突然の出現です
「何事だ!ま、まさか!?ゴブリジェネラルか!!?」
「え?ゴブリ・・・い、いえ!そうではなく!!」
「では何事だ!」
「は、ハッ!訓練兵より報告。中庭において、突然女性4名が出現したそうです!」
「・・・は?」
珍回答を聞いたような変な感覚がバルギウスを襲い、理解が遅れる。
カイドウも同じである。
「な、何て言ったんだ?もう一度報告を。」
「ハッ!中庭において、突然女性4名が出現。現在医療棟にて保護中であります。」
目頭を抑え、確認するように兵士にもう一度聞いていく。
「突然女性が4名現れたのか?何処かから侵入したのではなく?」
「ハッ。訓練兵の話によれば、いつの間にか中庭に倒れていたそうです。その女性たちがどうしてそこにいるのか、どうやってそこに来れたのか。現状わからないということで、現れたと。」
「口を挟んで申し訳ないけど、その女性たちから話は聞けてないのか?」
「発見当時は意識がなく、現在も今のところは意識が戻っている様子はないそうです。」
(どういうことだ?突然現れた?瞬間移動したってこと?まぁこの世界には魔法があるんだからそれも可能か。)
だがバルギウスの反応から瞬間移動は無いのかもしれないと、カイドウは思い直す。
「とにかく、その女性のもとへ行こう。所持品で何か分かるかもしれない。」
バルギウスは立ち上がり、部屋を出て行く。
その後をカイドウもついて行った。
医療棟に近づくにつれ、ガラスが割れる音や何かが倒れる音が聞こえてくる。
その音から想像できるのは、誰かが暴れているということだ。
安全のため、バルギウスの前を兵士2名が歩き始める。
入口の前までくると、突然ドアが勢いよく開く。
「はー、はー・・・ふ~。」
白衣を着た初老の男性が飛び出してきて、息を整えている。
「マズマ、何があった?」
マズマと呼ばれた白衣の男性はバルギウスに気づき、軽く身支度を整えてから頭を下げる。
「これはこれはバルギウス様。お恥ずかしい所をお見せしました。」
「それは構わない。音で何となく察しは付いている。目覚めたのか?」
「はい。一人目を覚ましましたが、こちらの話を聞いてもらえず、臨戦態勢でして。」
「ふむ。話をするのは困難なのか?すぐにでも色々と聞きたいのだが・・・。」
「話自体は問題無いとは思いますが、聞き入れるかどうかは。おそらく混乱状態にあると思われますので。」
「それでも構わない。様子を探って何かしらの情報を得るのが目的だからな。」
「畏まりました。では、こちらへ。兵士の方はご遠慮ください。混乱中の女性には恐怖かもしれませんから。」
「しかし・・・。」
「構わない。カイドウ、共に来てもらえるか?」
「ああ。」
バルギウスに言われるがままにカイドウは医療棟の中へと入って行った。
「フーッ!フーッ!」
医療棟の中の奥、入り口前の角でマズマは止まる。
「お聞きの通り、彼女は興奮状態にあります。ここよりも近づこうものなら物を投げてきますが、いかがなさいますか?」
チラッと様子を窺おうとバルギウスが顔を出した瞬間、花瓶が飛んでくる。
「来るなッッ!!」
バルギウスは深呼吸をし、なるべく刺激を与えないように優しい声で語り掛ける。
「すまない。俺はこの村を預かる者だ。君たちが突然現れたと聞いて、話を聞こうと訪ねてきたんだ。」
「黙れッ!それ以上近づけば殺す!!」
「わかった。近づきはしない。その代わり、話を聞かせてくれないか?」
「お前らと話すことなんて無い!」
またしても花瓶を投げつけ、敵意むき出しで話をする気はないことを訴える。
「それは困る。君たちが何者かわからない現状、正体不明の君たちをこの村に置いておくことは出来ない。すぐにでも出てってもらうことになる。」
「何だと!!」
今度は椅子が飛んでくる。
「落ち着け。村を預かる者として当然の対応だ。だが、君たちが何者なのか分かればこちらも邪険に扱うことはしない。むしろ歓迎しよう。」
「・・・本当か?」
バルギウスの説得が通じたのか、相手がこちらの話しに耳を傾け始める。
それを逃さないようにバルギウスは語り続ける。
「無論、君たちが望むのであるならば協力も惜しまない。ある程度の援助もさせてもらう。どうだろうか。こちらとそちらの為にも話に応じてくれないか?」
「・・・。」
「俺がダメならば女性か子供に話を聞いてもらうという形でもいいが?」
少し経って女性はバルギウスの条件を飲むように返事をする。
それを聞いたバルギウスはカイドウの両肩に手を置く。
「へ?」
「カイドウ、君に頼んだ。」
「はぁぁ!!?」
突然のことに取り繕う暇もなく、素が出てしまう。
「我々には時間が無い。ゴブリジェネラルの件だ。これは一刻を争う。故に君だ。君はまだ子供でも通じるはずだ。」
「いや嬉しくねぇよ!!」
「俺らの仲だろ?頼むぞ。」
「お前と僕の間に仲なんて無い!が、僕も気になるのも事実だからやってみよう。」
息を整え、カイドウは女性の前に姿を見せた。




