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白内障と緑内障の手術  作者: 夏目 碧央


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10/27

魔の巣窟はどこへ?却って怖い……

 昼食と夕食の間が空いているので、とてもお腹が空いた。夕食に魚が出て嬉しかった。しかし、メニューの紙には「鰆の照り焼き」と書いてあるが、どう見ても照り焼きではない。蒸してあるような感じ。せいぜい塩焼きか。

 食事に関しては毎食思うところがあったけれど、あまり手術とは関係ないので割愛した。病院食というのは、総じて薄味で柔らかいが、ここは眼科だからあえて硬い物も出しているようで、硬いか柔らかいかの両極端な感じだった。ちゃんと計算されていると思うと安心して、出されたジャムやドレッシングなどを余すことなく使えるのが良い。ただ、このタケノコのように、薄味過ぎて硬すぎて、私が作って失敗した時のような物が出るのが面白い。私もまたああなったら、失敗ではないと言い張ろうと思った。

 シャワーに行き、パソコンで日記を書き、YouTube動画をちょっと観てきた。夜にデイルームに来る人は稀で、一人だったしマスクをしているから、思いっきりにやけた顔で観ていた。何の動画かって?推しが出ている動画に決まっているではないか。にやけているのは面白いからであって、その他の変な意味ではない。

 コンタクトを外し、10時頃に寝た。コンタクトを外してしまうと、もうやれる事が限られるのだ。しかし、寝ようとしている時、もしくは目覚めた時に、遠くが見えるというのは新鮮だ。もう何十年も経験していなかった事だ。まだ右目だけだが。

 一瞬眠ったものの12時半頃に目が覚めてしまい、トイレに行きたくなった。面倒だが、まだ12時半では行っておくしかあるまい。布団を出て廊下へ出た。そうしたら……

 あれ?静かだぞ。廊下はシーンと静まり返っていた。一昨日、あんなにいびきがあちこちから聞こえていたのに。どういう事だ?トイレのところへ曲がる時、若い男子が出てきて、多分びっくりしていたと思う。驚かせてすまぬ。トイレを済ませて部屋へ戻る時、もしかして多くの皆さんが退院してしまい、部屋がガラガラなのかな、と思った。だからこんなに静かなのかと。しかし、お隣の男性大部屋をチラリと見たら、全てのベッドにカーテンが引いてある。うそ、全員揃っている。それなのに、この静けさなのか。う、却って怖いぞ。

 シーンと静まりかえった病院の夜。ゴゴー、ガガーのいびき大合唱も怖かったけど、こっちの方が怖いんだけど。ベッドに戻り、横になったところで隣のベッドからいびきが聞こえ始めた。そうか、今たまたま静かだっただけか?

 それから、誰かがトイレに行く音などが廊下から聞こえていた。12時半という時間で、まだ眠っていない人が多かったという事もあるかもしれない。

 が、4時頃にまた目が覚めてしまった。あと2時間で起床だから我慢しようかと思ったが、やっぱりトイレに行きたいので起き出した。そうすると、やっぱり廊下はシーンと静まりかえっていた。確かにうちの部屋のいびきマンは退院してしまったけれど、他の部屋のいびきマンも全員退院してしまったのか?ということは、むしろ一昨日のいびき大合唱は稀な、貴重な(?)経験だったのだろうか。

 また布団に入ると、急に胸の辺りが寒くなった。そしてお腹が痛くなった。なんだ、どうしてだ。寒い。寒気がする。熱が出るのだろうか。困るぞ。退院できなくなったりしないだろうか。明日、絶対に退院したい。だってパンツがないから。

 厚手のパジャマを上から着ようかとも考えたが、キャリーケースからゴソゴソ出すのも面倒だし周りに迷惑だ。そうだ、足元に追いやっていたタオルケットを引っ張り上げよう。うん、だいぶ暖かくなった。タオルケットがあって良かった。後ほど、今朝は最低気温が8度だったと天気予報で言っていた。夕べ雨が降り、その後急激に冷え込んだようだ。部屋のカーテンは短く、風が何となく入って来るから、もろに外気温の変化の影響を受けたのかもしれない。


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