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ミヤですか?勇者さま。







「ただいまー、ミヤ。」






「おかえりなさい、フェンさま♪」






「遅かったにゃ。」







「ごめん、ごめん、色々有って遅くなっちゃったんだよ。」








思い出すだけで顔が赤くなる気がした。





…まさか、発情したミオンに押し倒されてました、なんて言えないよね?








ミヤが駆け寄ってくる…と、首を傾げた、、??





『キョロキョロ』と辺りを見渡して言う。







「フェンさま…ミオンはどうしたにゃ?」






「ミヤ、ミオンは連れて行かない事にしたんだ…。」






「!、、えっ?、、またまた、、!!、、嘘、ですよね…フェンさま…」






「ううん。ミオンとシオンはお母さんと暮らして貰う事になったんだ。」






「そんな!…ミオンは?…ミオンは、いいって言ったんですか?」






「うん。」






「時期が来たら迎えに来るって約束して来たんだ。」







「ミオン、、、嘘、、」




ミヤの目から涙が溢れ出す。







「な、何で、ミオン?…一緒にフェンさまと、って…」





フェンの方が『なぜ?』だった。






日頃からミオンの事を『僕を取り合うライバルだ』と言っていたのに…






…なぜミヤが泣いちゃうの?






…ミオンと別れるのが、そんなに悲しいの?







「すぐに会いに来れるから大丈夫だよ?…ほら、大丈夫だから泣かないで…」






「大丈夫、じゃないにゃ。」






「フェン様はミオンとの約束をどう思ってるにゃ!」






「どうって、ミオンとの約束は守るつもり、、いや、守るよ。」






「じゃあ何で連れて行ってあげないにゃ!」






「お母さんと暮らさせてあげる為だよ。シオンと一緒に。」






「ミオン…あんなにフェン様に『傍に居てもいい』って言って貰えて喜んでたのに…」







「せっかくミヤとも姉妹になれたのに…」







「なんでフェンさまは…フェンさまは…」






絶え間なく『ぽろぽろ』とミヤの栗色の瞳から溢れる大粒の涙。






フェンも動揺する。





まさか、こんなにミヤが悲しむなんて思っていなかったのだ。







「ミヤ、ごめんね。…でも親子で暮らせるならそれが一番良いと思うんだ。」






…僕が気付けなかったんだよね、、





お姉ちゃんが居なくなる、ってシオンが悲しむのを見てられなかった。





…なら、





何で、妹が居なくなる、ってミヤが悲しむのを、なぜ想像出来なかったのだろう…。





これでは『ミヤは二の次ですよ』と言ってる様なものではないか。






「ごめん、ミヤ…」




フェンは胸を締め付けられる思いがする。





「ごめん、、」







フェンの辛そうな、悲しそうな表情を見て…ミヤは思い出す。





ミヤは知っている、、





・・・昔、、フェンさまも、こんな表情で、、、






両親が家に居ないフェンさま…祖父のジン様との二人暮らしだ。






そのジン様すら、家を長く離れる事が度々有った。






その度に笑顔で送り出すフェンさま・・・。







その後、、どうだった?






明るく送り出した笑顔が、どれだけ苦痛だったか…






一晩中ミヤを抱き締めて泣きはらした日が、どれ程有っただろうか…。






『フェン様…泣かないで…ミヤが居ますから…』






ミヤも言葉で伝えられないもどかしさに、幾晩、何度、今の猫の姿を呪ったか…。






だが、どう頑張った所で、ミヤではフェンの寂しさは拭えなかったのだ。






ただ一緒に居てあげる事しか出来なかった。







一言の不満も洩らさず、ただ泣くフェン様…






幼いながらも、両親、祖父が出掛けるのは『必要な事だ』と解っていたのだ。






今、フェン様が流している『 涙 』以上に大切な物など有るものか…






世界なんて、どうでもいいからフェン様の涙を止めてあげて…ミヤは思う。







フェンの悲しみを見る度に『何で自分は実の家族ではないのか』と思った。






・・・ミヤが家族なら、ずっと一緒に居てあげるのに、、、





こんな寂しい思いなんかさせないのに、、、






家族…両親、兄弟、祖父母、、誰でもいい!、誰かフェン様の傍に、、、






・・・なぜ?・・フェン様には誰も居ないの?






