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家族ですか?勇者さま。








「・・・うぅん、、、っ!」





・・・えっと、、、?





あぁ・・・いつの間にか眠っちゃったんだね、、、。





僕へのお願いという緊張から解放されて、安心してウトウトし始めたミヤを見ている内に、




、、つい自分まで、、、。




当のミヤも安心して『スヤスヤ』と眠ってしまっている。





『ミヤ…僕も頑張るからね…』 声に出さずに言う。






自分では『まだ勇者だなんて思っていない』、、と、公言しているフェンである。





、、、だが、





爺ちゃんが居ない今、そして、その爺ちゃんから任せられた者として、

フェンは勇者なのだ。





経験や実力など有ろうが無かろうが、知らない第三者から見れば、

何も変わりは無い、、『勇者』は『勇者』なのだ。





爺ちゃんが担っていた『役割』も『不在中だからと無い事』にはなったりしない。






今現在も世界は、、時は進んでいるのだから・・・。






王様、、か、、、王様ね・・・。





どう考えても王様なんて『柄ではない』と思う。





王様になる、というのは手段の一つにすぎない。





理想を言えば、別の手段で上手く行けば一番良い。





王都で面会した王様に『人以外の種族の待遇改善』を陳情する。




、、そして、改善してくれるならそれに越した事はない。





・・・だが、単純に『そうしよう』とはならないだろう。





理由は…『 今現在がそうだから 』である。






…変われるなら既に変わっていなければ、おかしい話しなのだ。





無知であったフェンでさえ、ふと立ち寄った店で知ってしまう程度の

『ありふれた』現実なのだ。





一生、虐げられる獣人達が居る事を『知らない』ままで居る方が難しい。





そして、それが『 非道い事だ 』と思う、、感じるのが普通だと思う。





ただ、知ったとしてどうするか?




…個人的に気の毒に思ったとしても『どうにもならない』、のが現実なのだ。





仮に『あの店』で店主に対して、可哀想だ、と情に訴えたとしても効果はなかっただろう。





…言われて解ってくれる人なら、そもそも奴隷売買の店などしていないだろう。




法的に助けようとしても、そもそも他の種族に人間の法は適用されない。





『 人 』以外、、だから。





相手は知性を持たない本能で人間を襲って食べる様な相手ではないのだ。





確かに中には知性を持って理解した上で人間を襲う種族も居る。




だが、それは、ごく一部の種族だけだ。





人間だって襲われれば身を守ろうと戦うだろう。…それには否定も批難もしない。




だが、そこに齟齬が有るのだ。




人間は自分達以外の種族は全てを一区切りにしてしまう。





『化け物』や『モンスター』、そして『敵だ』と。





多くの種族は、独自の言葉も有り、感情も有る…泣き笑いもすれば、

他の者に対しての気遣いだってする。




その違いは・・・ただ、人間ではない、外見が違う、という事だけだ。





因みに人間の中にも、他人を襲って殺したり奪ったりする者も居る。





では、人間にも悪人が居るから自分以外は『全て悪い奴だ!』…とは、ならない。





人間同士だと不思議な事に『個人が悪い』で済んでしまうのだ。





一人が悪い人間だったからと言って、周り全てが悪い人間だとは思わないのだ。





・・・なら、なぜ他の種族にも同じ見方が出来ないのか?





