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王都へ…ですか?勇者さま。②

ただいま~♪、、と言って1週間・・・

次話投稿です。

フェンとリクの道程は、、、多難?

では、『王都へ…ですか?勇者さま。②』です。

お楽しみ下さい。

ではでは。  ふえん




「止めろ!!」


「何故です?」


リクは止められる理由が思い浮かばない。


「危険な存在を野放しにする事は国を、、民を守る者として出来ません!」


言葉だけ聞けばリクは何もおかしい事は言っていないのは明らかだ。


だが『現実』を見て、それが正しいとはフェンには思えなかった。





フェンとリクは馬で王都へ向かっている。


リクの興味のままに続けられる質問と共に。


途中の町では案の定、フェンが見咎められるが国の兵士であるリクが説明し、事なきを得ている。


実は内心、疑われて『ここから先は、我々が護送する。』とか言って役目を変わってくれないかな?、、と思うリクだが、何処の衛兵も考える事は同じらしく、誰一人、『代わろう』と言う人間は居なかった。


・・・と言うか、『それどころではない』と、言わんばかりに兵士達が慌ただしい。


リクが理由を聞くと、どうやら獣人が主人に怪我を負わせて逃げたのだそうだ。


詳しい内容を聞いた訳ではないが、フェンは嫌な気分になる。


仮に、大切にされ、幸せに暮らしていた獣人が主人に怪我を負わせて逃げ出すだろうか?


・・・そんな事はしない。


仮に、どうしても行きたい所や用事が有って外出したいなら、主人に頼めば良いだけだし、主人も大切にしている獣人の願いならば、快く認めるだろう。


と、言うことは・・・


そうではなかった、と言う事なのだ。


ミオン達、姉弟の事が頭に浮かぶ。


無理矢理に連れて来られ、酷い目に遇わされていたのでは?


そういう獣人を見て来たフェンはどうしても思ってしまう。


追い詰められ、自分の命を守る為に、やむを得ず反抗し、逃げ出したのでは?


でも、、この騒ぎは少し大袈裟にも思えた。


獣人一人が逃げ出したのを捕らえるのに衛兵が、それもこれだけの人数を動員するなんて…


更にリクが理由を聞き出してくると理由が判る。


怪我を負わされた貴族が有力者だったせいもあるが、、


逃げた獣人が強い毒を持った獣人だと言うのだ。


それだけで町はパニックに陥ったのだ。


そんな獣人が貴族の家に居る事すら知らなかった町の人々の驚きは大きかった。


主人である貴族に怪我を負わせて逃げる様な獣人だ。


しかも、どんな獣人なのか情報が乏しく、見た目も不明な事も追い討ちをかけた。


誰もが町を歩いているだけで不安になる…今、私とすれ違った獣人がもしそうだったら?


