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ゴブリンたちの襲撃です

今回から少しだけ書き方を変えます。

読みにくかったら申し訳ありません。

「バルギウスさまーーー!!!」

「ど、どうしたんだ!?」

転がるように入ってきた兵士にバルギウスは目を丸くする。

「た、大変です!」

「だから何がだ大変なんだ?」

年配の男が少しだけ無理矢理兵士を立たせる。

「大変なんですよ!!」

「だ・か・ら!要点を言え!馬鹿者!」

「ま、魔物です!それも大量のゴブリンたちです!」

「何だと!?」

「馬鹿者が!それを早く言え!!」

兵士たちは即座に動き、年配の男はバルギウスの護衛をしながら正門に向かった。


「な、なんだこれは?」

眼下に広がるはおよそ50体のゴブリン、それに10体のゴブリライダーである。

その中の顔に傷のあるゴブリライダーが1体前に出る。

「グギャギャギャ。オレタチノホシイモノヲヨコセニンゲン。」

聞き取りづらい人間の言葉でゴブリライダーが何かを要求してくる。

「ふざけるな!」

「お前らにやるもんなんてねぇーよ!」

「帰れクソッたれ!」

「・・・周りにいる兵士たちの言う通りだ。俺たちは貴様らの要求には一切乗らない。」

毅然としたバルギウス態度を見て、ゴブリライダーは下品な笑みを浮かべる。

「オレタチニサカラウノカ?」

「貴様らが上からものを言うな!」

「ケギャギャ!」

「キギャギャギャ!」

「ケーケッケ!」

バルギウスの態度に堪えられなかったゴブリンたちが大声で笑いだす。

「何が可笑しい!」

「オトナシクオレタチノイウコトニシタガエ。ト、イウコトダニンゲン。」

「ふざけるな!貴様らの言いなりにはならない!」

「コノカズヲミテモマダオナジコトヲイエルカ?ニンゲン。」

ゴブリライダーが首を軽く動かすと、森の中からさらにゴブリンが姿を見せる。

その数はどんどん増え、目の前の草原(くさっぱら)を埋め尽くす。

「モウイチドイオウニンゲン。オレタチノホシイモノヲヨコセ。」

「ば、バルギウス様。」

目の前の光景に委縮した兵士が助けを求めるようにバルギウスを見る。

「お、俺たち!いや俺は!貴様らに従う気はない!」

数が増えても怯まないバルギウスの姿勢に兵士たちの心に火がつく。

「そ、そうだ!」

「てめぇらの好き勝手にできると思うなよ!」

「これでも喰らってろ!!」

兵士の一人が矢を放つが、ゴブリライダーは何のこともなく手に取る。

「ひっ!?」

「コノテイドノチカラデサカラウノカ?ニンゲン。ヤハリオロカデナエドコノカチシカナイソンザイダナ。」

「黙れ!」

「ドウヤラミセシメヲスルヒツヨウガアルヨウダナ。ザンネンダヨニンゲン。」

ゴブリライダーがもう一度首を軽く動かすと、奥から1体のゴブリンが全裸の中年女性を首輪から伸びる鎖を引っ張って連れてくる。

「コノオンナハオオクノコドモヲウムギムヲマットウシタ。ヨッテカイホウシテヤロウ。」

いやらしい笑みを浮かべたゴブリライダーは抵抗することを忘れた中年女性の首を軽く刎(は)ねる。

「ッ!?!!?」

何事も無いように首は落ち、体は崩れ落ちる。

「あ、ああ・・・。」

落ちた首は軽く転がり、空虚な目が兵士たちに向けられる。

「おうぷっ!?」

「おええぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?!!?」

「ひーーーーっ!?」

兵士たちからは悲鳴が上がり、嘔吐した物から不快な臭いが流れてくる。

「キサマーーーーッ!!!」

激高したバルギウスを年配の男が全力で止める。

「抑えろ大将!」

「離せ!!」

「グギャギャギャ!」

愉快そうに笑うゴブリンたちに目で殺すほどの視線をぶつけるバルギウス。

「ワカッタカニンゲン。キサマラノアルベキタチバヲ。」

「ほざけ外道がッ!!解放すると言ったじゃないか!!」

「ソウダ。ダカラコノオンナヲカイホウシタ。」

「殺しただけだろうが!!」

「チガウゾニンゲン。コノオンナハオレニダカレルタビニ“シ”ヲネガッタノダ。ダカラアタエテヤルコトデカイホウシテヤッタンダヨ。コノイキジゴクカラナ。グギャギャギャ。」

