「「……………………え?」」」


ジント様、アレクにい様、ライダにい様、そして店主のドワーフおじさんまでが、一斉に石のように固まった。


「キ、キュッ……キュッ??

(え、ちょっと待って、なんで

うさぎ……!?)」


声を出そうとしたけれど、口から出たのは可愛い鳴き声だけ。


ジント様の大きな手のひらの上で、私は自分の白くて丸い前足を見つめ、絶望で頭が真っ白になった。


赤ん坊からは脱出したけれど、まさかの獣化である。


「……う、うさぎ……? 萌ちゃんが……

うさぎさんに……?」


アレクにい様が、衝撃のあまり呆然と

呟く。


「おい、待てよ……。なんだこの生き物……めちゃくちゃ、めちゃくちゃ可愛いじゃねぇかぁぁぁ!!」


ライダにい様が、我慢の限界を迎えたように胸を押さえて悶絶し始めた。


「おや……。4歳の姿も見たかったけれど、このモフモフな萌ちゃんも……破壊力が凄まじいね」


ジント様が、手のひらの上の私をそっと指先でおでこを撫でてくれる。


その心地よさに、うさぎの習性なのか、私の耳が嬉しそうにピコピコと跳ねて

しまった。


お兄ちゃんたちが「くはっ!」と同時に尊死する。


「ま、魔導書に秘められた【肉体の最適化】が、萌ちゃんの『エルフの血』や

前世の魂と奇妙な混ざり方をして、一時的に聖獣うさぎの姿になっちゃった

みたいだね……!」


アレクにい様が、涙目になりながらも

天才的な分析をしてくれた。


どうやら、魔力が完全に安定すれば人間に戻れるらしいけれど、今は完全に

うさぎだ。


(もう、簡単には事が進まないにも程があるよー!)


心の中で私がうなだれている、その時

だった。


タッタッタッタッタッ……!


路地裏の入り口から、鎧が擦れ合う金属音と、複数の慌ただしい足音が近づいてくるのが聞こえた。


「おい! さっきの光と甘い匂いは、この路地裏からだぞ!」


「急げ! 王国の結界を揺るがすほどの

魔力だ、何かがいるぞ!」


王国の騎士団の追っ手だ。


ピンク雲は消えたけれど、騒ぎを聞きつけた奴らがすぐそこまで迫っていた。


「チッ、感動(?)の再会に水を差し

やがって……!」


ライダにい様が剣を構え直す。


「ふふ、でも、うさぎの姿になった

おかげで、さっきの『赤ん坊の萌ちゃん』を探している追っ手の目を欺くには、本当にちょうどよくなったね?」


ジント様が私をマントのポケット

(特等席)にすっぽりと入れながら

いたずらっぽく微笑んだ。


ポケットから長い耳だけがピコッと覗く。


「そうだね。萌ちゃん、うさぎ姿での

最初の冒険だ。お兄ちゃんたちと一緒に、この囲いを突破しよう!」


アレクにい様が、両手にきらびやかな

魔法陣を浮かび上がらせた。


「みゃお!(行くにゃ、うさぎ萌!)」

みちゃーれも私の横に並ぶ。


(よし……4歳には戻れなかったけど、うさぎの脚力(?)で、このピンチを

乗り切ってやるんだから!)


私はポケットの中で長い耳をピシッと

立たせ、気合いを入れ直した。


赤ん坊から脱出し、まさかのモフモフ

うさぎへと変貌を遂げた私の異世界

パティシエライフ。


ここから、さらに賑やかで、もっと自由気まま(?)な旅が、本格的に幕を開ける!(第105話 完)

第105話をお読みいただき、ありがとうございました!

人間に(4歳の姿に)戻れると思った瞬間の、まさかの【ぼふんっ!】とうさぎ化……!!

ペットボトルの底に残った最後の魔力とジント様の魔力が混ざり合って、まさかのモフモフうさぎさんになってしまいました。

でも、耳ピコピコな萌ちゃん、お兄ちゃんたちじゃなくても尊死する可愛さです……!

赤ん坊からは脱出したものの、人間の姿はお預けと

なってしまった萌ちゃん。

しかも、空の異変を察知した王国騎士団の追っ手がすぐそこまで迫っています。

ジント様のポケット(特等席)にすっぽり収まった

うさぎ萌ちゃんは、このピンチをどう切り抜けるのでしょうか!?

次回、第106話は「うさぎ姿での初めての冒険

(脱出劇)!」をお届けします。お楽しみに!

【読者のみなさまへのお願い】

「うさぎ萌ちゃん可愛すぎる!」

「ポケットに入りたい!」と思ってくださった方は、

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感想や「うさぎ姿の萌ちゃんにこれしてほしい!」などのコメントもお待ちしております!

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