・・・出来ない訳がないのだ。





ただ、『しないだけ』なのだ。





人間の思惑や都合で『そういう事にしておく事』になっている、、

、、暗黙の了解事項なのだ。





人間を襲う悪いモンスターだから『何をしてもいい』としておけば、

何をするにも都合が良いからだ。






その『誰もが気付いている事』だが、『誰も気付かない事』にしている事を改善出来るか、、、





それは『見ない様にしていた汚点』を無理矢理に再認識させ、改善するしか無いのである。





誰も好き好んで『汚点』を見たいとは思わない。





・・・気付かなかった、知らなかったという体(てい)で誰もが居たいのだ。




フェン自身でさえ、本当はイーストノエルの狭い世界の中で自分の周りの皆だけが



幸せに笑顔で暮らせるなら、それだけで満足だった。






だが、今のフェンは『勇者』なのだ。知らない体で安穏に暮らす事は許されない。




仮に、優しい無関係な第三者が居れば、



『勇者なんて関係ない、平穏に暮らして良いんだよ。』と言ってくれるかもしれない。




だが、残念ながらフェンは知らずには居られず、また、見過ごす事も出来そうにない。





・・・考えるが結局、良い方法など浮かばない。





まあ、未来の事を変わらないだろうと、、『だろう』という想像だけで考えても、




アイデアなんて浮かばなくても仕方がないのも当然と言えば当然なのだが。





一度、王都まで行き直接王様に面会してお願いしてみるのも良いだろう。





・・・ありがたい事に、お願いするだけならタダだしね。




、、、まあ、面会が許可されればの話しだけど。






・・・僕も頑張るからね、ミヤ。





心の中で決意を新たにしていたつもりだったのに、スヤスヤと眠っていたミヤが目を覚ます。





『ぼーっ』とした目で周囲を見渡し、自分を見つめているフェンを見つけドキッとする…





「フェンさ、ま…?」





少し嬉しそうな素振りをしたミヤだったが、何かを思い出したのか急に表情が曇る。





…どうしたのかな?




フェンにお願いをした事が夢の中の話しだったのかと不安になったとか?





僕に無理なお願いをしてしまったのでは?、、という後悔してるとか?






「大丈夫だよ、ミヤ。夢なんかじゃないよ。」






「ミヤのお願いはちゃんと分かったからね。」






「僕も頑張るから…ミヤも一緒に手伝ってくれるよね?」






、、、!!






『パッ』っとミヤの顔に笑顔が戻る。






お願いした事も夢ではなく、その内容も、フェンさまは受け入れてくれたのだ。





「はい。フェンさま。ミヤも頑張ります、、お手伝いします。」





「ずっと一緒です…よね?」





「うん、ミヤ。ずっと一緒だよ。」





、、、嬉しい、、





『少しだけ…ほんの少し…今だけはいいよね?』





ミヤは素直に喜びたかった…。





獣人全体の事よりもフェンさまと一緒に居られれば・・・




・・・身勝手なのは解っている、、



、、が、一緒に居られる幸せに今だけは少しだけ寄り掛かっていたい気がしたのだ。





「フェン、、さま、、」





フェンに抱き付き胸に顔を埋めるミヤ。





・・・だけど・・・





私のお願いはフェンさまに苦しみや悲しみを与えるだけかもしれないのに…。





でもフェンさまは『頑張る』と言ってくれた。





世界の事など投げ出してフェンさまとミオン達、、、





フェンさまが家族だと思う皆で暮らせたら、どんなに、、、





、、、駄目・・・だよね。






幸せだと分かっていたとしてもフェンさまは認めたりしない…多分、、ではなく確実に。





今後も自分の事を犠牲にしてでも何とかしようとするだろう。





・・・なら、、私が・・・。





誰かの為に犠牲になる覚悟のフェンさま、、、




なら、一人くらいはフェン個人の為に犠牲になる覚悟の者が居てもバチは当たらないだろう。





「ミヤも頑張ります。」





「うん、ミヤ。」





フェンさまが、私の返事をどう受け取ったかは分からない。





フェンさまは勇者としての義務を果たして下さい、、、




ミヤだけは、、『皆の為』ではなく、『フェンさま一人の為』だけに。






しばらく頭を撫でてからフェンが言う。





「ミヤ、もういい?」





『ずっとこのまま…』




…なんて言えたらいいのにな。





「はい、フェンさま♪」







一緒に小部屋から出る。




眠ってしまったせいもあり、大分時間が経ってしまっていた。




…ミオン…待ちくたびれちゃってるかな?