「黙れ黙れ黙れ黙れーー!!」

「サァ、モウイチドキイテヤロウニンゲン。オレタチノホシイモノヲココロヨクヨコセ。デナイト・・・。」

ゴブリライダーは含んだ笑いをバルギウスに向けた。


「何か変だねぇ。」

険しい表情でおばちゃんは正門の方向を見つめる。

「何かあったのか?」

「わからないけどねぇ。何だか兵士たちが慌ただしいような感じだよ。」

言われてカイドウも正門の方を見るが、あまりわからない。

「気のせいでは?」

「それはないねぇ。いつもあそこの飲み屋で潰れている兵士すらいないんだから。何かしらあったんだよ、きっとねぇ。」

「ふ~ん。」

カイドウの脳裏にバルギウスの顔が浮かぶが、首を振って消す。

「それよりもリリアナは見つかりそうか?」

「ん~ここら辺にはいないのかねぇ。どの顔も見覚えのあるやつばかりだよ。」

「そうか。」

「た、大変だ!?」

慌てて走ってきた男が店の前で盛大に転ぶ。

「なんだなんだ?」

「おいおい。」

「大丈夫か?」

果物屋の周りにいた男に手を差し伸べられて男は立ち上がる。

「ご、ゴブリンどもだ!ゴブリンどもがいっぱい攻めてきた!!」

「はぁ!?」

「マジかよ!?」

「おいおいおいおい!?」

動揺する男たちを黙らすようにおばちゃんは手をパンっと叩く。

「落ち着きな!いい年こいた男がみっともない!」

言われて男たちは静かになる。

「あんた!」

「は、はい!?」

「その目でゴブリンどもを確認したのかい?」

「い、いや。けど!兵士たちはみんな言ってたし。」

「なるほどねぇ。道理であそこの酔っ払いもいないわけだねぇ・・・あんたたち!今日は店終いだ!あんたたちはココ村のみんなにゴブリンが攻めてきたことを知らせるんだよ!いいね!」

「お、おう!」

「はい!?」

次々と返事をして走って行く男たち。

それを頷いてみて、カイドウにおばちゃんは向き直る。

「すまないねぇお兄ちゃん。とんだ事態だよ。」

そう言ったおばちゃんは奥から子袋を持ってきて手渡す。

「これは?」

「今日の働き分の駄賃だよ。あんたたちはココ村の東にある教会に行きな。」

「教会にお嬢様がいるのですか?」

「違うよ。あんたたちはココ村の人間じゃない。だから巻き込むわけにはいかないからねぇ。教会ならあんたたちの安全を保障してくれるはずだよ。」

「い、いいのかよ!?あたしらが手伝わなくても!?」

「あっはっはっは!おばちゃんたちを心配してくれるカミラちゃんの気持ちは嬉しいよ。けどねぇ、これはココ村の問題だよ。あんたたちに迷惑をかけることは出来ないんだよ。」

「だ、だけど!」

「それにねぇカミラちゃん。」

優しく力強いおばちゃんの手がカミラの肩に置かれる。

「あんたたちはリリアナちゃんを探すんでしょ?」

「そ、それは!」

「行くぞカミラ。」

「カイドウ!?」

既に準備を済ませたカイドウとララは歩き出す。

「ッ!クソッ!」

エプロンを投げ捨てて、カミラはカイドウたちを追いかける。

そのエプロンをおばちゃんは大事そうに拾う。

「ふふっ。生きなよ、あんたたち。」

優しい表情から厳しい表情に変わったおばちゃんは店の奥へ走って行った。


「緊急事態なんダゼ、お嬢ちゃん。」

聞き込みをしていたパンプンが走って戻ってくる。

「見つかったのかしら?」

聞き込みを終えて待っていたリリアナはパンプンの様子を気にも留めずに聞く。

「いいや、見つかってはいないんダゼ。」

「なら何が緊急事態なのよ?」

「ゴブリンダゼ。」

「・・・は?」

リリアナは何を言ったのか理解できずに間抜けな返事をする。

「大量のゴブリンがココ村に攻めてきやがったんダゼ。しかも厄介なゴブリライダーも大量ダゼ。」

「っ!?ど、どういうことよ!?」

ゴブリンの恐怖を思い出し、リリアナの手が震える。

「どうもこうも無いんダゼ。正門前に大量のゴブリンと大量のゴブリライダーがいるんダゼ。これは一大事なんダゼ。聞き込みは止めて逃げるんダゼ。」

「逃げるですって!?冗談じゃないわよパンプン!」

「冗談を言うほどおれさまの心に余裕は無いんダゼ。」

パンプンの真剣な目に一瞬だけ怯むが、すぐさま反論する。

「私は逃げないわよ!戦うわ!」

「どうやってダゼ?悪いがお嬢ちゃんは強そうには見えないんダゼ。」

「な、何とかするわよ!」

「お嬢ちゃん、良く聞くんダゼ。この腐った世界では気持ちだけで解決できることはほとんどないんダゼ。諦めておれさまと逃げるんダゼ。」

「嫌よ!ここにはカイドウたちがいるかもしれないし、それに!アモンが!友達がいるのよここには!」

「じゃあそのアモンも連れておれさまと逃げるんダゼ。カイドウたちがいるかどうかわからない現状、ここに残る選択肢はないんダゼ。生憎おれさまはここで死ぬ気はないんダゼ。」

「少しは戦いなさいよパンプン!」

「それは無理難題なんダゼ。多少は腕に自信があるが、どう足掻いてもゴブリンを1,2体倒せる程度なんダゼ。それもゴブリライダーがいない前提のダゼ。お嬢ちゃんは知っているか知らないが、ゴブリライダーは強いんダゼ。心を通わせた動物によってはトロールすら凌駕(りょうが)するんダゼ。そんな相手におれさまが勝てるわけがないんダゼ。」

「じゃあ貴方は何もしないで逃げるだけなの!?道具屋の主人を見捨てるの!?ココ村で出会った人たちは!?みんなみんな見捨てるの!?パンプン!」

「・・・全てを手にれられる強欲の持ち主はこの世界でただ一人、魔王だけなんダゼ、お嬢ちゃん。」

「パンプン!」

「戦うなら好きにするといいんダゼ。忠告はしたんだからなんダゼ。おれさまは逃げるんダゼ。」

そう言い残したパンプンは速足でその場から立ち去る。

「あーもう!!」

納得ができないままにリリアナはパンプンの背中を追った。



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