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魔王との闘い

「再度問おう、異世界の勇者よ。如何なる理由を持ってこの魔王の命を狙っておる」

「元の世界へ帰る為だ。その為にお前には死んでもらう」

両手で剣を構え、剣先を魔王へ向けたまま視線は外さない。

「何故私が死ぬとお前が元の世界へ帰れるのだ?」

「俺を召喚した人間の王が言ったんだ!魔王が帰れる術を知っているとっ!」

目が真剣だ。

本気で言っている。

「召喚した本人が知らぬのに、何故わしが知っておると思うのだ?」

そもそも・・・

「我が魔族が人間達に何をしたと?」

魔王を睨みつけ、思案する。

「人間を襲った事は・・・」

「しておらぬな、むしろ今我が襲われておる」

負けじと勇者が再度問う。

「我々が動物を狩って生きている様に、お前は人間を狩って食べているのだろう!」

「ここへ来る途中、我が領地を通って来ただろう」

「・・・来たな」

「何があった?」

「・・・畑があったな」

「我々は肉は食わぬ。畑を耕し、穀物から食料を得ておる」

だがっ、だがっ・・・

勇者は首を左右に振り、浮かんだ考えを振り払う。

「俺は騙されないぞ!」

再び剣を構える勇者。

「そもそも、わしを倒してどうやって元の世界へ帰る術を知るつもりなのだ?」

しまったっ!みたいな顔してる。

「・・・書物を漁る」

「我々の国に文字は存在せぬが?」

文字が存在しなければ、書物も存在しない。

「つまり・・・」

魔王は長く伸びた口髭を指でなぞる。

「無駄じゃな。今やってる事」

ぴくりと、勇者のこめかみが引きつく。

構えた剣をゆっくりと下ろし、視線を床に下ろした。

「・・・俺、騙されてた?」

「じゃな」

「俺、これからどうすれば・・・」

「知らんけど」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

勇者の顔が、少しずつ赤くなっていく。

なんか腹立ってきた。

あの国王、俺を騙して魔王を殺させようとしやがって・・・そもそも勝手に呼び出しやがって!

仲間もつけずに行って来いとか・・・ありえない。

ゴゴゴと怒りの音なき声が聞こえる。

「魔王よ」

「なんだ?」

意を決し、魔王へ向かって叫んだ。

「力を貸してくれないか?共に人間の王を倒そうぞ!」

「・・・やだよ」

勇者は空を見上げて呟いた。

「俺、これからどうすれば・・・」

魔王は、同じ空を見上げて口を開く。

「・・・温泉でも入って帰れば良かろう」


PS.レニオン村から約半日程歩いたこの場所は、近い将来、秘湯として世に広く知れ渡る事となる。

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