泣きはらすフェンの涙を舐めてあげながら、ミヤも泣くしかなかった。









そう。…フェンさまは家族…両親の大切さを知っているのだ。






それは小さい頃の記憶から『美化した』とも取れる程に大切な物…『大切にしたい物』なのだ。






フェンからすれば、『自分との生活』など『両親との生活』に比べれば、、、




、、、いや、比べるべくもない事に過ぎないのだ。






『ミオンとシオンを母と暮らさせる』




とは、そういう事なのだ。





それを決断したフェンさまを責める・・・





知っていた筈なのに、、、






「ごめんなさい…フェンさま、、ミヤは…」






「ううん。ごめんね、ミヤ。ミヤも寂しいもんね。」




…違うの!…私が…ミヤがフェンさまの気持ちも考えずに…






「ごめんなさい、、」






「大丈夫だよ、ミヤ。また元の二人暮らしに戻るだけの話だよ。」







・・・嘘だ・・・。







何が『 大丈夫 』だというのか。







・・・フェンさまだって本当はミオン達と居たいのですよね?







・・・なのに、、、






それでもフェンさまは大丈夫と言う・・・私の・・・ミヤの為に。







でも!!






今のミヤは昔のミヤとは違う!!






話も出来るし、気持ちも伝えられる。






・・・望まれれば猫の姿の時には出来なかった事もしてあげられる。






そして、本当の家族にも、、なれる。、、なりたいと思っている。






「はい。フェンさま・・・ミヤは、ずーっと傍に居ますにゃ♪」






「うん、ミヤ。ずっと一緒だよ。」






「帰りましょ! フェンさま…私達の家に。」







「うん。ミヤ、帰ろ。」











フェンとミヤはイーストノエルの町へと向かう。






人間の町とは隔絶された獣人達の町から、、。






途中、セグラムの町を通るが、、、?





「あれ?…門が閉まってる?」





まあ、閉めておく事もあるか…と、特に用事も無いので気にせずセグラムの町はスルーして進む事にする。





セグラムの町でミヤが失ってしまった『ねこみみローブ』を新しく買ってあげようか?



と思っていたが、獣王さんの町で手に入ったのだ。





獣人の町なので、隠す必要も無いので、恐らく売っていないと思っていたのだが、売っていたのだ。





・・・獣人さん達もオシャレするのに買ったりするのかな?





ミヤにも、もっとオシャレな洋服買ってあげようかな?





・・・などと考えつつ進む・・・が、、





どうも、道程中、行く先々が何か物々しいのだ。




閉じられた城門、重苦しい雰囲気…まさか、、また他国との戦争でも??





相当進んだ先で、やっと門が開いている村を見つける。





「ミヤ、一休みしようか?」





「はい、フェンさま。」






村に入ると直ぐに声を掛けられる。






「お前達、どこから来た?」





フェンも、誰かに情報を聞こうと思っていたので渡りに船だった。






「イーストノエルから来ました。用事が終わって帰る所です。」






「イーストノエルか。・・・で、連れのもう一人は?」






「彼女は僕と一緒に住んでいる冒険者仲間です。」






「魔導師か…。」






「はい。一体、この物々しさは、どうしたのですか?」






「山に籠って少し長く素材集めをしていたもので…」






「ああ、知らないのか? セグラムの領主がとうとう獣王軍に負けて戦死したんだそうだ。」






「獣王軍も本気になったらしく、大軍で押し寄せて、領主も町を守ろうと奮戦したが力及ばず討たれたそうだ。」






「周辺の都市や町は『次は自分達か?』と気が気でないらしい。」






「何せ、セグラムに居た全兵士に民間から募った民兵、合わせて3万人もの兵が殺られたらしい。」






「ここは田舎で何の価値も生まない村だから…まさか獣王軍も攻めて来ないだろうさ。」





…それで門扉が開いてたんだね…。






男は続ける






「しかも…生き残った奴隷達の証言では、、」






「領主や半数以上の兵士を手に掛けたのは獣王だが、後の半数を殺ったのは一人の獣人の女らしい。」







「そして領主に怪我を負わせたその獣人の女が今も逃走中なんだそうだ。」






「しかも勇者が今回の件に協力している疑いがあるのだそうだ。」





!!…どういう事?