普段、獣人と接する機会のない住民にはどの獣人もが怪しく見える。


家で獣人を使役している者でさえも、自分の家の獣人以外は信用出来なくなっていた。


『早く捕まってくれないかね。』


『怖くて外を歩けない。』


住民達の不安は方向を変えて、獣人を逃がした貴族に対する不満に変わる。


『なぜ逃がしたりしたんだ!』


『あの貴族は昔から・・・』


と、怒りとなって貴族の身に降り掛かる。


貴族は思う、、怒りの矛先が自分に向かう前に、早急にこの事態を収束させる為には…


有力者である貴族は町の兵士達を総動員し、町の中をしらみ潰しに探索させた。


それが、この町の騒々しさなのだ。


いつものフェンならば、事情を確めて、獣人さんに非が無いなら助けたいと思う所だろう。


だが今は王都へ向かう途中なのだ。


王国が獣王さんの町への攻撃を決定する前に王国に到着し、国王様と話し合わなければ…


ここに留まり、どこに居るかも分からない獣人さんを探す手伝いをしている時間は無い。


「リクさん、出立しましょう。」


フェンの言葉が意外で驚くリク。


フェンの性格からして『真実を確める!』と当然の様に言い出すと思っていた。


そして酷い目に遇っていたのなら『助ける』と言い出すのだろうと。


それが、、、意外過ぎる。


「フェンさん、追われている獣人を見棄てて行くのですか?」


リクにとっては、要らない事に首を突っ込まないで王都へ向かえて、かえって有難い筈なのだが・・・つい、疑問が口を衝く。


「リクさん、僕も追われている身なんですよ?、それに…」


「他種族の権利、、地位が保証されなければ今後も同じ事が繰り返されてしまうでしょう。」


仮に、逃げ出した獣人さんが虐待され、やむなく抵抗して逃げたのだとしたなら、フェンの交渉により他種族の権利が保証されたなら、それが結果的には助ける事になるのだ。


・・・なら、、、




フェン達は町を出発する。


ここから先は山を越える道になる。


少し進むと天気も怪しくなって来る。


時間的にも薄暗くなり、気温も低くなって来たせいか、雨ではなく霙が降って来た。


旅用の装備を着けているのでずぶ濡れになる事はないが、体感温度だけは仕方ない。


馬で走っているのだから尚更寒く感じる。


「リクさん、道も良くないですし速度を落として安全に進みましょう。」


「ええ。」リクも同意する。


どんどん暗さも増して来たのでランタンに火を灯す。


視界を確保する為に点けたのだが、火の明かりを見ると何だか少し温かい気もする。



暫く進むと前方の道の端、、路肩に何か赤い物がキラリと光るのが目に入る。


・・・何かな?と思い更に近寄って行くと、、っ!!


こんな山道の途中だし、またシズのお友達かな?と思っていたのだが、、、


誰か倒れている!?・・・大変だ!!


フェンは急いで馬を降りて駆け寄ろうとする。


見れば、服から出ている手足は傷だらけだった。


一体何が、、襲われたのか?、、何て酷い事を!!


駆け寄ろうとするフェン。


、、が、、


急にリクがフェンの行く手を阻む様に立ち塞がった。


何を?、、と、思っていると、リクが真剣な緊張した声を上げる。


「待って下さい、フェンさん。危険です!」


リクの警告にフェンも警戒し、気配を探る・・・


倒れている誰かを襲った者が潜んで居るのか?


・・・??


だが、フェンが幾ら気配を読んでも、倒れている人以外の気は感じられない。


「リクさん、他には誰の気配も・・・」


だが、リクの顔から緊張の色は消えない。


・・・実はリクさんには、気配を読む特殊能力でも有るとか?


と、思っている内に、リクは剣をスラリと抜き放つ。


・・・!!


驚きフェンも思わず柄に手を掛けるが、、戦う相手が何処に居るのかすら分からない。


「リクさん、敵は何処に?」


フェンが聞くとリクは答える。


「蛇人族の赤目、それも女です。寒さで動けなくなっている今がチャンスです。、、殺します。」


・・・は?


フェンは耳を疑う。


何を?・・・リクさんは何を言って、、


、、敵?、、あの倒れている獣人さん、、が?、、敵って?


ランタンに照らし出された蛇人族の女…と言うには小さい…女の子は、頭だけ此方を向いて、目だけが赤く輝いている様に見える。


「何を!・・・倒す、、殺す必要なんて無いでしょう?」


「いいえ!」リクは言い切る。


「蛇人族、、しかも赤目です。猛毒を持っていて成長し大人になると人間など一咬みで確実に即死させるモンスターです。」


「小さい今でも十分、人間を昏倒、悪ければ死亡させる毒を持っています。」


「今後、人間に被害を出さない為にも、、殺します。」


「もしかしたら、町で逃げたと言っていた蛇人というのはこの赤目かもしれません。」


フェンは分からない。


なぜリクさんは『殺す』なんて?…それが当たり前の事の様に言えるのだろう?


