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白内障と緑内障の手術  作者: 夏目 碧央


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鏡が見えた!

 なかなか右目の瞳孔は閉まらず、夕食の後はまたデイルームに行ってパソコンで日記を書いたのだが、その時は右目には全く合わない今までのメガネを掛け、左目だけで見ていた。まあ、昨日まで右目がちゃんと見えず、字を読むのは左目だけでやっていたので、同じなのだが。

 今日はシャワーが出来ない。しかし点滴がなくて良かったな。夜、雨が降ったみたいで湿度が上がったのか、蒸し暑くてかなわなかった。一日くらいお風呂に入れなくても問題ないと思っていたのに、もうギブアップか。そうだ、服を着替えてしまおう。シャワーを浴びない日は着替えない予定で服を持って来たのだが、明日もシャワーが出来ないと言われたから、今夜から明日の服を着てしまってもいいだろう。今は前開き襟付きのパジャマだが、丸首のTシャツに着替えたら涼しいはずだ。

 コットンで顔を拭いたら、意外とさっぱりした。けっこう鼻とかベタベタして気持ち悪かったのだ。着替える時にはパンツも換えた。これもね、普段けっこう看護師さんの他に清掃員など色々な人が訪ねてきて、名前を呼んでからではあるものの、返事をするかしないかの内にカーテンを少し開けて覗かれるから、今着替えているから待ってください!などと言っている間には覗かれてしまうのだ。男性が来る事もしょっちゅうで、おちおち着替えも出来ない。布団から足だけ出して変な格好で寝ていた時も、いきなり人が顔をのぞかせてびっくりした事があった。というわけで、消灯時間になってから着替えた。ああ、涼しくなった。

 消灯時間の10時頃に寝た。手術で疲れているという事もあるし、それから小説のネタを考えようとすると、考えつかずに眠ってしまうという性質もあって、割と眠れた。だが、不思議と2時間ごとに時計を見た。笑ってしまう程に。12時、2時、4時、そしてほぼ6時の5時59分に時計を見て、起き上がった。二つ隣の人のいびきがなくなって、少し静かになったのも眠れた要因かもしれない。

 トイレに行った。手を洗う時、目の前の鏡を見てあっと驚いた。顔が見える!昨日は鏡がぼやけていて、右目はそんなに中距離が見えないのかと不安だったが、ちゃんと鏡が見える。右眼は真っ赤だった。鬼だな。

 窓の外を見ても、遠くがよく見える。手元は確かに良く見えない。スマホの文字は大きければ見えるようだ。持って来ている老眼鏡をかけてみると、まだ小さい字は見えない。もう少し度の強い老眼鏡でないとダメなようだ。

 そういえば、昨日の退屈していた時間に、ナースコールをして左目にコンタクトレンズを入れてもいいかどうか聞いたのだった。しかし、今日は裸眼でと言われたのだ。明日は入れてもいいかどうか、確認しますねと言われていたのだった。しかし、翌朝、つまり今朝になって、血圧と体温を測られたり、朝食が運ばれてきたりしても、とくにその話はなかった。今日も朝の診察があるので、その時に先生に聞いてみようと思った。

 診察は、手術をしてくれた先生だった。

「うん、傷口は綺麗ですね。レンズも真ん中に入っています。」

と言われた。そうか、これで綺麗なのだな。黒目の左側と右側にそれぞれ赤い縦線がある。それと、何となく目頭の辺りがいつもよりも深くえぐれている気がするが。

「午後に視力検査に呼ばれると思います。」

と言われた。そこですかさず、左目にコンタクトを入れてもいいかと聞いた。そうしたら、

「ああ、左目はいいですよ。」

と、当たり前のように言われた。ほら、やっぱり。昨日だってこの先生に聞いたらいいって言ってくれたのではないか。それで診察は終了し、部屋に戻って早速左目にコンタクトを入れた。


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