214話 幸運の像の片隅で
―― At the Corner of the Statue of Fortune ――
ダダイは、噴水のほとりでギターを弾いていた。
心地よい音色が、五臓六腑に染み渡る。
アコースティックギターを器用に操る。
ピックは使わない。
彼の奏でるスラム奏法は、弦を弾き、ボディを叩き、まるでベースやドラムまでも同時に鳴らしているかのようだった。
行き交う旅人たちが、思わず足を止める。
やがて拍手が起こり、ギターケースへと何かを投げ入れる仕草を見せる者もいた。
——とはいえ、現在のセレスティアル歴において金貨は流通していない。
だからといって、貴重な電気を差し出す者などいるはずもなかった。
ここ、フォーチュリトス王国の王城街『ウノ』には、ひときわ人目を引く氷の像がある。
そのあまりの美しさゆえに、人々はそれを“時間泥棒の女神”と呼び、
ある者は洒落て「アイストラベル」などと名付けた。
この女神像は、かのクリスタルアイスで造られている可能性が高い。
角度によって、その輝きはまるで別物へと変わる。
ある一点から眺めたとき、橙、白、黒、青、そして水色——
五つの色が層となり、オーロラのように揺らめくのだという。
その一点を見つけた者には、幸運な一日が訪れる。
太陽の角度、季節、気温。
すべての条件が揃ったときにのみ現れるその瞬間は、「幸運の時間」と呼ばれていた。
いつしかその像は、“幸運の女神”と呼ばれるようになった。
演奏を終えたダダイは、静かにギターをケースへ収める。
風変わりな格好が珍しいのか、ひとりだけ、その場に残る客がいた。
ダダイは何も言わず、ゆっくりと片足を持ち上げる。
歩き出そうとしたのか。
どこか不自然な姿勢だった。
「……ん?」
そのとき、ローブをまとった何者かが、ダダイの肩を軽く叩いた。
次の瞬間。
ダダイは振り向きざま、その手首を掴んでいた。
凄まじい反射速度。
まるで後頭部に目でもあるかのような動きだった。
「我は、悪なり」
「あー……悪いけどさ。
俺、そういうの興味ないんだよね」
「蘭丸を知らぬか?」
「さあ。知らね」
ローブの男は、それ以上何も言わず、影の中へと溶けるように姿を消した。
「……帰ったら、曲作ろ」
それが、ダダイの日常。
——そして、そこに足を踏み入れる私たちだった。
こんばんは! VIKASHです!
今回の話いかがだったでしょうか。
ダダイには、モデルとなる人物がいて、その人物の話し方や、容姿を真似して描写しています。
本人さんに届くといいですね。
クリスタルアイスは、「氷晶」で触れているため、そちらも読んでいただけると嬉しいです!
今日は至って普通の一日だったんですが、帰りにガラルファイヤーを手に入れたのがとても嬉しかったです。
知ってる方は知っているんだと思うんですが、アニメのポケモンで六英雄として登場していて、ビジュアルがとても好みなので、気に入っております。
今日は短めにしておこうと思います。
昨日についてなんですが、疲れ切って寝てしまい、予約投稿はしたんですが、あとがきを書き忘れております。
そのため、前回にはあとがきがありません。
すいません!
これからは気をつけます。
それでは、次回まで!
評価とブックマークをよろしくお願いします!
以上VIKASHでした!!
では!
◀次回のタイトル「アセマトの賢者達」




