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歴史の陰 無口が世界で愛されるのには理由がある  作者: かづ


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幸福を求めて何が悪い(前編)

意外に長くなったので分けます。

俺の父親は街を守る為に体を張る唯一の(おとこ)だった。


体はデカくて、力持ち。街で一番で、とにかくカッコ良かった。


この街は、帝国で嫌われた、行き場所を無くした奴が集まってできたと聞いた。

そんな嫌われ者たちでさえも、守る俺の親父(おやじ)は俺の誇りだった。


そんな親父も歳と共に衰え、弱っていったときに、周りの奴らは何にも手伝ってくれなかった。


それを見て、俺は人の為に何かをすることは無駄なのだと分かった。


皆がそうするように、自分の為、自分が幸せになるために生きるのが一番いいのだと悟った。


誰もがそうだ。言葉では助け合うとか言っていても、母が父を看病し、俺を育てている状態の時には誰も助けてはくれなかったのだから。



俺も親父と同じように体はデカくなった。17の時には街でも1番デカくなった。

ただその時には、父も母も死んでいなくなっていた。

母の最期(さいご)の言葉は「立派な大人になって、幸福に暮らしなさい」だった。

だから俺は幸福を求めることにした。


ひとりになっても問題ない。

もう一人前に仕事ができたし、全部自分で出来た。だから問題なかった。


それに俺のように両親が死んでしまった奴は沢山いた。

同い年という訳ではないが、近い年の奴はいくらでもいた。


だから寂しいという特別なモノは意識しないで済んだ。


周りの人間を見ると、家族がいればそれはそれで面倒そうだとさえ思っていたからだ。


だって自分が採ってきたものや、稼いだ金を他の奴と分けなければならないから。


それじゃあ自分の分が減っちまう。幸せが減っちまうじゃねぇか。


この世は自分が幸福になるためにある。他人がどうなろうが何にも得はない。

何故皆気づかないのか良く分からん。


ただどんな奴を見ても気づいていない訳ではないようだった。

だって皆食べたり飲んだりするのには人一倍厳しく、奪い合い、競っているのだから。


分かっている様なのに、俺のように知ってはいないのが不思議に思えた。

馬鹿な奴らだ。


そんな中、学んだことが、「皆平等に分けよう」という考え方だ。


これは奪い合うことが面倒だから、もう最初から一人分の取り分を決めて頭割りで配るという話だった。


だがこれは生まれたばかりの赤ん坊と俺のように体がデカい奴が同じという事になる。


俺はこれには納得ができないと反発した。

当然のことだ。

一人前に仕事をする奴が一人分としてもらうのは良いとしても、働かない奴がそれでももらえるのであれば、俺だって働きたくないのだから。


色々話し合った結果、家族単位で分けるという話になった。

これなら納得できる。

いつものように家族という重荷を背負いたい奴だけ背負って、分け合ってくれればいいのだから。


俺は自分の幸福を最大限にもらえるようにしていけばいい。


重荷をわざわざ背負うことを好き好んでしたんだし、これで文句を言われてもこっちが困る。


ただ、ここの土地はどうも実りが悪いのが大きな問題だった。

分け方の問題は良いとしても、元の分け合う物が多くなければ、俺の幸福は大きくはならない。


そんな中、川の向こう側に居る貴族が来た。

偉そうに馬車に乗ってやってきた。しかもなんだか上等な家をこさえてだ。


そして来た新参者が最初に言ったのは、もっと元気を出そうとか、やる気を出そうとか、なんか面倒なことだった。

自分は何かをする訳でもないのに、俺たちを鼓舞することは言う。

本当になんも分かってねぇ奴だ。


皆そんな話は聞く振りをしておく。

なぜなら帰りにはパンがもらえたからだ。


そんなことを何度かやっていたが、今度は道を綺麗にすることを言い出した。


なぜかと街の皆で話し合った。

表向きは、農地への移動や物資のやり取りをやり易くするとか言っていた。

