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武器に対する考え方です

太陽が真上に差し掛かる頃には、カイドウはある程度戦えるようになっていた。

「どうかな?」

息切れしながらも、笑顔を絶やさないカイドウにオルゲンはゆっくりと頷く。

「うむ。良くなっておりますぞ。」

「ほんと!?」

「これなら最後の訓練に進めますな。」

「最後?」

(まだ何かあるのかな?)

「ついてきてくださいカイドウ殿。」

内容を言われないままにカイドウはオルゲンについて行く。

ついて行った先は、砦であった。

「待ってたぜ!カイドウ!」

(お!君はあの時の・・・うん、君はトサカ君と呼ぼう。)

「こんにちわ。」

「お待ちしておりましたぞカイドウ殿。」

(お!髭ダンディ!)

砦からはぞろぞろと兵士たちが姿を見せる。

「あの、これは・・・。」

「カイドウ殿の訓練に快く引き受けてくれる者たちですぞ。」

「訓練?それって最後の・・・。」

「うむ。やはり短期間で強くなるためには実戦しかありませんな。」

「・・・へ?」

「そういう訳よ。俺たちが相手になってやっからかかって来いよ。」

「貴様!またしてもカイドウ殿に向かって!!」

「るっせぇ!いいから始めようぜ!!」

カイドウの心の準備もないままに実戦形式の試合が始まった。


「はぁはぁ。」

太陽が傾くころ、再びオルゲンは砦に戻ってくる。

「どうだ?カイドウ殿の調子は。」

「かなりのものですな。ランダムスキルの種が開花していないというのが嘘みたいです。」

「そうか。」

「・・・ですが、まだムーアには・・・。」

「・・・勝てぬ、か。」

「ええ。今日の成績を見ればなおのことです。新兵から卒業したばかりの奴らに比べれば十分に強いですが、我々のような生き残って今も兵士をやっている者と比べると・・・弱い、です。」

「だろうな。カイドウ殿はこれまで戦い方というものを知らなかったのだ。むしろ、ここまで短期間で戦えるようになったことを褒めるべきだ。」

「そうですな。」

「けどよ、それじゃダメなんだろ?」

オルゲンと髭ダンディがカイドウの戦っている様子を見ていると、後ろからトサカがやってくる。

「カイドウはあのムーアに勝たなきゃなんねぇんだろ?今のままじゃ到底無理だぜ?どうすんだよオルゲンさんよ?」

「貴様!オルゲン様にそのような態度を!!」

「よい。ここから離れた身、立場はお前たちと何ら変わらん。」

「へへっ。だとよ。」

「ぐぬぬ。」

「時に聴くが、カイドウ殿のランダムスキルの種が何故芽吹かないのかわかるか?」

「それは・・・単にランダムスキルの種が不良品か、もしくは遅いだけでは?」

「ちげぇな。」

「何だと?」

「なんっつうかよ、拘りみてぇなのがねぇんだよな。」

「ほぉ。」

「俺はよ、剣を選んだ時、“絶対にこいつだ”っていう、なんかがあったんだよ。けど、カイドウにはそれがねぇっつうか、武器なら何でもいいような。よくわかんねぇんだけどよ。」

「ふんっ!貴様にカイドウ殿の何が分かる。」

「あ゛ぁ?」

「あながち間違いではない。」

喧嘩になりそうな二人の間にオルゲンは立つ。

「カイドウ殿には武器に対する向き合いがないのだ。」

「向き合い、ですか?そのようには見えませんが・・・。」

「おそらく稀に見る才能なのかもしれんな。カイドウ殿はどの武器もある程度扱えてしまうのかもしれん。だがそれ故にその武器に対し、問いかけんのだ。」

オルゲンは悲しそうな目で必死に訓練に励むカイドウを見つめる。

「だが、それをワシらが教えることはできてもカイドウ殿には伝わらん。こればかりは自分で出来ねばな。」

「私には難しい話で、オルゲン様の言っていることが・・・。」

髭ダンディは困ったように髭をなでる。

「俺にはわかるわ。おっさんもよぉ、剣を手入れするだろ?」

「む!当たり前だ。兵士として当然の・・・。」

「たぶんそれをカイドウは当たり前だと思わねぇんだよ。」

トサカが何を言いたいのかが、髭ダンディにも伝わり、頷く。

「認めたくはないが、貴様の言う、何かは分かったような気がするぞ。」

「へへっ。」

「それがランダムスキルの種が芽吹かない理由だと、ワシは思う。」

太陽が沈んだのを合図に訓練は終わった。


「それで?調子はどうのなのよ?カイドウ。」

夕食後、疲れた体を癒すように寝転がっていると、リリアナが勝手に部屋に入ってきて話しかけてくる。

「どうって・・・まぁ、まずまずかな。」

「そんなので大丈夫なの?明日戦う相手って相当の手練れなんでしょ?」

事情を知っているリリアナにカイドウは驚いて上体を起こす。

「な、なんで!?」

「何で知っているかって?そこにいるルルゥーに聞いたのよ。」

勢いよくルルゥーを見ると、照れたような笑みを浮かべる。

(何故この子が知っているんだよ!?)

「ルルゥーは優秀な子よねぇ。あんたの情報は手に取るように入ってくるわ。」

「キヒヒ。お褒めに預かり光栄ですリリアナ様。」

黒い髪で目元が見えないが、見張られていることはカイドウにも理解できる。

(・・・僕の安息の場所はどこですか?)

屋敷に自分の居場所を感じないカイドウだった。



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