見渡すとミオンはベッドの上に居た。




居ると言うより…寝ている。




予想通り待ちくたびれちゃったらしい。




「ごめんね、ミオン。待たせ過ぎちゃったね。」




…でも気持ち良さそうに眠っているし、ミオンの為には案外、悪くはなかったようだ。




『スヤスヤ』と眠っているミオンの顔を見つめ、ミヤと顔を見合わせる。




お互い何も言わずに固まる…。




ミオンの寝顔が可愛くて起こすのが勿体ないと二人共に思ったのだ。





囁くように小声でミヤに聞いてみる、、





「ミヤはミオンが、もし妹になったとしたらどう思う?」





「ミヤは…ミオンが妹になったら嬉しいにゃ。」





「じゃあ、妹になって、ずっと一緒に暮らしてもいいって思う?」





「ずっと?、、犬人族と?、、うーん、、でも、ミオンなら・・・」




、、、まだ完全には認められないみたいだね、、。





「うん。分かったよミヤ。」







ミオンの寝ているベッドに近付いて、そっと頭を撫でて声を掛ける。





「ミオン・・・起きて、ミオン。」





優しい声に微かに目を開けるが、声の主がフェンだと分かると安心したのか、微笑んでから、また目を瞑(つむ)ってしまう。





「ミオン、起きてってば。」




撫でていた手を頭から頬へ移す。





「ミオン。起きてよー。」




頬を『ムニュムニュ』と突(つつ)いたり摘まんでみても起きてくれない。





・・・もう、ミオンはお寝坊さんだね・・・。





起きない子には、、、そうだっ♪





布団の中に手を入れてフェンが探す、、、有った。





『キュッ』と優しく握ってみる。





「きっ、、きゃう!!」




ミオンが飛び起きた。





「フ、フェン様、、何を、、なんで、、して??」





「ミオン、お寝坊さんには『お仕置き』だよ。」





フェンはミオンのシッポを握ったのだ。




、、ってまあ、たまにミヤにしているモフモフと同じだけど。






「えっ!!・・・お仕置き?」





・・・えっ!!、、って、僕、何か変な事を言ったかな?






「…お仕置き…お仕置きなら…」





ミオンは呟きながら納得しようとしているみたいだった。





「ミオン?」





「!!・・・フェン様?、、、はい、、、。」





納得?、、決心したのかの様にミオンがベッドの上に立ち上がる。





「ミオン?…どうしたの?」





急にその場でミオンが『クルッ』っと向こうを向いた。





何をする気なのかな?、、、と思っていると、





『 バッ 』・・・えっ、、何を!?





「・・・んっ。」





後ろ姿でチュニックの裾を捲り上げてシッポをフェンに突き出したのだ。





「ミ、、ミ、ミ、ミオン…?」





シッポと言うか、パンツ姿でお尻を突き出したミオンが言う。





「ごめんなさい、、お仕置き、、」






、、、『違うよ、ミオン。待たせちゃった僕が悪いんだよ、、。』




、、なんて言えない状況だけど、、。







「、、フェンさま!!」




ミヤが怒った表情で睨んでいる。





「ミ、ミヤ。、、これは違うよ?無理矢理させたんじゃないよ!」





「フェンさま、、、こんな、、こんな事、、、」






「だから違うよ? 最初から見てたよね?」






「違うにゃ!!、、ミオンに向かって『お仕置き』なんて、、」






「うん。違うよ。」、、解かってくれたの?






「ご主人様、ミオンに、罰を与えて下さい。」





「だからね、ミオン、違うん、、、!?」





何かおかしい、、、今、ミオン、僕の事を『ご主人様』って?





「ミオン?・・・!!」





可愛いはずのミオンの顔なのに、、瞳が陰り表情が抜け落ちている。





「ミオン!!」





「ご主人様、お許し下さい。罰を与えて下さい。」





言葉からも感情が抜け落ちてしまった様だった。





!!・・・まさか捕まっていた時の事を思い出しちゃったの?






