第2話 傲慢なパーティー
街の冒険者ギルドは賑わっていた。
剣や槍を背負った冒険者が依頼表を吟味し、カウンターでは商人が護衛の相談をしている。またギルドに用もないのに人恋しいのかただ喋りたいだけで椅子を占有してダラダラ話している一団や、ギルドに来てまで昼寝している変人もいる。
そんな良くも悪くもいつも通りの冒険者ギルドに旋風が吹き荒れる。
入って来たのは豪奢な装備を来た一団。先頭を歩くのは赤い外套をひるがえした青年、その後ろには杖を持った女魔法使いに重厚な鎧を着た戦士。
受付カウンターを叩く。
「このメンツで邪の洞窟に入りたいんだが」
「あっそうですか。じゃあまず登録証をですね」
受付の女性が言う前にカウンターに三人分の登録証がまとめて置かれる。
「確認させていただきますのでお待ちください」
「おいおいわざわざ確認が必要か?ここに隣国のワイアール伯爵様の紋章が入っているだろうがよ」
「規則ですので……」
「なら早くしろよ。俺たちは忙しいんだ」
受付の女性は困ったように眉を下げながら作業を続ける。
「申し訳ありません。勇者様の等級ですとこの洞窟に入るのには四人以上必要となります」
「は?聞こえなかったのか。だから俺たちは勇者パーティーだと言ってるだろう!」
勇者が机をドンと叩く。受付一人では対処しきれないと思ったのか奥から上司らしき人の姿も見えた。
「承知しております。しかし、今回の洞窟は中級以上の魔物が確認されている危険区域です。安全の為に当規定では最低の推奨人数に達しておらず、現状の構成では受注を認められません」
「それはあくまでここの腰抜けどもを基準にした推奨だろう?俺たち勇者には必須ではない!」
「見ろよルーク。こいつ等骨がなさそうだぜ」
戦士が侮蔑を込めたまなざしで周囲を見回す。
とにかく絡まれたくない群衆はできるだけ目を合わせないようにした。
「本当にそうね。ここの人たち私たちに恐れをなしているんじゃないかしら」
冒険者の一人金髪で荒々しそうな女冒険者が密かに話す。
「アイツらこの前街の門の騒ぎを起こした連中だろ?今度はここかよ懲りねぇな」
「面倒な手続きを省いて中に入れろだったか?全くケツモチ貴族様とやらの名前が無ければとっくに捕まってるだろうよ」
斧を背負った大柄でスキンヘッドの冒険者が苦虫を食い潰したような顔で答える。
それが聞こえていたらしい勇者ルークがギロリとこちらをにらむ。当然こちらも警戒せざるを得ない。
「何か言ったか?」
「いいや。アンタら如きに特に言うことはないね。な?アンタら」
金髪の冒険者が挑発すると、戦士が激高する。
「このアマァ!」
既に一触即発ギルドが血祭りになってしまうかと思ったところにカランと軽い音が響く。
「おやおや皆さん仲良くお揃いで今日はずいぶんと賑やかですな」
入り口から入って来たのは質素な服に身を包み古ぼけた杖を持って背筋を伸ばした一人の老人だった。




