203話 玄丹皓三人衆
―― W.R.B. - White Red Black ――
ホワイトペッパーは、書物を読み漁っていた。
その場には、紅牛の暁と、黒塩のブラックソルトも居合わせている。
「なあ、聞かせてくれ。
セオドニアが復活するって、本当か?」
白胡椒〈ホワイトペッパー〉が尋ねた。
「もちろんだ。副長だったマスタング、そして長であったアレキサンダー。
その二人から許可をもらった俺と黒塩は、復帰する」
紅牛の暁が答える。
「えっ? マジっすか?
聞いてないっすよ?」
黒塩〈ブラックソルト〉が目を丸くした。
「勘弁してくれよ。
今月の四権英雄会合、どうするんだ。
はぁ……忙しいな。まったくよ」
「英雄は忙しいな」
ホワイトペッパーが本から顔を上げる。
「名ばかりだぜ。英雄なんてのは――
四人もいたら、おかしいだろ」
「いや、心強いっすよ」
「そうか? ありがとよ」
ホワイトペッパーが探しているのは、セオドニアⒷの紋章。
それは、発行許可証でもある。
わざわざフォーチュリトス王国まで来たというのに、肝心のそれが見つからない。
思わずため息が漏れる。
しかも、アレキサンダーは不在だった。
その様子を、一人の少年がじっと見ていた。
「おい、チビスケ。何見てんだ?
バレてんぞ」
ホワイトペッパーが声をかける。
「お、オイラと遊ぶっすか?」
少年は嬉しそうに近寄ってくる。
「乳児だな。誰の子だ?」
「バブ」
まだ顔立ちも整っていない、幼い子供だった。
誰の子供なのかは分からない。
可能性があるとすれば、アレキサンダーとナディアだが――実際のところは不明だ。
「ところで、噂は本当なのか?」
ホワイトペッパーが二人に尋ねた。
「オイラの師匠っすよね?」
「ああ。
ハッカイさんが来るらしいじゃねえか」
「何しに来るつもりだ」
「さあな。わかんねえな……お、これか?」
ホワイトペッパーは一本の紙を見つけると、それを丁重に瓶へ収めた。
ホワイトペッパーの話によれば――
白胡椒〈ホワイトペッパー〉と黒塩〈ブラックソルト〉は、互いに相対する存在なのだという。
ブラックソルトの特徴は、魔力を一切持たないこと。
それに対して、ホワイトペッパーの特徴は、魔力の増幅である。
二人は、何かを模している存在だとも言われていた。
そのモデルは――ゴジョウとハッカイ。
そう囁く者も少なくない。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
今回は「W.R.B. - White Red Black -」ということで、三人の関係性と、物語の裏で動き出している“セオドニア復活”の気配を描きました。
ホワイトペッパー、ブラックソルト、そして紅牛の暁〈アカツキ〉。
この三者は、それぞれ単体でも成立するキャラクターでありながら、「対比」と「補完」をテーマに配置しています。特にホワイトペッパーとブラックソルトは、能力だけでなく在り方そのものが真逆であり、だからこそ並べたときに意味を持つ存在です。
また、作中で触れた「ゴジョウとハッカイ」についても、今後の展開にじわじわと関わってきます。単なるオマージュなのか、それとも――という部分は、ぜひ今後を楽しみにしていただければと思います。
そして、最後に登場した“少年”。
あの存在も、実はかなり重要な鍵を握っています。さりげなく出していますが、気づいた方はニヤリとしてもらえるかもしれません。
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それでは、また次回でお会いしましょう。
◀次回のタイトル「紅炎〈プロミネンス〉」