彼は寒さで動けなくなっている相手に剣を突き立てて殺す、と言っているのだ。


フェンは許せない。


町の兵士といい、リクといい、、


貴族からの命令に従って、『逃げた獣人を見付け次第、殺せ』なんて・・・


剣を構えて蛇人族の子に近付くリク。



「止めろ!!」


先程とは逆にリクの前に立ち塞がるフェン。


「なぜです?」


なぜフェンが止めるのかが理解出来ない。


町を守る衛兵なら、人間に害を及ぼすモンスターを討伐して当然ではないか?


勇者とて、そうやってモンスターを倒し、魔王を倒して手に入れた称号の筈だ。


「危険な存在を野放しにする事は国を、、民を守る者として出来ません!」


町を、、人間を守る衛兵の言葉だ。


町の人々に聞けば、十人中、十人全員が正しい事を言っている、と答えるだろう…。



だが!、、間違っている。



フェンはそう思う。



「リクさん、この子を殺す事は許しません!」


「何を!、フェンさん。何を言っているのか解っているのですか!」


「解っています!!」


フェンの気迫が高まる・・・本気だ。


「殺さねば危険なのです!解る筈だ、貴方なら!」


リクも叫ぶ。フェンがその気になれば自分など一撃で殺られてしまう。


だが、私は間違っていない!…リクは自分を信じる、、自分の考えは正しいと信じる。


「同じ事だ!!」


「・・・??」


フェンが言う『同じ事』の意味がリクには分からない。


「何が同じだと言うのですか!勇者フェン!」


「・・・この子がリク、君に何をしたって言うんだ!」


「それとも、この子が数多くの人を殺したとでも?」


確かにリク自身はこの蛇人に何かされた訳ではない。


だが、、、


「今は違うかもですが、将来的な被害を無くす為にはしなければならない事です!」


「将来?、、なぜ、この子の将来を勝手に決め付けて奪おうとするんだ!」


「リク、君がそう考えるなら、僕は逆の立場から、、君を・・・倒す。」


「フェンさんは獣人の味方をするというのですか?」


「そうだ!、、君が納得して『この子を殺す』と言うなら、僕も躊躇いなく『君を殺す』、同じ様に・・・」


「だから、何が『同じ』だと言うのですか?」


リクはまだ解らない。


「理由?、、君と同じ理由で、君を殺すって事さ!」


「・・・?」


フェンはリクに告げる。


「君はこの子が将来的に人間に害が有るから殺す、と言う。」


「・・・・」


そうだ。危険なのだから倒しておかなければ・・・リクは思う。


フェンは続ける。


「そして君は、今後も、、将来的にも、赤目の蛇人族だ、というだけで殺すだろう…」


「君が『何もしていないこの子を殺す』と言うなら、、僕も『何もしていない君を殺す』事を躊躇ったりしない!」


「僕は、リクさん、貴方であっても殺します。」


「勇者フェン!、、人間は弱い種族なのです!、強い、、害になる物や者は排除しなければならないのです!」


「何が弱い、だ!!」


「今、こうして『倒れて何も出来ない相手』を剣で殺そうとしているのは誰だ!」


「数の暴力で獣人達を虐げているのは誰だ!!」


「・・・人間だ!!」


それなのに、人間が弱いから相手を殺す、、と?


