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白内障と緑内障の手術  作者: 夏目 碧央


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左目の手術

 夜、静かすぎる程だったのだが、やっぱりなかなか眠れなかった。12時、1時、2時と1時間毎に時計を見てしまった。でもその後は2時間眠れて4時。あと2時間だ、頑張れと自分を励まし、夢を見たので眠ったようだ。5時半に目が覚め、もう起き上がった。ちょっと頭が痛かった。眠れた時にぐったり眠ったのかもしれない。

 結局隣はいなかったようだ。出てくる人を一度見たと思ったのだが、気のせいだったようだ。まさかほぼ閉まっているカーテンの中を、窓際まで行って覗くわけにはいかず、いないと分かるまでに時間がかかってしまった。

 さて、今日は手術の日。朝6時過ぎに瞳孔を開く目薬が3種類やってきて、30分毎に点すなどした。

 診察は8時半と言われた。朝食が8時15分頃に運ばれてきて、急いで食べて診察室へ行った。まず担当の先生に診てもらった。左右の眼圧を測ってもらったら、右が21と言われてびっくり。退院する時に19で高いと思ったのに、それからグラナテックという眼圧を下げる目薬をしていたのに上がっているではないか。夕べ寝不足だったからだろうか。一方、緑内障の目薬を昨日から辞めている左目は13だった。まあまあだ。因みに、右目の手術の時、入院後は右目の緑内障の目薬を辞めるのか続けるのかで揉めたけれど、今回は辞めるという事で統一されていた。前回の「点してください」と言った看護師さんだけがおかしかったようだ。

 そして、やっと右目の手術後に点していた目薬の回数が、6回から3回に減らす事になった。本当は術後1週間くらいで診察をするべきだったそうだが、先生が出張に行っていたとかで出来なかったみたいだ。手術をしてくれる先生にも診てもらい、部屋で呼び出しを待つ事になった。

 部屋に戻ってすぐ、手術に呼ばれた。瞳孔は開いていると言われた。さあ、いよいよ左右の目の視力が揃うぞ。もう2回目なので緊張しないだろう、と思ったのはちょっと間違いで……。

 例によって車いすに乗せられ、エレベーターで手術室へと向かった。前回と違うのは、右目が良く見えている事だ。手術室の様子も、先生や看護師さんの顔も、時計の針も見える。前回はメガネも外してしまって、手術しない方の目もほとんど何も見えていなかったから。

 9時に呼ばれて、手術は9時半からという事だったが、9時20分頃には始まったのではないだろうか。椅子に座り、色々装着されて、椅子が倒され、上からカバーを掛けられた。まだ目に麻酔の目薬をされていないので心配になったが、その後点してくれた。

「消毒液が沁みないように、左右の目に麻酔の目薬をしますね。」

と、看護師さんに言われた。前回は何故手術しない方の目にも点すのか、ちょっと聞き取れなかったのだった。なるほど、消毒液が沁みないようにか。

 そして、やっぱり長い針の注射が出てきた。先生が、

「麻酔の注射をしますね。これが一番感じますよ。」

と言った。感じる、という言葉通り、確かに何か触られた感じがした。痛くはない。チクリともしない。だが、感じやすい所を触れた感じはした。

 緊張しないと思ったが、前回痛くなかったと思っていても、案外痛いかもしれない、思ったよりも痛くなかっただけで、痛くないと思っていたら痛いかも、などと思ってしまって体が緊張した。

「右目はうっすら開けていてくださいね。」

と先生が言った。前は両目とも大きく開けていてと言われた気がしたが。それは、後から分かったのだが、先生の右手が、私の右目の上に少し乗っかる感じになるからだった。右目の時にはそれがないから、左目は開けていて良かったが、右目の場合はあまり開けていると良くない感じだった。

 さて、左目の先には3つの青い光があった。いや、青いというか……まるで皆既日食を見ているようだった。光を青い物が隠していて周りから光が漏れているような。私はただ、なるべく力を抜いてじっとしていた。隣のスペースでも手術が行われているようで、声などが聞こえていたが、途中で、

「あー、動いちゃった。」

「すみません。」

「もう一度行きますよー。」

というような、男性の明るい会話が為されていた。動いてしまったのか。

 またアイステントを入れる時には右を向いた。ああ、耳が折れてしまっている、と思ったけれど、あっという間に終わってすぐに真っすぐに戻された。その後はさっきの皆既日食が、3つのタブレットに替わった。錠剤みたいな物が3つ、目の前にある。丸いタブレットが上に2つ、野球のベース型のような形の白いものが下に1つ。その表面はやけにツブツブとしていて、たくさんの粒が集まった錠剤という雰囲気。なぜだ。確かに右の時もこんな感じだったかな、と思っていたらもう終わりだった。

「左目にはガッツリ麻酔が効いてますからね。ちょっとフラフラするかもしれません。」

と先生が言った。あと、眼帯は白いのと透明なのとどちらがいいか聞かれたので、透明な方にしてもらった。

 終わって車いすに乗り、お迎えを待っていると時計が見えた。9時40分くらいだった。最初は開いていない感じの左目だったが、徐々に勝手に開いた。まだ瞳孔が開いているせいでぼやけてはいるが、見えているのが分かる。白い眼帯だったらこれが分からず、多分眼帯を取られるまで瞑ったままだったと思う。ぼやけていても、遠近感はちゃんとあるというか、完全に片目をつぶるよりも危なくないものだ。

 看護師さん2人がきてくれて、部屋に運んでくれた。男性の看護師さんが女性の新人さんを指導している感じで、なかなか部屋に戻れなかった。前もこんな風だったかな。

 部屋に戻って横になった。ここで2時間、いや、もう15分くらい経っているから1時間45分くらい休まなくてはならない。麻酔のせいでぐったりしているから、とりあえず何もせずに横になってみる。でも、やっぱり退屈して音楽を聴いていた。


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