「ごめんなさい、、ごめんなさい、、ごめんなさい、、、」





無感情に謝罪を繰り返すミオンに胸が締め付けられる。







「違うよ、ミオン。違うんだ、、こっちにおいで。」





言われるがままにフェンの前まで歩み寄るミオン。













「ミオン。ミオンは悪くなんてないよね?」





「ご主人様…お仕置き…して下さい。」





ミオンは後ろを向いて『お仕置き』を待っている。





何でそんなに『お仕置き』に拘るのだろう?





これではまるで自分から罰を受けるのを望んでいるかの様だよね…。






「ミオン、ほら、おいで。…ここに座って。」




ミオンをベッドに座らせて言う。




「ミオンが罰を受ける事なんて無いんだからね。」





「あと、ミオン。ちょっと待っててね。ミヤとお話しが有るんだ。」





「横になって休んでて良いからね。」








ミヤと先程まで居た小部屋へ逆戻りした。





「ミヤ。何でミオンは、あんな事するの?」





「…フェンさま、ミオンにお仕置きしてあげるにゃ。」





「ミヤまで何を言い出すのさ? ミオンは悪くないよね?」





「…ミオンにとっての『お仕置き』は違う意味なのにゃ。」





「意味の違う『お仕置き』って?」






「フェンさまの考える『お仕置き』は反省させる為にするんですにゃ?」






「そうだよ。でもミオンは、お仕置きされる様な事は何もしてないよ。」






「でもフェンさまはお仕置きだと言ったにゃ。」






「言ったけど、お仕置きするつもりなんか無かったんだよ?」






「そこの考え方が違うにゃ。」






「ミオンにとってのお仕置きは、そんなに軽い物ではないにゃ。」






「どういう事?」






「ミオン達…姉弟がどういう境遇だったかフェンさまは知ってるはずにゃ。」





「うん。」





…知っている。知らない訳がないのだ。





フェンが捕らわれていた二人を助け出したのだから。






「なら解るはずにゃ。ミオン達にとっての『お仕置き』の意味が…」





…獣人の奴隷として、、物として扱われていたのだ。





非道い仕打ちや罰を受けていたはずだ、、、





、、なのに、なぜ自分から『お仕置き』を望んで受けようとするの?





「ミヤ、解らないよ。ミオンだって辛い思いなんてしたくない筈だよ。」






「そうにゃ。ミオンだって本当は辛い思いなんてしたくないにゃ。」






「…だったらなぜ?」






「意味、、理由がフェンさまと違うからにゃ。」






「辛い思いをしたくない…と思うのは普通だよね?」





「、、他の意味なんて…」






「有るのにゃ。ミオン達には。」






「ミオン達は、不用になれば即、処分…殺されてしまう生活を送っていたにゃ。」






「なぜ店の男達が『お仕置き』や『罰』を与えていたのか…。」





「ミオン達に商品としての利用価値…必要性が有るから罰を与えていたにゃ。」





「逆に言うなら、罰を与えられ、受けている間は商品として認められているにゃ。」





「それは・・・『殺されない』という事の保証だったのにゃ。」





「罰を与える必要が無い=『殺される』と同意語なのにゃ。」






「なのにフェンさまは『お仕置きしない』と言ったにゃ。」






「それは…ミオンに『もう必要ない』、『死ね』と言ってるのも同じにゃ。」





「そ、そんな、、事ない!」





ミオンに対して『必要ない』とか『死ね』なんて言う事も、考える事すら…ありえない。






「…と、フェンさまが思っていてもミオンは、そう思ってないにゃ。」






「それでもフェンさまは、ミオンにお仕置きしないにゃ?」






「それは…」





…だからミオンは『お仕置き』を受け入れたの?






心を閉ざして、ただお仕置きに拘って、罰を受けようと…。






二人をを助けてから、あんな無表情なミオンは見た事が無い…。






ただ、自分の命を守る為の行動だったのだ。





『どうして…ミオン?』 心の中で言う。





そして、フェンは腹立たしく思う。





自分の事をミオンは『好き』と言ってくれ、フェンも答えた筈なのに。





守ってあげる、とも伝えた…なのに…





なぜミオンは今も『命の危険』を感じてしまっているのだろうか?