そもそも獣王軍は『攻めて』なんかいない。





・・・領主がミヤ達を我が物にしようと私物化した兵力を獣王の拠点へ出陣させた。





結果、、、全滅したのだ。






セグラムの兵士3万人って?…あれは多く見ても1万人居なかったよね?





…今までの損害全てを今回の戦いでの損失という事にしたのか?







話を聞くミヤが『カタカタ』と震えている。





…今は不味い…と思ったけど、、






「そうだよな、、何万人も殺す獣人が居て逃げてるなんて聞いたら女じゃ怖いだろう。」







男はミヤが震えているのは、話の内容に出て来る獣人が怖くなって震えているのだと思った様だ。






・・・話の当人だとも知らず。






「それで国からは今後どうするかの指示は有ったのですか?」






「国も総力をあげて獣王軍の討伐を決断するらしい。」






「徴兵と練兵に時間が掛かるらしいので、今はまだ『固く守れ』との通達が出ている状態だ。」







・・・そんな、、、。





ミオン達が居る獣王軍の町が攻められる、、、?





王国の総力…一体、どれ位の兵力になるのか?






今回の件はセグラムの領主の独断だったのに…。






『また、全て獣人の責任にするつもりか!!』






・・・いつも、いつも、いつもいつもいつも!!!、、





獣人に何の恨みが有ると言うのだろう。






人間のした事は全て正しくなければならない、とでも言いたいのか?





…いや、そうしたいのか?





そうやって獣人達にに汚名を着せて成り立って来たのか、王国は、、、





人間が正しいなんてまやかしだ。






『正しい』と見せ掛けてきた、取り繕ってきただけなのだ。






許せない・・・






だが、どうするか?






戦争を、、、討伐を止めさせるには?