だかある人曰く、本当は自分たちの馬車が通りにくいのを改善したいからじゃないかと言われ、俺は納得した。


誰もが自分が生きやすく、幸福になるために行動するのだ。


人の為に何かをするなんてことはあるはずがない。

そんなの上辺だけでいい顔したいだけでしかない。


表向きの顔と裏の顔を持つことはとても分かりやすく理解できた。


偉そうなやつも、俺と中身は何にも変わらない。

頭の良さそうな奴も、力が強そうなやつも、皆同じだ。

自分の幸せを求めるだけが生き甲斐なんだ。


道をある程度綺麗にしたことで、貴族は何も言わなくなったと思っていたが、また次の案を持ってきた。

次は海の方に壁を作りたいという。


なぜかと言えば、砂が飛んでくるからだと。

これには大爆笑した。

砂が飛んでくるくらいで、なぜそんなものを作るのか分からない。

流石貴族の考えることだ。おかしくておかしくてたまらなかった。


だからこれには猛反対した。


「ふざけるな!お前たちの生活を楽にするためだけになぜ俺たちがなぜ働かなければならない!」

「お前たちは良い家に住んで、それで砂が飛んでくるのを止めたいだと?ふざけんな!」

「まずは俺たちの家をあのボロからどうにかしてから壁を作れ!」


これには街のみんなも賛成してくれた。

当たり前だ。自分たちが幸福になることが最優先されるべきだ。そう行動するべきだ。

それに貴族だけが良い家に住んでいるのが、もとから気に食わなかった。

皆平等とか言っておきながら、自分たちは一段高いところからいつも見下している姿に腹が立っていた。

何がすごいのか知らんが、俺たちから税とか言う言い分で勝手に奪っていくのも気に入らない。


するとなんとこの俺の意見が通ったのだ。


まさか俺の意見の為に貴族が行動してくれるとは思わなかった。


大勢の意見は貴族も動かせると分かった。

数は力になるのだ。


その後、建て替えラッシュで街が大きく変わった。

これには普段来てくれる商人も大喜びで、いつもより沢山来てくれるようになっていったのだから。


ただそれが終わると、もとに戻る。

当たり前だが。


ただ建て替えラッシュの時に仲良くなった何人かの商人がいた。

そいつらが言うには貴族に黙って、3軒ほど家を多く作ったのだとか。

これを売りに出して、儲けたいという話を聞いた。


ここには人がほとんど来ない場所だと知らないのか。


そう思っていたが、なんでも帝国の方に売ろうとすれば、簡単に買い手がつくとか言っていた。


俺はへー。としか聞いていなっかったが、他の街の奴らはそんなわけないとか、何とか言っているのを聞いた。

俺には全く関係ないからどうでもいいと思った。

俺に幸福を運んでくる訳ではないのだから。


その話は成功した話も聞いたが、結局流れてなくなったという話も聞いた。

俺にとってはどっちでもいい。

他人のことにかまけるよりも、自分の幸せをより多く掴むことの方が百倍大事だから。


そうして色々変わったのだが、俺の生活はまだ幸福にはならない。


なぜかは分からない。

俺はあれだけ自分の幸せの為に行動したのに、なぜか今は幸せになった気がしない。


昔から見たら家は綺麗になっているが、ただその家に居ると・・・まだ寂しく感じるのだ。

意味が分からない。


スッキリして、綺麗ではあるが、温かさがない。

綺麗すぎて落ち着かないのか?

昔の家の方が、親父や母の思い出があった分、良かったんじゃないかとさえ思うようになった。


オカシイ。こんなのおかしい。俺の幸福はどこに消えたんだ。




最後まで読んでくださり、誠にありがとうございます。

精鋭の読者のお陰で続けられています。

本当にありがとうございます。

今回長くなったので、分けて投稿します。

後編は今日中に上げますので宜しければご覧ください。


喜怒哀楽の何か感じたら、評価、ブックマークをお願いします。

今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

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