何より、ミオンにそう思わせてしまった自身の不甲斐なさが許せなくて。






…まだ僕じゃ、ミオンに安心を与えられないの?






助けたつもりになって、実際には助けていないのと同じなのでは、、、






「フェンさま、フェンさまがミオン達を助けたのは紛れもない事実だにゃ。」






「ミオンが今、安心して幸せだと思っているのも本当ですにゃ。」





「でも…心の傷は簡単には消えたりしないにゃ。」





「そんなミオンに…フェンさまは、どうするつもりなのかにゃ?」






…どうするか?





悪い事もしていないのに、お仕置きなんて、絶対におかしいと思う。





だけどミオンがそれで納得…安心してくれるなら、した方が良いのでは?





…お仕置き…する?…の…か?、、、





自分が嫌われても問題は無い…ただミオンが安心して暮らせれば良いのだ。





その為に必要なのは何よりもミオン自身が安心だと認識し、その事実を信用してくれる事だ。





方法は…やはり、ミオンに良く話してみるしかないよね、、、





「ミオンに…もう一度、良く話してみるよ。」





「それが良いにゃ。フェンさまが、こんなに気を使ってくれているのにゃ。」





「これで解らない様ならミヤが、お仕置きしてやるにゃ!」





「ちょっとそれは…先ずは僕に任せてね。」








ミヤと再度、小部屋を出る。





ミオンはベッドの上で伏せの状態でジッとこちらを見ていた。






「お待たせ、ミオン。」




声を掛けると勢い良く起き上がり、ベッドから飛び降りて駆け寄って来た。





そして、また裾を捲り上げると、お尻とシッポを突き出してくる。





「、、、んっ。」





・・・やっぱり可愛いお尻にシッポだね…って、違う、違う。




ミオンに良く話して聞かせなきゃなんだから…。






「ミオン。」





「…はい。罰を、、、受けます、ご主人様。」





「ミオン、良く聞いてね?」





「はい。ご主人様。」





…瞳に輝きが無く、表情も無く…ミオンではない、別の何かになったかの様な反応だ。




このまま話しても『納得』しているのではなく、無機質に全てを肯定しているだけだろう。




本人の意思とは関係の無い、ただの『理解した振り』でしかないのでは意味がない。





「ミオン、じゃあ『お仕置き』するよ?」





「はい、ご主人様。」





お仕置きする、と聞いて、ミオンは『嬉しい』ような表情をする。





だが、フェンには分かった。





ミオンの嬉しそうな表情の奧には、何をされるの?との『不安』や『恐れ』の気持ちが有るのだ。






そう・・・人間に対する『怯え』だ。






・・・やはり、ミヤが言った通りなの?






ミオンが元気になってくれるのなら嫌われても構わない、と思っていたフェンだが…






実際にミオンに嫌われ、怯えられる様な存在になってしまうかも…と思うと悲しくなる。






…僕、何をやってるのかな…でも…しなきゃ。






「ミオン、おいで。」




と、言うか、自らミオンの手を引き自分の太股の上に俯せに乗せる。





「ミオン、お仕置きだよ。」





「理由は寝坊した事じゃないからね…」




「ミオンが僕の言った事を解ってもらう為のお仕置きだよ。」





今度はフェンがミオンのチュニックの裾を捲る。




ミオンは恥ずかしがりもせず、ただ全てを受け入れている。





「ミオン…お仕置きだよ…」





『パンッ…』 フェンはミオンのお尻を叩く。





「…キャッ…」 小さく声を上げるミオン、、







どうして?…どうしてミオンは解ってくれないの?




『ごめんね、、ミオン。』 心の中で謝りながら続ける、、、。





『パンッ…』 また叩く。





『…キャッ…ゥ…』





お尻の痛みと、お仕置きして貰えたと言う事実、、、




、、、自分がまだ必要とされているという安心をミオンは得ていた。




・・・これで私、、、まだ大丈夫だよね・・・。





・・・あと『ポタリ、』と背中に感じる・・・水?