幸いと言っては何だが、現時点では『討伐を決断するらしい』、、




…『らしい』と、まだ決定はしていないようだ。





王都で面会した国王様は、普通の感性の持ち主に見えた。





…だが残念ながら『今のフェン』には完全に信じる事が出来なくなっていた。





少し前のフェンであったならば『正しい事なんだから解ってくれるよね。』と疑いもしなかっただろう。






面会して説得・・・駄目だ!、、、説得するだけの根拠が無ければ、、、






あ!!…思い出した。





セグラムの領主が独断したという証拠…僕が獣王に届けた書状が有れば…。





あれが有れば、国王様の名を騙り、領主が自ら獣王軍との戦に望んだのは明白だ。





…とは言え、書状の内容を僕は知らないのだけど。






実は、本当に国王の命令だった可能性だってあるのだから。






獣王さんは言った。





領主の行動は王からの指示だった…宣戦布告の書状だった、と。





あの書状さえ有れば、獣王軍から戦争を仕掛けたのではない事は少なくとも証明出来るだろう。






国王の意思ではなく、獣王が攻め込んだのではない…という事なら戦争を止められるかも。






根拠は無いが、多分、次の戦いで王国様は確実に『勝てる』つもりで居るだろう。






・・・そんな事にはならない。獣王を直接見たフェンは断言出来る。





王国が派兵を決め、宣戦布告したと同時に、町を攻められる前に獣王自らが王国へ攻め込んで来るのだ。







そして兵力の差など関係無く、王様は…死ぬ、、消える事になるだろう。





その後は…獣王さんが言う通り、王国崩壊…なんて、どれだけの混乱や被害が出るか分からない。






何とかしないと。






だが、男の話しからだと、戦争以前にフェンとミヤの身が危ないと思える。






多くの兵を殺した凶悪な獣人とそれに協力した勇者…話しだけ聞いたら危険な凶悪犯にしか思えない。






手配をし捕縛しようと思っているはずだ。






今、この時も、、、




思わず、辺りの安全を確かめてしまう。





「兄さん、大丈夫だよ。こんな田舎までは来ないだろうさ。」





男はあくまでも話しを怖がっていると思っているらしい…。






「ありがとうございます。僕達も気を付けます。」





「気を付けて行きな。」





男と別れた後も二人は一休み、、という気分になれなかった。





水と食料を買い込み、すぐに村を後にし、イーストノエルへ急いだ。






『我が家へ』…何の根拠も無い話しだ。






だが、無性に自分の家に帰りたい気がした。





…一番安心出来る、一番安全な場所に思えたのだ。








フェン達は採取の丘まで戻って来た。





「もう少しだよ、ミヤ。」





「はい。」






ミヤは『キュッ』と改めて手綱を握るフェンを後ろから抱き締める。






「ミヤ、寒い?」






暑かった季節も過ぎ、日暮れと共に気温もぐっと下がる時期だ。






もう薄暗い時間だし、フェンがそう考えたのも仕方がないのだが…。






『もぅ!、何時になってもフェンさまは鈍感にゃ…。』





言葉にならない批難が浮かぶが、せっかくのフェンさまの気遣いだ。







「はい、少し寒いです…もう少し馬をゆっくり走らせて欲しいにゃ…。」






「うん。分かったよ、ミヤ。」






速度を落として進んでくれる。





フェンさまとの時間が少しでも長くなるように…






だが、…その分、周りが良く見える。





いつもなら見落とす物まで目についてしまう。






「フェンさま、、あれ!」






ミヤが指差す先には、ぼんやりと緑色に光る物体…妖精さんかな?




…ああ、シズのお友達だね、きっと。






更に近付くと、確かに小さい草の妖精さんだ。






馬を降り、声を掛けてみる…フェンがこんなにハッキリと妖精を見れた事なんて無かった事だった。





…今度シズに会ったら自慢出来るね。






「こんにちは。シズのお友達さんかな?…僕はフェンだよ…って知ってるかな?」





しゃがんで話すが、まだ見下ろす格好だ。





怖いのか、恥ずかしいのか妖精さんは下を向いたままモジモジしている。






「アノネ、アノネ、、、」






「なーに?」




優しく聞いてみる。






暫くモジモジした後、思いきった様に言う…





「フェンハ…シズノ、オトモダチ…イッチャダメ。」






「イッチャダメ?、、って、シズに言うなって事?シズに会いに行くなって事??」





「ダメ、ダメ、、・・・」





「あれっ? 消えちゃった…。」





「うーん、やっぱりシズが居ないと良く解らないな。」





「ミヤ、解る?」






「解んないにゃ…」、と『ふるふる』首を振るミヤ。






まあ、どちらだったとしても今日はシズに会わなければ良いんだね、、






…分かったよ、ありがとう妖精さん♪






フェンとの一時を邪魔された形になったが、それほど腹を立てないミヤ。






・・・フェンさまにはミヤの笑顔だけ覚えていて欲しいにゃ。






家に帰れば久しぶりのフェンさまとの二人暮らしにゃ・・・





いっぱい甘えて、、、そして、、、








やがてフェン達は、我が家に到着する。






何の特徴も無い、見渡せば幾らでも在りそうな家だが違うのだ。





・・・見た瞬間、ホッとする。






「ただいま!」





当然、声は返らない。






暗い中、明かりが灯っていない事で分かってはいたが…





相変わらず『爺ちゃん』は帰って来ていないらしい。







少し寂しい気もするが、前程ではない。






慣れた…とは思いたくないが、それが真実だろう。







「ミヤ、今日は移動で疲れたよね? お風呂に入って早く寝ようね。」







「!!…それならミヤと一緒に…」







「…別々にだよ。ミヤ、先に入っておいでよ。」






…ガッカリにゃ…久しぶりの二人きりに浮かれて対応を間違ったにゃ…。







フェンさまは、、、






二人共にお風呂に入り終わる。






「じゃあ寝ようか?」






・・・ここにゃ!、、今度は失敗しないにゃ!!






