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第13話 書庫を燃やしたい者たち
敵も、証拠が揃い始めたことに気づいたのだろう。
夜半、旧書庫の方から焦げ臭い匂いがした。私は飛び起き、外へ飛び出す。炎は窓枠を舐め、保管庫の扉へ伸びていた。
「補正頁の箱を!」
叫ぶと同時に、クラウスが先に火の中へ踏み込んだ。外套で口元を覆い、鍵付きの証拠箱を抱えて戻ってくる。その腕を、燃えた梁の火の粉がかすめた。
「クラウス!」
衛兵が消火に入る間、私は箱を抱えたまま彼のところへ走る。右手の甲が赤く腫れていた。
「大丈夫だ」
「大丈夫な火傷に見えません」
裏庭では、逃げようとしたブルーノが取り押さえられていた。懐からはオスカーの筆跡入り指示書と、白曜慈善会の封蝋印が出てくる。
「書庫が燃えれば、全部終わると思ったんだろう」
クラウスが低く言う。
ブルーノは最初こそ黙っていたが、衛兵長ディーターに証拠を突きつけられると崩れた。
「フェルナー様に言われたんだ……あの女が頁を見つけたら終わりだって」
「頁を抜いたのもあなた?」
「最初は頼まれただけだ! 補正頁と教会写しを隠せば、あんたは王都で終わるはずだった!」
私の手の中で、証拠箱の鍵が冷たい。
終わらせたかったのはこちらだ。こんな泥臭い嘘に、私の人生を勝手に区切られるのはもうたくさんだった。