お尻を叩かれながらミオンは振り返り見上げる…。






「!!・・・フェン、、様!」





ミオンが見たのは泣きながら自分のお尻を叩いているフェン、、様、、。





なんで?…お仕置きしているフェン様が何で泣いてるの?





・・・嫌、、なの?・・・





私の為に?・・・我慢して叩いてくれているの?





フェンの辛そうな、、悲しそうな表情にミオンも気付く。





『私…フェン様に、なんて事をさせて…』





「フェン様!止めて下さい、、」





「、、ごめんなさい。私…なんて事を!」





心配そうなミオンの瞳には、表情が戻っている。






「…ミオン…?」






「フェン様…ごめんなさい…ごめんなさい…」





「いいんだよ、ミオン。」





太股の上に居るミオンを起き上がらせて抱き締める。






「ミオン、ごめんね。不安になったんだよね?」






「違うの、、フェン様、私が…」





、、、そう。 私が・・・。





私が信じきれていないのだ…人間を。





決してフェン様を信じられない訳ではない…はず。





だが、フェン様の言葉に不安を感じてしまったのも本当なのだ。





まるでフェン様に向けて『あなたの事は信じられない』と言ったのと同じだ。





自分の事を信用してくれない様な相手では、、逆に信用出来る訳がない。





それが『好意』となれば尚更だ。






・・・私、、、フェン様に嫌われちゃう。





思うだけで涙が『ぽろぽろ』と溢れてくる。






「フェン様…私…フェン様の事、信じきれなかったの…でも、、好き…。」





記憶の奥底に刷り込まれた人間への恐怖心は消えない。





でも…フェン様なら…フェン様になら…。





頭では理解しているのだ。





フェン様は理不尽に私を傷付けたりしない事は・・・。



、、、でも・・・。






「いいんだよ、ミオン。僕が悪かったんだよ。」





「でもミオン。これだけは覚えて置いてね。」





「何度も言ったけど、ミオンは僕の大切な家族なんだよ。」





「ミオンを叱ったとしても、ミオンの事、必要ないなんて思ったりしないよ。」





「だからね、ミオン。一緒に居ていいんだよ。」





「大丈夫。ミオンの事は僕が守ってあげるからね。」





「…う…ん。」





噎せながらも何とか返事を返す。





こんな私の事を大切に思ってくれる。





…フェン様ならどんな事が有っても信じて良いんだよね?





フェン様は『今の私』を、そのまま受け入れてくれると言う。






『なら、、私も、、』





フェン様が受け入れてくれるのなら…私も…。





人間全てを信じる事は出来ないが、フェン様個人なら信じられる。





『お仕置き』でも『罰』でも、信じていれば受け入れられるだろう。





だってそれは…私を思っての事なんだから、、、。





ミオンは、今はただフェンの言葉が嬉しくて涙が止まらなかった…。









「もぅ!…ミオンはフェンさまが、こんなに思ってくれても解らないのかにゃ!」




胸に顔を埋めて泣いているミオンは、中々泣き止んでくれなかった。





近くに居て一人取り残され、焦れたミヤが言う。





「ミオン…これでも解らないって言うならミヤが解らせてやるにゃ!」





『ビクッ』…泣き止まないミオンは離れたくないとばかりに、更に強く抱き付く。






「ミヤ、不安なんだよ?…もう少しこのままで居させてあげてよ?」






「フェンさまは甘やかし過ぎにゃ!」






「でも、、、お願い、、ミヤ。」






!!・・・ズルい! フェンさま、、お願いなんて、、、。






お願いなんて、滅多にしないフェンさまがお願いしているのだ。




『 駄目にゃ! 』、、何て言える訳、、無いじゃない!!







だが、、フェンの言葉は『 逆 』の効果を見せる。





『フェン様が、、私が悪いのに、私の為に『お願い』してる、、、』




『・・・そんなの、、駄目!!』




私を気遣ってくれているのに更にお願いさせるなんて、、、





「フェン様、私、、もう大丈夫です、、離して下さい。」





・・・ミオン、大丈夫? 納得出来たのかな?





