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サバイバル生活2日目終了と女神とのおじゃべりです

クーと別れてからしばらく経つが、カイドウはそれらしいものを見つけることができていない。

岩壁を掘るぐらいだから先の尖った石が良いが、全く見当たらない。

見つける意思は全て丸いのである。

(何で丸ばっかなんだよ。一個ぐらい尖ってろよ。)

文句を心の中で留め、探し続けるが見つからない。

だんだんと探すことが億劫になり、次第に楽したいという気持ちから岩壁に穴が無いか探し始める。

しかし、見つかる穴は全て岩ガエルの巣穴であり、カイドウが住めるような穴は見つからない。

(ここには熊もいないのか?)

安全であることは喜ばしいが、楽できないという点においては残念である。

また、熊肉というのにも多少の興味があったので少し落ち込む。

そんなことを考えながら歩いていると、クーの場所からかなり離れた場所まで歩いてきてしまう。

(流石に引き返すか?)

そんなことを考えていると、ふと甘い香りが漂っているのに気づく。

(何だこの匂い?甘い?)

蜂のように甘い匂いにつられ歩いて行くと、辺り一面に花が咲き誇る開かれた場所が見えてくる。

その花はそよ風に揺れて笑っているように、気持ちよさそうに揺れている。

前世でも見なかった光景に先程まで落ち込んでいた心が嘘のようにない。

(・・・これは。)

綺麗な景色に心が躍る、これが感動というものなのだろうと思う。

クーのことを忘れ、花畑を歩こうとして何か物体が視界に入る。

その瞬間、カイドウは機敏に動き、身を隠す。

木々の間から人の形をしたものが歩いてくる。

武器が無いため逃げるしかないが、知識として覚えておこうと様子を見る。

すると、花畑に座っているのは頭に大輪の花を咲かせた女性だった。

ただ、人間ではない。

頭の上の大輪の花もそうだが、足は木のような形をしており、肌の色は緑色である。

大事な部分は葉っぱで隠れてはいるが、あそこまで肌を露出しているのに傷がないのは変である。

(・・・魔物か?)

これ以上の情報は見た目からは知りえそうにないと思い、その場から離れようと動く。

何となく最後にもう一度だけ見ようと振り返り、心が留まる。

花畑の中で静かに泣く女性は、とても神秘的で美しかった。

気がつくと、その場から離れるのを忘れ、ボーっと見つめていた。

傍から見れば無防備ではあることがわかるのに、目を離せなかった。

それほど、美しかった。


「アニキ~どこ~?」

クーの大きな声に女性は驚き、逃げ出す。

逃げ出したことで我に返り、クーの元に戻る。

自分が見入ってしまうとは、と思い、少し恥ずかしい気持ちになる。

「いたいた!アニキ!箱ができたよ!見て見て!」

「お、おお。」

「ん?どしたの?顔が赤いよ?」

「何でもねぇよ。それより見せてくれ。」

「うん!こっち!」

火の場所まで戻ると、木の箱が4つ置いてある。

クーの箱は4つもできているのに自分は何も見つけられていないことに少しだけショックを受ける。

手に取ってみると、クーが作った箱は虫かごのような形である。

「なるほど、上のところは蔓で縛って逃げないようにするんだな?」

「そう!へへ。上手いでしょ?」

「上出来だ。わりぃなこっちは何の成果もねぇよ。」

「気にしないでよアニキ!そういう時もあるって!」

「とりあえず今日は野営かな。」

(まぁどこまでいっても野営なわけですが。)

「だね~。でも早速いっぱい捕まえようよアニキ!」

「だな。この箱だと1つでどれだけ入るんだ?」

「う~ん4匹ぐらい?」

「とすると、捕まえて16匹か。よし!クー!どっちが多く捕まえるか競争な!」

「え?えーーーー!?」

「んじゃ始めるぞ。」

松明を手に持ち、穴に近づいて行く。

「ちょ、ちょっと待ってよ!?アニキ!?」

その後、岩ガエルはカイドウ12匹、クー8匹でカイドウが勝利した。

余った岩ガエルは夜ご飯に美味しく食べ、二人は眠りについた。

サバイバル生活2日目終了。


「・・・きて・・・きて!・・・起きて!」

ぼんやりとした視界に双球の果実が映る。

寝る前にこんなものあったかな?などと思い、ゆっくりと視線を動かすと、どこかで見たような景色である。

それは最近見たような気がして、既視感に襲われる。

「起きてってば!ねぇ!海藤!」

本名を呼ばれ慌てて起きると、そこには起きたことにホッとして笑顔を見せるクルミナの姿がある。

(な、なんで?)

「何でってそりゃあ・・・。」

(心を読まれただと!?)

「そのくだりはもういいよ。」

「それもそうか。んで、僕はどうなったんだ?死んだのか?」

「ううん、死んでないよ?ちょっとお話ししようと思って呼んだの。」

「話?というか僕はいつでもクルミナに会えるのか?」

「海藤からは無理かな~海藤の声は私には届かないもん。」

「てことは、クルミナの呼びかけにだけ反応できる一方通行かよ。」

「そうなるね~。」

呆れたように頭を掻き、話を戻すことにする。

「んで?何だよ話って。」

「いや~転生して2日目が終わったじゃん。どうよどうよ?」

「どうよって?」

「生きるって素晴らしくない?生き返ってみて良かったでしょ?ねぇねぇ?」

「いや、まだそこまで実感してねぇけど?」

「えーーーー!?もう2日だよ!2日!そろそろ生きるって素晴らしい・・・って思うでしょ!」

「思わねぇよ。どんだけ感受性豊かなんだよ。」

「何だガッカリ~前の子は2日で喜んでいたのに・・・。」

(へ?前の子?)

