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ディアナの探査です

「ここがその洞窟ですか。」

「はい姫様。」

木々に囲まれた先の岩壁に、ぽっかりと穴が開いている。

一見するだけでは洞窟というよりは熊などの寝床用の穴にしか見えない。

「どうしてここが洞窟だと判断したのですか?」

「申し訳ございません姫様。ここより少し先の方まで洞窟の中を探査しました。その結果、かなり奥まで続いている感じでしたので。」

「そうですか。ではその先を確認してみましょう。私と共に3名ついてきなさい。他の皆さんはここで周辺警護を。」

その場にいた5名は同意するように頷き、すぐさま組み分けする。

ディアナが思うよりも早く、準備が整う。

「では参りましょう。」

2名の兵士を洞窟前に置き、ディアナは中に入って行った。


「ここまでが我々が来た場所です。」

「ここまで一本道。まるでトンネルのようにも感じられますね。」

「はい。」

「そして奥が見える気配もない。これは何のために作られたのか。それとも偶然?結論はまだ出すべきではないですね。奥へ進みましょう。」

「はい姫様。」

ディアナたちはどんどんと奥へ進む。

だが思った以上に洞窟は奥深く、余分に用意した松明も使いだしてしまう。

「まだ見えませんね。」

「姫様。申し訳ございませんが、もう松明の予備が・・・。」

「これ以上の探査はもう少し準備をしてからの方がよいのではないでしょうか姫様。」

「そうですね・・・これ以上の深追いは・・・ん?」

「姫様。」

ディアナの耳に微かな水の音が聞こえる。

ディアナは兵士に静かにするように合図し、もう少しだけ奥に進む。

兵士たちは同意を示し、武器を構えてディアナの後に続く。

少し歩くと、大きな広間が姿を見せる。

その広間のほとんどが水で埋まり、歩く場所はほとんどない。

ディアナは兵士に指示を出す。

頷いた兵士は水に近づき、指に付けて匂いを嗅ぎ、ぺろりと舐める。

「・・・お酒、ですね。」

「お酒?この全ての水がですか?」

もう一人の兵士も近づき、匂いを嗅ぐ。

「間違いありませんね。この匂いはお酒の匂いです。」

「ここに溜まっているお水全てがお酒?奇妙ですね。」

「はい。この水の奥にも何かあるのでしょうか?」

「わかりませんが、これ以上は危険と判断します。一時戻り、冒険者に探査させましょう。」

「はい姫様。」

「丁度いいでしょう。このお酒を利用して松明を補充しましょう。」

兵士たちに命じ、簡易的な松明を作ると歩いてきた道を戻りだす。

そして、ディアナたちはとある奇妙なことに気づく。

「・・・おかしいですね。」

「どうしたのですか?」

「姫様。ここをご覧ください。」

兵士が示した場所は濡れている。

ディアナの記憶上、ここまでは一本道で濡れたような場所は通っていない。

何かに気づいた兵士はその濡れた場所の匂いを嗅ぐ。

「姫様!これもお酒です!」

「それは本当ですか!」

他の兵士も同様に匂いを嗅ぎ、同意する。

「正確には言えませんが、先程と同じお酒の匂いだと思います。」

「ですがそれはおかしいではありませんか!私たちはここまで一本道を歩いてきました。ですが濡れた場所など通っていません。何者かとすれ違ってもいません。それなのに・・・。」

ディアナは間違いであって欲しいと願いを込めて濡れた場所に火を近づける。

すると、濡れた場所に火がつく。

「・・・どうやら間違いようがないようですね。」

「どういうことでしょうか姫様。」

「憶測でしか言えませんが、いくつかの可能性があります。一つは私たちの見落とし。一つは何処かに隠し通路が存在する。もう一つは私たち以外の何者かがこの洞窟に存在しているです。」

「姫様。見落としの可能性は低いのではないでしょうか。4人もの人間がそれほど広くない一本道の洞窟で、それもこんな道のど真ん中の濡れた場所。誰の足も濡れていないのもおかしいのではないでしょうか。」

「貴方の言う通りですね。私たちの足は濡れていない。そうでなくても踏めば気がつくでしょう。だとすると、隠し扉もしくは何者かが。と、いうことになりますね。」

「洞窟に隠し扉などあり得るのでしょうか?ダンジョンならともかく、このような岩壁では・・・。」

「可能性が無いとは言いません。ですが、決めつけるのも良くないでしょう。」

ディアナたちは少しの間考えたが、答えが出ないことに時間を割かず、洞窟を出ることにした。

が、そこでまたしても奇妙なことに遭遇する。

「これは・・・。」

道が曲がっていたのである。

それも90度にである。

入った時は真っすぐにしか歩いていないのにである。

「ひ、姫様。」

兵士の声に怯えが混じりだす。

ディアナに脳裏にも“恐怖”の二文字が見え隠れ始めるが、深呼吸をし、進むことを決める。

この先に何があるのかはともかく、父であるゼアンに報告をしなければという思いを胸に。


「・・・それは本当か?」

目覚めて肉を喰いちぎっていたゼアンに届いた報告は、ディアナの消息不明だった。



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