言われてミオンを抱き締めてあげていた手を少し緩める。





『スッ』とミオンの方から離れる、、、





でも、、、見ればミオンはまだ泣き顔だった。





瞳からは『ぽろぽろ』と涙が零れている。






『全然、大丈夫じゃないじゃん!』





せっかくミヤにお願いしたのに何で?





「ミオン、無理しなくても良いんだよ?」






「、、ううん、大丈夫です。フェン様、、」





『ふるふる』と首を振るミオン。









お互いへの『 気遣い 』でチグハグになっている二人を見て、、、





傍から見ているミヤは『 モヤモヤ 』する。 





もどかしくて見て居られないのだ。






『・・・あーっ!、、もう!!』





、、、我慢出来ないにゃ!!






「ミヤに言わせれば、さっきのなんか『お仕置き』じゃなくて『ご褒美』にゃ!」






「ミヤの妹になるからには、もっと厳しく行くにゃ!」






「・・・妹?・・・今、ミヤの妹って?」






「そうにゃ!何か問題有るのかにゃ!」






「ううん、無いよ。」





・・・ちゃんとミヤもミオンの事『 妹 』として認めてくれたんだね。






「…ほら、ミオン、聞いた? お姉ちゃんだって!」






「・・・・」






「今日からミヤはミオンの本当の『お姉ちゃん』だからね?」





「…お姉ちゃん…本当の?」





「そうだよ。ミヤもミオンの家族になるんだからね。」





「そうにゃ。ミオンは妹なんだからミヤの言う事、何でも聞かなきゃなのにゃ!」





「・・・何でも、は駄目だよ、ミヤ。」





「でもミオンは、お姉ちゃんの言う事は良く聞いてね。」





「そうにゃ。フェンさまの言う通りにゃ!」





「ミヤは、ちゃんと妹の面倒を見てお願いを聞いてあげなきゃ駄目だよ?」





「うっ、、、分かった、、にゃ。」





「ミオンもいい?」






「・・・はい。」







、、家族、、、夢ではなく、現実に。




切り裂かれた家族、母にも再会出来、新しい家族も出来る。




大好きなフェンと一緒に居られれば幸せだと思っていたミオンだが、、




フェン様に加え、お姉ちゃんまで出来た。




今までは弟のシオンを守る事だけで精一杯だったと言うのに、、、




こんなに『 大切なもの 』を増やしてどうすると言うのだろうか?





不安もある。大切なものが増える度、失う悲しみも増えるのだ。




・・・私に守れるの?




フェン様はミオンの事を『守ってあげる』と言ってくれる。





だが、逆に言えばミオンの大切なもの、、、





フェン様が私の為にと、どんな危険な事でも冒してしまうという事だ。





そもそも、ミオンの事が無くても『皆の為』と無理をし過ぎのフェン様なのだ。





、、、私もこのままじゃ駄目、、だよね?





私も、、家族の為に変わらなきゃ、頑張らないと、、ね。







「私、、本当の家族になれたんですか?」

 「そうだよ、ミオン。僕もミヤも、だよ。」

「嬉しい、、。」

 「うん。ミオンが喜んでくれると僕も嬉しいよ。」

「家族、、、じゃあ今日から他人じゃないの?」

 「そうだよ。」

「じゃあ、、フェン様とあんな事やこんな事まで気兼ねなく、、」

  「待つにゃ! そこはお姉ちゃんに気兼ねしなきゃ駄目にゃ!」

「えっ、、、駄目なの、、?」

  「そうにゃ!フェンさまに『あんな事』をするのはミヤにゃ。」

「えーっ、じゃあ私はミヤお姉ちゃんを・・・」

  「!!、、ま、待つにゃ、ミオン。私はそんな、、、」

「お姉ちゃん!!」

  「あーれーーっ、何でこうなるにゃーーー。」

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