「僕より前にも転生した奴はいるのか?」

「そりゃあいっぱいいるよ~この世界の歴史は深いんだもん。その中には勇者だっていたんだからね!」

「す、すごいな。僕と同じ世界から来た奴にそんな奴が・・・。」

「いや、同じ世界じゃないわよ?」

「何でだよ!そこは同じ世界の話だろ!」

「そんなに怒んないでよ~世界は数多く存在するのよ?それに時代だって様々だし。貴方と同じ世界でも時代が違う人だっているのよ?同じ世界、それも同じ時代の転生者に会うなんて天文学的な数字だと思うわよ?」

「期待した僕が馬鹿だった・・・。」

「あ、でもさっき言った前の子は君と同じ世界で同じ時代だよ?」

「・・・マジか!?」

「うんうん~良い反応~お姉さん嬉しくなっちゃう~。」

体をくねくねして笑う。

「いいから早く話せ。めんどくさい。」

「ムキーーー!めんどくさいとか言うならもう話さないもん!ふんッ!」

そっぽを向かれてしまう。

そのままでは帰ることも話すこともできないので、謝ることにする。

「ごめん。調子に乗った。」

棒読みになったのはご愛嬌ということにしてもらう。

「ふふふ~許そう。何故なら私は心の広い女神なのだから!」

豊かな胸が揺れる。

体を持ったので、ちょっとだけ魅入ってしまう。

「・・・揉む?」

「いや、いい。」

「うふふ。いつでも揉んでいいからね?」

「・・・頭の片隅に置いておく。」

「さて、前の子の事よね?あの子も君と似て変わっていたな~。」

思い出すように上を向いて頬に指を置く。

(僕は変わっている子なのか。)

「変わってるわよ~10歳で自殺した。しかも理由なしなんだもん。普通の子は自殺にも理由があるわよ。・・・最も、どんな理由であれ死なないで生きてほしかったけどね。無責任だけど。」

寂しそうに天井を見上げる。

その姿が綺麗で、やっぱり女神なんだなって思ってしまう。」

「ふふふ。ありがと。」

「しまった心を読まれるんだった・・・。」

「もう~海藤はやっぱり私のこと好きなんだから~。」

「・・・帰ろう。」

「ちょ、ちょっと待って!?話す!話すから!えっとね、前の子はお姫様になりたくて死んだの。」

「お姫様?」

「うん。その子は前世では男の子だったんだけど、心は女の子だったの。だから自分の体が女性らしくないことに悩んでいたんだって。そのことが辛くて大学卒業式の日に亡くなったの。電車に飛び込んだんだって。そんでこの世界に来て、今は10歳のお姫様。夢が叶って万々歳ってことよ。」

「へ~運がいいな。職業お姫様なんてそうそうでないんじゃいか?」

「へ?裏技があるから関係ないけど?」

「ちょっと待てどういうことだこら。」

「えっと、前の子の職業は確か・・・そうそう!僧侶だったんだけど、産まれる場所はこっちでいじれるって言ったでしょ?」

記憶を思い出すと、しっかりと言っているし、何よりも自分も有効に使わせてもらっている。

「確かに言っていたな。」

「そうそう。だから裏技。産まれる場所を王族の、それも妃に決めればお姫様になれるでしょ?」

「なるほど、そういうこともできるのか。」

「けれど、適性は無いからお姫様としての振る舞いは努力してもらうしかないの。かなり苦労すると思うけどね。」

「そうかんがえると、職業お姫様とか王子様ってそんなに重要じゃないのか?」

「う~んどうだろ?あんまり考えたことないかも。王族のことを見ても何も面白くないし。その点、海藤は見ていて面白いよ。カエルを食べるなんてね~。」

「案外美味いんだぞ。」

「そんなことを聞いても私は嫌。私は優雅に今夜はしゃぶしゃぶにするわ。今から楽しむ~うひひ。」

(汚ねぇよだれだ。)

「五月蠅い!」

口元を急いで拭く。

「まぁそんなわけで前の子は今の世界を楽しんでいるわ。最も、前の記憶なんて覚えてないと思うけどね。私のことも覚えてないんじゃない?一応毎日のように拝んではくれてるけど。」

「まぁ赤ん坊からやり直したんだろうしな。それでも幸せそうならいいんじゃないか?」

「そうもいかないと思う。君にもそのことについて話そうと思って呼んだの。」

「はぁ?前の子を助けてくれとかだったら他を当たれよ?俺には関係ないからな。」

「冷たいな~。まぁ、そんなことではないんだけどね。」

「じゃあ何だよ?」

「君にもチラッと言ったと思うんだけど・・・。」

言い辛そうにもじもじしている。

「ハッキリ言えよ。」

「えっとね、君に話そうとしたのは、“魔王”についてよ。」

忘れようとしていた言葉を女神に口から言われ、少しだけ億劫な気持ちになった。



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