第5話 仲間たち
その衝撃はルークたちの元にも届いていた。
「ルーク……アンタまさか」
「あ~あ。運が悪かったなあの爺さん。残念ながらお亡くなりになりましたか」
アゴラスが苦笑する。
「本当に死んだの?」
「まぁ昔は実力はあったのかもしれないが、生憎あの年だ。どうせ生きてねぇよ。さぁ行くぞこれで堂々と探索ができる」
三人は崩落現場に背を向けた。これが彼らにとって致命傷になるとも知らずに……
崩落の衝撃は別の方向にも届いていた。
「…………」
岩陰に身を潜めていた大柄なスキンヘッドの冒険者は、しばらく言葉を失っていた。
「おいバドスお前図体だけは一丁前なんだからもっと隠れろよ」
先ほど昼寝していた若い冒険者が苦言を呈する。
眼帯の冒険者がバドスを見る。
「おい今のを聞いたか?バドス」
「あぁゲオルギウスよ。アイツらはあえて先生を殺したんだ。どうも事故に見せかけたいようだがそうは問屋が卸さねぇ、俺様達、複数人がこの目で直に見てるからな。アイリス」
「そうね。しかしここから問題。ヴァルツ先生は死んではないでしょうけど、自力で這い出るのは不可能に近いわ」
魔女の装束を着た少女アイリスがバドスの方を見る。
「ほらこういう時のアンタの出番でしょ。そのご自慢の怪力とやらで岩を退かしてやりなさい」
「はいはい」
彼らはヴァルツが心配で、ギルドを出た一行の後を追っていたのだ。
本来なら、ヴァルツの実力を疑っているわけではない。それでも、相手があまりに信用できない連中だったため、万が一に備えて背後を付けて来ていた。
その判断が、今は幸いした。
「あの馬鹿どもめが。最初からあの爺さんを捨て駒にするつもりだったとはなぁ」
「怒るのは後。すぐにヴァルツ先生を救助しないと」
数人の冒険者が確かに恩人の救助に向かっていった。
アイリスが洞窟の前で杖を構える。
「まだヴァルツ先生の息はあるわ。右の岩を退かして」
「おうよ」
バドスが岩を横に退ける。
「エリックはすぐにこのことを話に尾びれを付けて触れ回れ。出てきたら四面楚歌にしてやる」
「はいゲオルギウスさん」
若い冒険者エリックはそのまま入り口に戻って行った。
ゲオルギウスはつるはしを取り出すとカンカンと掘り進めていく。
「全くどこまで人を疑わないんだか……」
ゲオルギウスとバドスのおかげで救助作業の末。
「――見えた!」
大きな岩の隙間から、老人の姿が見えた。
「おぉ先生。ご無事でしたか」
「ゲオルギウス、バドス、アイリス。君たちなら来てくれると信じていましたよ」
ヴァルツは崩れた岩盤の間にできた空間に身を置き、杖を手に座り込んでいた。衣服
には土埃がついているものの、意識ははっきりしている。
「いえヴァルツ先生が無事なら何でもいいわよ」
アイリスは手を差し出して立たせる。
「しかしまぁあの勇者たちも酷い。出てきたらすでに四面楚歌にしてありますけどね」
ゲオルギウスは苦笑する。
「ところでその勇者たちはどこに?」
「この一本道ですれ違わなかったので恐らくは……」
バドスが奥を指さす。その奥には道が続いている。
「奥ですか……」
ヴァルツは指で髭を撫でた。