「はい。…フェンさま…」





返事の後も『じーっ』と何も言わずに上目遣いにフェンを見つめる。






「…ミヤ?…一緒に寝たいの?」






『コクリ』と頷くと、また何も言わずフェンを見つめる。






「うん。ミヤ、おいで。」






『やった♪』…今日はフェンさまを独り占めにゃ!







フェンさまは恥ずかしさからなのかミヤから押すと引いてしまう。






なら、どうするか?・・・思うだけで良いのだ。






ただ黙ってフェンさまを思い、見つめるだけで良い。






フェンさまはミヤの気持ちをちゃんと分かってくれる…今も気付いてくれた。






フェンに続いてミヤもベッドに潜り込む。






『フェンさま、フェンさま、フェンさま、、、』





思いの丈をぶつける様に、強く抱き締める。






…ミヤ?久しぶりで甘えたいのかな?






頭を撫でてあげると、思い出した様にミヤが、、、






…えーっと、これは『おねだり』だよね?






胸からせり上がり、目線が合うと『んーーっ』っと、目を閉じて唇をつき出す…。





あからさまな『おねだり』だけど、それが無性に愛らしい。






「うん。ミヤ、おやすみ。」






抱き締めて、おやすみのキスをする。






ミヤの満面の笑顔。。。





・・・こんなに喜んでくれるなら、キスなんてお安いご用だ。





ミヤとフェンは目を閉じる。













夜半、、、





いよいよだにゃ…






…幸せにゃ…ずっと一緒に居たかったにゃ…。






…て、もう『にゃ』も付けなくても…





そう考えるだけで悲しく切なくなる。






もう…一緒に居る訳にはいかない…よね。






本当ならあの時にフェンさまに殺して貰う筈だった命だ。






短い期間で少し残念だけどフェンさまは幸せな記憶、思い出をくれた…。






隣で寝ているフェンの顔を見る…






好き…フェンさま…私が守ります…






気配が段々と近付いて来ている。






私が捕まり、フェンさまを操っていた・・・と証言すれば、、、きっと。






『さようなら…フェンさま…好きです…』




声にせず、口だけ動かし伝える…






『そーっ』とベッドから抜け出そうとするミヤ。





が、予想外の事が起こった。





「きゃぅっっ!!」






思わず声を上げてしまう。






尻尾を強く握り締められたのだ。






「何が…!!」





振り返ると爛々とした目が…フェンと目が合う。






「フェ、フェンさま、起こしちゃったかにゃ?」






「どこ行く気?」






フェンの目は笑っていない…口調も…怒ってる?







「ただの御手洗いにゃ、一人で行けるにゃ♪」







「御手洗い?…じゃあ何で?」






「何で?って何がにゃ?」







「何でミヤ、泣いてるの?」







『ハッ』として自分の顔に触れる…いつの間に?







知らぬ間に泣いてしまっていたのだ。






「何ともないにゃ!、そうにゃ、恐い夢を見たから泣いてたんにゃ。」






「ミヤ!!!」






「、、、っ!」





『ビリビリ』した気迫がミヤを震わせ、息を飲ませる。






「・・・で、ミヤ。どこへ行くの?」






「平気にゃ、な、何ともな、、、」






「ミヤ!!!」






フェンの目には怒り…ミヤへなのか第三者への物かは分からないが、、




、、と、やはり根底に在るのはミヤへの心配だ。







「ミヤは…ミヤは大丈夫にゃ!」






「フェンさまは、このまま寝ていて下さい。」






「ミヤが…ミヤが、、、」






「駄目!!!」






『…お守りします』と告げる前にフェンから否定されてしまう。







「外の気配、、音、、王国軍の兵士…だね、、。」





人の気配と装備の音…集団で同一な装備を均一に使用しているなど正規軍くらいだ。





『コクリ』とミヤは肯定する。







「手配されているミヤを捕らえに来たのにゃ。」







「フェンさまはミヤに操られていたのにゃ、何も知らないにゃ。」






「フェンさまは何も知らず寝ているだけでいいにゃ。」






「さよなら、フェンさま…」







行こうとするミヤを今度は腕を掴み離さないフェン。







「フェンさま、離して下さい。もう時間が無いの…」







・・・唐突だった。







「ミヤ!!・・・結婚しよう!」






「・・・・・え?」





聞き…間違い、、?