何て馬鹿げた理由だ。


「僕にとっては身動き出来ない『その子』こそ弱者だ!」


「自分は弱者だから、、強者である相手を殺す、と言うリクさんの理由と同じ理由で僕も戦います。」


「僕は『この子』の代わりに強者である『リクさん』を殺すのです。」


「まさか、弱者を語って良いのは人間だけだ、とは言わせない!!」


「相手に対してリクさんが言った理由です。逆に同じ理由で自分が殺されても文句は有りませんよね?」


・・・・


リクは言葉も無い。


人間を守るのは当たり前、、そう!当たり前なのだ。


だが、その『当たり前』は人間だけの特権ではないのだ。


逆の立場で考えるなら、人間を恐れる他種族に、何もしていないのに攻撃されても仕方がないとも言えるだろう。


何せ人間も『同じ理由』で他種族を攻撃するのだから、、今のリクの様に。


それも、何もしていない無抵抗な相手に対して、だ。


それをフェンさんは、、勇者フェンは許さないと言う。


そして、この蛇人族の娘を殺すなら『同じ理由』で、僕を殺すと言うのだ。


蛇人族から見たら、リクは、今まで蛇人族を害した事が無くても『将来的には』同胞を害する可能性が高く見えるだろう。


リクの理屈・・・将来的に危険だからと蛇人族を殺して良いというなら、リクも蛇人族から見れば危険なのだから『殺して良い』、、『殺されても仕方ない』と自ら認めている様なものなのだ。


リクは人々を守りたい。


だが、当然ながら自分が死ぬのも嫌だ。


フェンはリクに、相手を殺そうというなら、自分も死を覚悟しろと言うのだ。


だが、、譲れないのだ。


実際に赤い眼を持つ蛇人族の獣人に人間が咬まれる被害は多い。


兵士への命令でも『見つけたら確実に仕留めろ』と命令されている。


やはり、倒すべきだ!!


リクは考えを決め、蛇人族の女を見る、、逃げて、、る?


フェンの後方で、寒さからなのか、身体に負った傷のせいなのか、這ったまま逃げようとしている。


「逃がすか!!」


普段なら、反撃を受けるリスクを考慮し、絶対に倒そうとは考えずに発見の報告だけをしている筈なのだが、、、


フェンと同行し、触発されたのか『人の安全を守る』という気持ちがリスクを負う恐怖を上回る。


フェンの脇をすり抜け、女へ走る。


剣を構え、斬り掛かろうとした瞬間、蛇人族の女が振り返り威嚇し、咬み付こうとする。


『シャーーッッ』、、上手く身体が動かない身での精一杯の抵抗なのだろう。


相手も命懸けの抵抗なのだ。その眼、牙、その気迫にリクも躊躇する。


、、、襲って来た、、やはり危険だ。、、倒さなければ、、、


「フェンさん!見たでしょう。やはり危険です!、、倒します!!」


、、、、倒す!!


リクが再度、斬り掛かろうとした瞬間、フェンがリクに斬り掛かる。


「リク!!」


『ガキンッ』フェンとリクの剣が重なり火花を上げる。


「何をするんですか!フェンさん!!」


リクも思わずフェンに斬り掛かり、再度、剣がぶつかり合う。


「同じ事だ!!」、、フェンは言う。


・・・まただ。先程から、フェンさんは何を『同じ』だと言うのだろうか?


リクが疑問を口にする前に、フェンが問い掛ける。


「なぜ?、、なぜリクは僕の攻撃を防いだんだ!」


「・・・?」、、フェンさんは何を?


「フェンさん、、斬り掛かられれば防ぐのは当然ではないですか!」


、、、当然だ。防がなければリクは斬られていたのだから。


「そうです。当然です!、、だから、その子は殺させない!」


「だから、なぜ??」 リクにはフェンの言っている事が解からない。


「リクさん、、いや、リク!、、おかしいとは思わないのか?」


「君は攻撃されれば防いで反撃するのは当然だと言う。」


、、、そう、当然で、当たり前だ。、、リクは思う。


フェンは言葉を続ける、、、


「だったらなぜ?、、その子の事を危険だなんて言うんだ!!」


「その子もリクに斬り掛かられて当然、当たり前に反撃しようとしただけだ!」


「なのに、リク、、君はなぜ、その子だけ殊更に『危険だ』なんて言うんだ!!」


「君がすれば『当然の事』で、その子がすれば『危険だ』なんて、、、」


「・・・絶対に間違ってる!!」



リクは理解する。、、理解した、なんて言うと言い過ぎだが、フェンの思考、考え方が少しだけ理解出来た気がした。








勇者のフェンと王国兵士のリク。

中々、分かり合えない様で、、、。

まあ、現実でも、打ち解け合うのは時間の掛かるものです。

次回は何とフェンが、、?

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