↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
7/9

7.マリアンの事情

話の辻褄が合わなくなってきましたので、エビソード5に書いたマリアンの生い立ちを修正しました。


「ふんふん、大体分かったけど、新たに疑問が増えたのよね」

「ロイズ男爵令嬢、先ほど『不敬で罰せられるなら願ったり叶ったり』みないな事を言っていたようだけど、どういう事?」


「あ・・・つい口が滑ってしまいましたが、王妃様にお聞かせするほどのものではございません。」


「国民はすべて私の子供のようなもの。何か悩みがあるなら教えてちょうだい」


実はオリアーナは、マリアンがあざとい男爵令嬢だと思っていたので、その罪滅ぼしも兼ねて何かできる事があれば、力を貸してもいいと思っている。


マリアンはジョナスの方を見たが、ジョナスが頷いたので、

「では、恐れながら私の事情をお話ししたいと存じます。」と話し始めた。


「皆様ご承知の通り、私は十四歳まで平民として暮らしていました。

そして母が亡くなり、男爵家に引き取られましたが、私は全くそれを望んでいませんでした」


以下マリアンが語った生い立ち。


私は母と二人でずっと暮らしていて、生活は苦しかったものの周りに優しい人が多く、母が働いている間は、宿屋と食堂を営んでいる女将さんが、私を預かってくれた。


そしてそこの息子、私より二歳上のピーターとは、ずっと仲良しだった。

将来は彼のお嫁さんになって、この宿屋と食堂を一緒に切り盛りしていく、それが私の夢だった。


だけど、私が十四歳の時、母が馬車に轢かれて亡くなった。

轢いたのは、奇しくも私の父であるロイズ男爵の馬車。

普通なら馬車に乗ったまま、あとは下の者に任せて立ち去る所だろうが、窓の外をチラリと覗いた時、私の姿を見た。


私は珍しい深紅色の髪と碧色の瞳を持つ少女だった。

そして周りが言うには、すごく可愛く保護欲をそそる顔立ちをしているそうだ。


   — — — — —

(伯爵視点)

少女の髪と瞳の色を見て、ハッと思った。

昔手をつけたメイド。

確かその時に身ごもったはずだが、正妻にバレてお腹の子に何かされそうなので逃げ出したようだ。


男爵はいなくなったものは仕方がないと探すこともなかったし、生まれてきた子も女の子だったので、(妻は元メイドの動向を調べさせていた)男爵家を脅かす事はないと思い、その後は放置した。


男爵は馬車を降りた。

そして少女が泣きながら、縋り付いている馬車に轢かれて倒れている女性の顔を見ると、確かに元メイドであった。

 

その後屋敷に帰って男爵は考えた。 


実は男爵家は、男爵自身が賭け事が好きで、夫人や子ども達も浪費癖があり、財政が傾いていた。


今日見かけた元メイドの娘。


なかなか可愛い顔をしていたから、裕福な貴族子息を捕まえられるかもしれない。


それが無理なら、金持ちのもっと年上の貴族とか商人でもいい、再婚でもいい、そんな人物を捕まえて男爵家に貢がせてほしい。


その為には王立学院に通わせて、貴族子息との出会いの場を作らねば。

学院への学費は痛いが、先行投資だと思って何とかしよう。


男爵はそう決めて、マリアンを引き取った。

当然男爵夫人や子供達が反発する。


「最近メイドが一人辞めたばかりだろう?その代わりをあの娘に働いてもらえばいい。

元々メイドの娘だ。給料も払わなくて良いしな。」


そして金持ち貴族を捕まえる為に王立学院に通わせる事も納得させた。


   — — — — —


しかしマリアン本人は何もかもが納得いかない。

母を轢き殺しておいて、謝罪も何もない。ピーターや友達や周りの人々とも引き離された。それどころか自分を利用しようとしている。


とてつもなく頭に来たが、逆らう事も出来ず、学院に入学した。


マリアンは、入学前に何とか最低限貴族のマナーを覚えをしたが、まだまだ未熟だという事を痛感した。


不満だらけで入学したが、学院は普通では交流する事のないだろう王族や上位貴族の優雅な姿と振る舞いを間近で見て見惚れた。


そして学院は男爵一家から離れられる唯一の憩いの場となった。


またこの学院内では、粗相をしても咎められないと聞いて、今を逃したら一生交流する機会などないと思い、ジョナス王太子に思い切って話しかけた。


ジョナス殿下は、ビックリしたようだが咎める事はせず、それどころか私を気に入ってくれたようで、度々話しかけられるようになった。


殿下と話す話題は、いつも平民の暮らしとか考え方とか流行とか。


私は失敗談や笑い話などを身振り手振りを交えて話すと、殿下は笑顔で耳を傾けてくれた。


それが嬉しくて、私も男爵家に引き取られてから、初めて心からの笑顔を浮かべた。


そんな二人の姿は周囲には、恋人同士みたいと思われたかもしれない。


しかし実際は私には幼馴染みのピーターがいるし、殿下には婚約者さんがいる。


それも殿下との会話の中の端々に婚約者さんにベタ惚れしている雰囲気が感じられる。


ちゃんと婚約者さんに説明しておいてくださいよー、私達友達だって。


そう言いながら、私は今の状況を復讐計画を更に完璧にする為に利用する事を思いついた。


まず男爵家が、私がジョナス殿下と仲が良いと知って喜ぶ。


殿下の愛妾、上手くいけば側妃になって、男爵家は大きく立ち直る、と思い込ませる。


ところが学院卒業後も気安く話しかけるマリアンに対してジョナス殿下は「不敬だ」と断罪する。


処罰は降爵。男爵より下の爵位はないので、平民落ち。


私はピーターの所に戻れて大満足。


男爵一家は、天国から地獄に突き落とされた気分で没落。


はい、復讐完了。


ジョナス殿下も、私への今までの男爵家からの仕打ちを聞いていたので、協力するよ、と言ってくれた。


ふふ、その日が楽しみ。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。