あまりにも場違いなセリフに口を『パクパク』させるが言葉にはならない。






「ミヤ。結婚しよう。」





今度は間違いない…フェンさまが言っている言葉に、、間違いない。






「結、、婚?」






「そうだよ。結婚しよう、ミヤ。」






「・・・・」 何を言ってるのだろうか、フェンさまは?






今、正に『お別れ』の時だと言うのに…。






「これじゃ、これじゃ私、、そんな、、、」




、、、決心が鈍ってしまうではないか!






「返事を聞かせてよ、ミヤ?…結婚しよっ♪」







「そんな…結婚?フェンさまと?」







「ねぇ、ミヤ、、返事は?」







「…そんな場合じゃ無いです!…兵士が、兵士が…」







「そんな場合って?…僕に一番大切な事はミヤの返事だよ?」






「そんな…フェンさま。」






「早く、ミヤ…ほら、兵士が来ちゃうよ?」






・・・何でフェンさまはこんな時に?






二つ返事で認めてしまえば良いだけの話しなのに・・・。





内容はミヤの希望、、、夢なのだから、、、






だが、『はい』と答えてフェンが何をするのか、が恐いのだ。





『私に』する何かが恐いのではない…






『私の為に』何をする、、、何かをしてしまうのではないか?、が恐いのだ。







フェンさま・・・私なんかと結婚してどうする、、の?






「…ミヤ!!」






「っ!…な、なります! フェンさまのお嫁さんになるにゃ!」





思わず返事をしてしまった・・・。







「うん。じゃあ今からミヤは僕のお嫁さんだね。」







本当?、、、本当に?






夢じゃなく、本当にお嫁さんにしてくれるの?





フェンさま…







「お嫁さん…じゃあ、じゃあ、、、」






「・・・ミヤ?」






「、、あ、あなた、、」






「なーに?ミヤ。」





、、、キャー!『あなた』だなんて恥ずかしくて悶え死にそうにゃーーっ!






「・・・・?」






「…あの、『フェンさま』のままでいいにゃ?」






「いいよ。ミヤの好きに呼んで良いんだよ?」






「フェンさま、、、フェンさま…」






「もうミヤは僕のお嫁さん、、本当の家族になったんだよ。」






「だから僕の許可なんて要らない…好きにしていいんだよ?」






「はい。フェンさま。」










外の気配が高まる…取り囲んでいるのだろう。






「ただ、僕の家族を傷付ける奴は誰だろうと許さない…敵だ!」





フェンの目が鈍く光る・・・怒りだ。







「ミヤは僕のお嫁さんなんだから黙って勝手に何処かへ行っちゃ駄目だよ?」





うって変わってミヤへ優しく聞かせてくれる。







「は…い。」








フェンさま…最後に大きな夢を叶えてくれたんだ…お嫁さん…。







フェンさまと本当の家族になれたんだ。







もう…何処へ行こうが、何が有ろうが迷わない。







私の椅子はここに、、、フェンさまの隣に在るのだから…。













・・・フェンさまは?







フェンさまは見つかったの?







私の隣に在る椅子は?・・・ここではないのですか?







もし違うのなら私も手伝います。







私に椅子を作ってくれたフェンさま・・・







フェンさまの椅子が見つかるまで・・・







・・・ずっと・・・一緒に・・・







誓います、、、。













「やっぱりミヤが一番乗りにゃ!」

 「何に一番乗りしたの?ミヤ。」

「えーっ、、秘密にゃ。ただ夢が叶ったにゃ!」

 「ミヤー、駄目だよ、そういう事、言っちゃ。」

「どうしてにゃ?」

 「早々に夢が叶うと、、、ブルブル(震゛゛)」

「何にゃー!何が有るにゃー!気になるにゃー!」

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