209話 氷帝の血が吼える
―― When the Ice Emperor’s Blood Awakens ――
呼吸を忘れるほど、常軌を逸していた。
睫毛は氷に縁取られ、髪は白へと染まっていく。
ユニムの青は失われ、純白へと変貌していた。
碧い瞳だけが、燦然とハヤタカを射抜く。
――名を、氷纏〈ヒョウテン〉。
白銀と化した髪。
全身を覆う氷の鎧。
確かに感覚はある。
だが、意識はひどく遠い。
ユニムには特異な性質があった。
謂わば――抵抗。
それは意思を介さない。
反射のように、自動的に発動する“拒絶の魔術”。
この瞬間、そこに自我があったのかどうか。
もはや、判別はつかない。
そして――それは現れる。
『氷鎖〈フロストチェイン〉』
ハヤタカは、即座に危機を悟ったのか。
最大火力で迎撃に出る。
だが、たった一本の“しなる鎖”が――
周囲の森を薙ぎ払い、触れたすべてを瞬時に凍てつかせた。
氷の鎖は高速で回転し、刃のように空間を切り裂く。
縦横無尽に、容赦なく。
その最中――
ユニムは、一歩も動いていなかった。
ただ、立ち尽くしている。
その内側で。
ユニムは、独りだった。
意識の奥底。
ぽつりと残された心が、何かの抽象である“玉座”を見つめている。
あと少しで、届きそうだった。
心の空間は水で満ち、まるで深海のように静まり返る。
ごぽり、と。
自分が沈んでいく感覚。
だが、不思議と苦しくはない。
浮かぼうともしない。
抗おうともしない。
ただ、その流れに身を委ねて――
ゆっくりと。
ゆっくりと、沈んでいく。
こんばんは! VIKASHです!
みなさん、いかがお過ごしでしょうか。
もう少しでこのバースが終わります。
あまり、綺麗な終わり方はできませんでしたが、自分では納得がいっております。
実は、バースは3つほど構想があり、本当は一つのパースにする予定だったんですが、3つに分けて、読みやすく、深掘りする予定です。
話の構想事態は、220話まで浮かんでいて、その血肉となる内容を執筆していくという形になっています。
どうか温かい目でご覧いただけますと幸いです。
また、評価やブックマークをよろしくお願いします。
それでは次回まで!
お楽しみに!
◀次回タイトル「氷晶」




