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TWO ONLY TWO 唯二無二・唯一無二という固定観念が存在しない異世界で  作者: VIKASH
【魔法学校篇】:Wildfire And Cyristalice

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206/218

206話 自分を信じること

 

―― The Flame Trial Begins ――



 映し出される、二つのシルエット。

 立ち塞がるのは、牙の意匠を胸に掲げた男。



 その名は――牙王ライオネル。



---



 ゼルドは、足を一歩踏み出すのではなく、わずかに引いた。



 人間の構造原理に基づく動作。

 後退の一歩は、爆発的な推進力を生む。



 体を押し出す。

 それだけで、身体は自然と前へと滑り出す。



 滑らかに、まるで水面をなぞるように。



 ホバークラフトのごとく、足と床の接地面に空気を挟み、浮いているかのような挙動。

 それは、かつての世界のリニアモーターカーを彷彿とさせた。



 その動きに、牙王はにやりと笑う。



 ゼルドの太刀筋が、牙王ライオネルに触れかかった――その瞬間。



 一瞬の隙。

 だが、それすら読まれていた。



 ゼルドは、ガシャリとわずかに抜いた剣を、再び鞘へと戻す。




――「参ります」




 その声と同時に。



 ゼルド――ゼタ=エルド。

 魔王シン――日下部シン。

 そして、世界皇帝――牙王ライオネル。



 三人による、二人のための「炎の節」の試験が、幕を開けた。



---



 牙王ライオネルは、何かを唱えていた。



 ボソボソと、低く呟く。



 呪文か。

 それとも、呪いか。



 その声は、魔王シンには届かない。



 一方で、ゼタ=エルドは恐れ慄き、腰が固まる。



 その異様な光景を、魔王シンは静かに見据えていた。



 どうすれば、この化け物じみた世界皇帝から、合格をもぎ取れるのか。



 思考は、ただそれだけに支配される。



 打破するか。

 奇襲をかけるか。

 禁じ手を使うか。



 思考は迷路のように入り組み、

 靴紐のように絡まり合い、解けない。



---




 ――「自分を信じること」


 


 底知れぬ男、牙王ライオネルが、ただ一言呟いた。



 奇妙なことに、その言葉は魔王シンの内心と一致していた。




炎纏えんてん




 炎の節の試験において、氷・自然・雷の使用は(よこしま)とされる。



 許されるのは、炎のみ。

 炎をもって、炎を制する。



 ゼルドの視線が、魔王シンへと移る。



 二対一。



 単純な構図だった。



 どちらかが隙を突けば、いかに世界皇帝といえど、二人を同時に相手取ることはできない。



 ましてや、牙王は丸腰。

 武器を持たぬ以上、ただの魔獣と大差はない――はずだった。



 ゼルドが再び剣に手をかけた、その時。



 シンが制止する。




『やめておけ』


「問答無用」




 理解が追いつかない。



 何が起きているのか。



 必死に思考を巡らせる。

 だが、ゼルドの思考は、そこで停止した。



---




『……喋れるか。わかった、俺がやる』




 純粋な炎の衝突。



 激しく。

 速く。

 そして、熱く。



 もしこの場に、炎の魔導士ハヤタカがいれば、

「見ものだな」と葡萄酒を注いだだろう。



 魔王シンは、見逃さなかった。



 牙王ライオネルの手に、黒い渦が一瞬だけ揺らいだ。




 ――まさか、黒炎か。



 いや、違う。



 あれは――。






こんばんは! VIKASHです!


お楽しみいただいてますでしょうか。


今回は、牙王ライオネルと魔王シン、ゼルドに焦点を当てた回となっております。


最後にちらっと出てきた黒い渦……さあ、なんでしょう?


次回で知ることができます。


本日は手短にしておきます。


ここまで読んでいただいている方、

ブックマークされている方、

評価をしてくださった方、

誠にありがとうございます。


VIKASH一同頑張って参ります!!


まあ、一人なんですけどね。笑


次回までお楽しみに!

次回の更新は明日です!


◀次回タイトル「見えざる剣」

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