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「特大魔法、死者蘇生」
遠くで誰かの声が響いた。
聞いたことのない声だ。声の高さから考えて子どもだろう。女の子か、声変わり前の男の子か。
「……あれ。もしかして失敗!?」
ああ、可哀想に。どうやらこの子は魔法に失敗したらしい。
しかしそれも当然だ。死者蘇生なんて芸当が出来るのは、ネクロマンサーの血を引く者のみ。それも一生に一度だけ使えると言われている幻の魔法だ。
正直、俺はこの話を眉唾ものだと思っている。
「一生に一度しか使えない魔法」という設定にしておけば「もう使ったことがあるから使えない」と言って逃げることが可能だからだ。
そもそもネクロマンサーは死体を操る一族だ。回復や蘇生に秀でた者たちではない。死者蘇生など出来るはずもないのだ。
俺は、死者蘇生の魔法を使おうとしている子どものことを微笑ましく思いながら起き上がった。
…………起き上がった?
その瞬間、血飛沫越しに見えた俺を殺す三人の姿が脳裏に浮かんできた。
「うわあああっ!?」
「きゃあああっ!?」
「…………え?」
俺が叫び声を上げると、目の前にいた子どもも尻餅をつきながら大声で叫んだ。
えっと、君は、どちらさま?
「どうして子どもが、って聞いてる場合じゃない。逃げろ! ここには殺人者がいる!」
この子どもが殺人の現場を目撃したのなら、あの三人はこの子を放置はしないだろう。殺される前に逃がす必要がある。
「本当に……生き返った……」
しかし子どもは呆然としながら俺のことを見つめている。
「生き返ったって誰が――――俺が?」
俺はパーティーメンバーの三人に殺された。それは間違いない。あの致命傷を負いながら生き永らえるはずがない。
それなのに俺は今、こうして目の前の子どもと喋っている。
「まさか俺は生き返ったのか!? 君が生き返らせてくれたのか!?」
信じがたい状況だが、信じるしかない状況でもある。
俺の問いに、子どもは口をあんぐりと開けたまま一つ頷いた。
「ええと……経緯はよく分からないが、とにかくここから離れよう。まだ近くに俺を殺した三人がいるかもしれない」
これに子どもが首を横に振った。そして一つの石を指差した。
その石は。
「墓石だ……」
近付いて確認をすると、墓石には俺の名前が刻まれていた。自分の墓石と対面するのは妙な気分だ。墓石はところどころ文字がかすれており、時の経過を感じさせた。
「やっぱり俺は死んだのか。俺が殺されてからどのくらい経ったんだ……?」
答えを期待していない俺の独り言に、目の前の子どもが答えた。
「十五年」
「十五…………はあっ!? 十五年!?」
声を裏返した俺に、子どもが手鏡を見せた。
そこに映っていたのは――――。
「……嘘だろ」
骸骨姿の俺だった。




