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少女の野望

「10年後、この村の覇権を握るのは私、現村長の娘アリッサよ!」

「ハッ!仰る通りでございます!アリッサ様!!!」

そう言って、メイドのユーリは深々と頭を下げた。

ふふんと鼻を鳴らし、手にした扇を優雅に開く。

とても5歳児とは思えぬ手捌きである。

深々と頭を下げるメイドのユーリを一瞥し、満足そうに高らかに笑う。

「ユーリ、貴方はちゃんと分かっているようね!このアリッサに付く決断をしたとは、先見の目があるわね!」

「ハッ!有難きお言葉」

ユーリがアリッサに付き合っているのは、仕事だからである。

雇い主である『村長』に、孫娘を宜しくと言われているのだ。

我儘な孫に文句ひとつ言わず付き合う様は、まさにメイドの鏡と言えよう。

「私はね、ユーリ。一つの野望があるのよ!」

両手を広げ、高らかに宣言する。

「若いツバメをはべらすのよ!!!」

背景に高潮が見えたのは幻覚であろう。

「・・・ツバメ、でございますか?」

さすがに聞き捨てならずと、ユーリが顔をしかめる。

但し顔は伏せたままなので、アリッサには訝しめる彼女の表情は確認出来ない。

「私はねユーリ。年上より年下派なの。10年後、私が15歳の時に私はこの村を手中に治めるわ。その時に若い男が欲しいのよ!」

またアホな事を・・・ユーリは心の中でアリッサを罵倒し続けたが、顔には出さない。

プロである。

アリッサは続ける。

「だけど、現状この村の若者は、隣町のリンゴクに流れつつある。向こうは、ここと違って1000人前後の中規模の街。華やかなリンゴクに人が流れるのは仕方のないことっ!」

グッ!と拳を握り締め、悔しそうに叫ぶ。

そこで私は考えたの。と、つらつらと何やら文字が書かれた1枚の紙を取り出した。

「これが、私が推し進めるこの村の改革案よっ」

書かれた文字が全てひらがななのは、仕方のない事だ。

書かれた内容はこうである。

企業の誘致と、減税。そして託児所などの福祉施設の設置等。10にも及ぶ改革案が記載されていた。

土地だけは無駄にある。二つ目の改革案である減税がうまくいけば、企業の誘致も可能であろう。

この国の税の回収は、1000人以上の住人が住む街からと決まっている。しかも、税を納める必要があるのは、1000人を超えた年の5年後。つまりその5年の間に、滞りなく税を納める為の体制を整えろという国からの温情である。

「人が増えれば若い男も増える。まさに好循環っ!まさにWINWINの世界よ」

さらっと異世界の言葉を使った様に聞こえるのは気のせいだ。

最初にやるのは、これねっ!と書かれた内容の一つを指差す。

そこに書かれた内容は、現住人の満足度の向上。

つまり人口の流出の歯止めである。

ふっふっふっ。これから忙しくなるわっ!

大手を振って部屋を出る。

このアリッサ。掲げる自身の夢はろくでもないが、いわゆる世間でいう所の『神童』であった。


PS.今後この村がモデルケースとして帝都に選ばれ、向こう数十年で奇跡の大都市レニオンと呼ばれるのはまた別の話である。



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