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消えたディアナ。です

「おい!ジジイ!!」

赤幕を乱暴に払いのけてカーニバルとお供の兵士2名がゼアンのいる陣営に姿を見せる。

「ディアナがいなくなったってぇのは本当か!?」

「カーニバル殿。ここでそのような態度は・・・。」

「うるせぇ!ひょろいの!テメェは黙ってろ!!俺はジジイと話してんだ!」

「ですから!」

額に血管が浮かんでいるサイモンの言葉を手で遮り、顎でゼアンは隣に立っている青年を示す。

「あアァ!?テメェは確か!?」

「昨日ぶりです。カーニバル様。自分は“アーセガル”というチームを率いている冒険者のセインと言います。」

「んなことは聞いてねぇ!何でテメェがここにいんだよ!」

「セイン殿は自ら朝の警邏を担当してくださったのです。そしてこちらの鎧を発見したのです。」

「これはディアナの部下共の!?テメェ!!ディアナに何しやがったァ!!」

「カーニバル。」

掴みかかろうとするカーニバルを重圧の乗った声で止める。

「セイン、と言ったな。悪いがカーニバルに聞かせるためにも、もう一度話してもらうぞ。」

ゼアンの姿に、カーニバルも黙って地図の前に立つ。

「では先程よりも詳しくご説明します。」

地図の、紅獅子の陣営があるとこに指を置く。

「自分たちは二班に分けて朝と夜の警邏を進んで行いました。夜の警邏を担当していた者と交代した時、彼らは同刻にディアナ様たちも警邏していたことを報告してくれました。ですが、自分らはこの拠点の入り口で見張りもしていましたが、ディアナ様の姿は見えていません。そこで、自分の仲間に確認させたところディアナ様は戻っていないということが分かりました。」

肯定するようにセインの後ろに立っていたローブに身を包んだ女が一生懸命に頷く。

「そこで自分らは当初予定していた範囲よりも広く警邏をしました。すると、この辺りです。」

陣営からそれなりに離れた場所の森を指さす。

「ここに、地図には乗っていない岩壁がありました。」

「岩壁だァ?こんな所にか?」

「はい。ここは上から見たらわかりませんが、ちょうどここを境目に段差のように岩壁がありました。そして岩壁伝いに歩いて行くと、ここです。ここで鎧二つを発見しました。」

カーニバルは発見された鎧を見て、とあることに気がつく。

「気づいたかカーニバル。」

「・・・綺麗すぎるな。これは。」

「カーニバル殿の指摘通りです。この鎧は綺麗なのです。血の跡も無ければ無理矢理脱がされたような傷もない。まるで自ら鎧を脱いで置いたような感じです。」

「どういうことだジジイ。」

「わからん。これだけで判断は出来ん。」

「ええ。現状わかっているのはディアナ殿の部下2名の消息はあの岩壁で絶たれた。警邏を担当した者の話をすり合わせると、ディアナ殿を含む4名は消息すら不明。奇妙な出来事です。」

「おい!セインとか言ったな?これ以外の手掛かりは?ねぇのか!」

置いてあった筆を執り、セインは陣営を中心とした丸を描く。

「自分たちはこの辺りまで探しました。ですが、この鎧以外には何も見つかっておりません。」

「チッ!おい!」

「ハッ!」

カーニバルの連れてきた兵士の一人が前に出る。

「テメェを指揮官とした小規模の編成隊を作れ。なるべく冒険者多めにな。」

「ハッ!」

「自分も参加します!」

赤幕から出て行く兵士の跡をセインたちは駆け足で追った。

「どうなってんだジジイ。この森で何が起きてやがる?」

「さぁな。俺にもわからん。が、ディアナはまだ生きているだろう。」

「理由は?」

「鎧だ。仮にこの二つの鎧が何者かによる攻撃であるならば、鎧は六つあるはずだ。が、ここにあるのも含めて発見されているのは二つだ。生きている可能性を考えるのが普通だわな。」

「そうかよ。」

重い沈黙の後、ゼアンはボソッと言う。

「何故、ここにあったのだろうな。」


「姫様!これはおかしいです!」

「ええ。そのようですね。」

ディアナたちはしばらく歩いた。

松明は次々に減り、もはや残すところ三つである。

それなのにも関わらず、出口は愚か外の明かりすら見えない。

「もうそろそろ外に出てもいいはず・・・何かの魔法攻撃でしょうか?」

「わかりません。が、ここで立ち止まったとしても状況は変わらないでしょう。」

ディアナは注意深く辺りを見回すが、やはり隠し扉のようなものは見当たらない。

「・・・?」

何かに気づいた兵士が少し先を歩き出す。

そしてあることに気づく。

「ッ!!姫様!」

「今度は何ですか!」

「み、耳を澄ましてください!」

言われた通りに耳を澄ますと、微かに聞こえる。

「・・・水の、音?ッ!!?まさか!?」

兵士たちを置いていく勢いで駆けると、それは姿を見せる。

「そんな馬鹿な!?」

追い付いた兵士も言葉を失う。

ディアナたちの目の前に広がるのはあの、水のたまり場である。

恐る恐る近づいた兵士が匂いを嗅いで、震える声で言う。

「・・・同じ、お酒です。」

この時になってようやく確定する。

「これは、魔法攻撃ッ!」

ディアナたちは洞窟に閉じ込められてしまった。



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